儚き願い

I&Rin

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第21話 事故

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 私達が夢中になり過ぎてしまい、いろいろな家電製品を観終わった頃、外はもうすでに薄暗くなっていた

 「はあ、今時の家電製品はめっちゃ奥が深いよね、ひろちゃん!」

 「うん、そうやねえ!俺より賢い機能がたくさんあったよ!」

 笑笑

 「美里!」

 「なぁーん、ひろちゃん」

 「明日は美里が行きたかった動物園に行く予定やけど、早めに行くか、それともお昼くらいから行くか、どっちがいい?」

 「うーん、私はどっちかと言うと、ひろちゃんと出来るだけずっと一緒おりたいから早くいこぉー!!」

 「オッケー!……じゃあ、今日は美里の家の近くの焼き鳥屋で飯にしようか⁉︎」

 「さーんせーい!!」

 何気なくこの後の予定を決めた私達だった

 そして私はひろちゃんと車に乗り込み、私の家近くの焼き鳥屋に向かう

 この時はまだ、ウミダ電機を出た時の空も薄暗い程度だったのだが、そこから暗くなるのは早かった

 そして私達は最も忘れちゃいけない事を2人して忘れていた

 
 交差点で信号待ちしてる時に、車のスピーカから私の好きなBダッシュの曲が流れてくる

 と言うよりもコンサート以来、ひろちゃんもファンになりCDを買って車で聴くようになっていた

 交差点待ちしていた信号が青になり、前の車が進み出したので、私達の車もその車の後をついて行く


 見通しの良い片側1車線の道路をそのままつき進んで行くと、徐々に私達の車と前方にいる車との距離が開き、車間距離にして5台分位は離れてしまっていた


 そんな時、いつの間にか私達の後ろを走っていたいた車がベタベタに接近して、急かすようにくっついたまま離れない

 「後ろの車、めちゃ近過ぎやろー」

 一言ひろちゃんが呟きながら、前の車との車間距離を詰めろうとした瞬間………

 
 私は前方左の歩道から車道近くに身を乗り出しているおいちゃんが、手を上げて振っているのが視界に入ったのが気になり

 「なんしよん?あのおっちゃん」


 その瞬間、凄い衝撃とともに何が起こったのか全く理解出来ない位に私が観ていた景色が急にあちこち目まぐるしく回転しながら視界が変わる

 そして最後、車が止まったと思った瞬間、急にひろちゃんが私に覆いかぶさってきた

 「美里!!」

 ガシャーン!!バゴーン!!


 「・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・」

    「・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・」


 
 ピーポーピーポー


   ピーポーピーポー


      ピーポーピーポー


                                 ピーポーピーポー


  現場は慌ただしくサイレンが鳴り響いていて、到着したレスキューと救急救命士が必死になって変わり果てた車の中に取り残されている私達を救助しようとしていた

 

 

 
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