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死の大陸編 青年期

第137話. 課題

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 全速力でエミリーのいる家にたどり着くと、既に日も沈みかけていて、ホルクス山脈を離れ半日近くの時間を要してしまっていた

 エミリーは僕が戻って来ているのを感知すると、慌てて出て来たのが分かる位にドタバタと家の中から凄い音がしていた

 「リン様、お帰りなさい!」

 「やぁ、エミリー!ただいま、早速だけどエドガーはいる?」

 「はい、中にいます」

 エドガーに会う為、家の中に入ると相当慌てていたのか、物が散らかっている

 そのままエドガーがいる部屋に入ると、急いでエドガーが散らかっている部屋の中を片付けている

 「お帰りなさいませ、リン様」

 「ただいま、エドガー!・・・で、何してるの?」

 「いえ、リン様がこちらに向かわれているのをエミリーが感知しまして、早く出迎えなくては失礼にあたると言って、この始末です」

 いえいえ、そんな失礼にあたる事なんて全然ないのだが、どうやったらこんなにも散らかるんだと思いながらも決して口にできないでいる自分がいた

 「それで、リン様、鍛錬の成果は如何でしたか?」

 「あ、あぁ、成果ね、思いがけない収穫もあってバッチリだったよ」

 「それは、良かったです、リン様」

 「で、移住の方はどうなったのかなエドガー?」

 「はい、リン様、その件に関しましてはエルフ一同みんなが同じ想いで一致しておりまして、すぐにでも移住したいと願い出ております」

 「そっかぁ」

 「リン様⁉︎」

 「なんだいエミリー?」

 「あのぉー、そのぉー・・・・・いえ、何でもないです、すみません、リン様」

 「あっ、そうだった、エドガーは故郷の場所は分かるんだよね?」

 「はい、リン様、当然ながら分かります!」

 「すまないけど、自分達だけで故郷まで移動してもらってもいいかな?」

 「えっ⁉︎私達だけで移動をですか?」

 「うん、一応行くまでの道のりを確認してきたけど、特に強い魔物の反応もなかったし、それよりも今の君達の方が相当強くなってるから大丈夫だよ」

 「はい、分かりました!リン様がそうおっしゃるならば、そう致します」

 「あともう1つ、エドガーにお願いがあるんどけど、いいかな?」

 「リン様のお願いとあれば、私、エドガーこの身が滅ぶとも全力で聞き入れる覚悟であります!」

 イヤイヤイヤイヤ、いつもながらそれ、危ない考えだからね!エドガー君

 しかしながら、それが本気だという事は、僕も分かっているので、迂闊に変なお願いも出来ないのは確かだ


 「先日、言っていたエミリーの件だけど、僕が出す課題にエミリーが達成する事が出来たら、僕との同行を許してくれるかな?」

 「や、やります!リン様!是非やらせて下さい!必ずリン様に付いて行きます!」

 鬼気迫る勢いでエミリーが僕とエドガーとの間に割って入ってくる

 「エミリー、ちょっと落ちつこう、ねっ!」

 「はい、リン様!ありがとうございます!」

 だめだこりゃー、掴まれた手をガッチリとホールドされてしまったよ
 
 「これっ、エミリー!まだリン様からの課題も聞かないうちから、早過ぎるぞ!」
 
 「す、すみません、あまりにも嬉しくて、つい!」

 「それでリン様、エミリーに出される課題とは?」

 「あぁ、そうだったね、これから3ヶ月間、僕が鍛錬に行ってる間にエミリーには最低限の飛行ができるようになっていてもらいたいんだ」

 「飛行という事は、私が飛べないとリン様のお側に一緒に居れないという事ですか?」

 「まぁ、そうなるよね、ただ僕も悩んだ結果で最低限の譲歩としての結論だよ」

 「ありがとうございます、リン様!必ずや期待に応えれる様に頑張ります」

 そして僕はエミリーに飛行の感覚を掴んでもらおうと、一緒に鍛錬場へと向かった
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