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死の大陸編 青年期
第90話. 火事場の馬鹿力
しおりを挟むエルフ達みなさんの動きが面白いほどにピクリともせず静止しており、あたり一面、シーンと静まり返っている
エミリーが機械仕掛けのからくり人形のような動作で、ぎこちなくゆっくりと首だけが回り、僕の方を振り返る
その直後、いきなり滑舌が良くなり、ちょっと何言ってるのか全く分からない状態になる
すると族長と護衛役の2人を先頭にわんさかエミリーの所に押し寄せ、すぐに人集りが出来てしまった
エミリーは皆んなから質問攻めになっていたので、僕はその隙に一旦席を外して焼き場の方に行き、肉を焼いてるエルフから焼き上がった肉を貰うが、このエルフも心ここに在らずでエミリーを観ていた
一応、お礼を言って焼きたての肉を食べると、あららほんと!味が全然違うじゃないですか
しかも、お肉が小さいのでイタチやウサギ位の大きさの魔物しか狩れなかったのだろう
エルフの強さからすれば、そんなものだろう
でなければオークとかにも当然、勝ててるだろうからね
しかし、こうも味に違いがあるとは思わなかったが……
………今の僕が何か言おうとしても会話すら出来ないので、そのまま食べながらエルフの集落をひと通り見て回ると、ようやくみんな正気を取り戻したのか何処に居ても「リン様ぁ」……感謝のポーズ!
しばらくしてエミリーが僕の所に走り寄り、腕を掴まれ引っ張られながら先程の場所に連れ戻される途中で何かをお願いしている
何となく理解はできたので、エミリーと一緒に戻るとすでにエルフ3人衆が真剣な眼差しで僕を待ち構えていた
族長であるエドガーは、何故急に娘のエミリーが突然あんな魔法が使えたのかが分からず、エミリーに聞いてみるが本人も説明出来ずにいたので僕を呼びに来たそうだ
そりゃそうだろう!
何となくそんな感じでアースから聴いた僕は、エミリーに向かって先程と同じ様にもう一度、試してみてと伝える
エミリーは頷き、右手を出してから集中し始める
間も無くすると小さな竜巻が現れる
そこから僕はエミリーの波長に合わせながら声をかける
「ゆぅっくり、ゆぅっくり」
……次第に竜巻が球体になりつつ変化していく
すると30㎝位の風の球体が出来上がる!
それを見ていた3人衆だけでなく、集まっていたエルフみんなが食い入る様に近くに来て、その光景を見ている
エミリーはコツを掴んだようで魔力を操作するのが先程よりもスムーズになっている
それじゃそれを解除してみようか……と伝える
が、流石にうまく伝える事が出来なかった様で
エミリーは固まったままピクリとも動かない
暫くの間、エミリーが何かと奮闘しており静止状態が続く
・・・・・うん、解除できないでいるな!
僕はエミリーの前にひょいっと顔を近づけるとビックリした拍子に魔法が解除される
ずっと集中し過ぎて、集中を切る事が出来なかったようである
エドガーが是非ともエミリーに教えて頂いたことを私にもお教え下さいと懇願してくる……
なんて図々しい奴なんだと思いながらも、ここにいるエルフ皆んなが言い出して来ても面倒なので、族長であるエドガーに教えとけば、後は皆んなにも教えとくだろうと勝手に思い、仕方なく先程エミリーに教えたようにエドガーにも教える事にする
エドガーに得意な魔法を聞いてみると、どちらかと言えば火魔法が得意だと満足気に言っていたので、ならばそれを観せてくれ……と伝える
エドガーは分かりましたと返事して得意げな顔で魔法を見せ始める
はぁぁぁぁー!
………声を上げ両手を出しているものの、何も起きる気配が感じられない!
そりゃそうだ、あまりにも力が入り過ぎている為、魔素から魔力にすら変換も出来ていない
と、思った瞬間……ポッと一瞬だけ着いては消えた
火事場の馬鹿力とはよく言ったもんだ!
エドガーは凄く満足げな顔をして……どおでしょぉと言わんかばかりで僕の方を見てくる
・・・・・エドガーよ、残念ながら君は✖️ですね!
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