93 / 260
死の大陸編 青年期
第90話. 火事場の馬鹿力
しおりを挟むエルフ達みなさんの動きが面白いほどにピクリともせず静止しており、あたり一面、シーンと静まり返っている
エミリーが機械仕掛けのからくり人形のような動作で、ぎこちなくゆっくりと首だけが回り、僕の方を振り返る
その直後、いきなり滑舌が良くなり、ちょっと何言ってるのか全く分からない状態になる
すると族長と護衛役の2人を先頭にわんさかエミリーの所に押し寄せ、すぐに人集りが出来てしまった
エミリーは皆んなから質問攻めになっていたので、僕はその隙に一旦席を外して焼き場の方に行き、肉を焼いてるエルフから焼き上がった肉を貰うが、このエルフも心ここに在らずでエミリーを観ていた
一応、お礼を言って焼きたての肉を食べると、あららほんと!味が全然違うじゃないですか
しかも、お肉が小さいのでイタチやウサギ位の大きさの魔物しか狩れなかったのだろう
エルフの強さからすれば、そんなものだろう
でなければオークとかにも当然、勝ててるだろうからね
しかし、こうも味に違いがあるとは思わなかったが……
………今の僕が何か言おうとしても会話すら出来ないので、そのまま食べながらエルフの集落をひと通り見て回ると、ようやくみんな正気を取り戻したのか何処に居ても「リン様ぁ」……感謝のポーズ!
しばらくしてエミリーが僕の所に走り寄り、腕を掴まれ引っ張られながら先程の場所に連れ戻される途中で何かをお願いしている
何となく理解はできたので、エミリーと一緒に戻るとすでにエルフ3人衆が真剣な眼差しで僕を待ち構えていた
族長であるエドガーは、何故急に娘のエミリーが突然あんな魔法が使えたのかが分からず、エミリーに聞いてみるが本人も説明出来ずにいたので僕を呼びに来たそうだ
そりゃそうだろう!
何となくそんな感じでアースから聴いた僕は、エミリーに向かって先程と同じ様にもう一度、試してみてと伝える
エミリーは頷き、右手を出してから集中し始める
間も無くすると小さな竜巻が現れる
そこから僕はエミリーの波長に合わせながら声をかける
「ゆぅっくり、ゆぅっくり」
……次第に竜巻が球体になりつつ変化していく
すると30㎝位の風の球体が出来上がる!
それを見ていた3人衆だけでなく、集まっていたエルフみんなが食い入る様に近くに来て、その光景を見ている
エミリーはコツを掴んだようで魔力を操作するのが先程よりもスムーズになっている
それじゃそれを解除してみようか……と伝える
が、流石にうまく伝える事が出来なかった様で
エミリーは固まったままピクリとも動かない
暫くの間、エミリーが何かと奮闘しており静止状態が続く
・・・・・うん、解除できないでいるな!
僕はエミリーの前にひょいっと顔を近づけるとビックリした拍子に魔法が解除される
ずっと集中し過ぎて、集中を切る事が出来なかったようである
エドガーが是非ともエミリーに教えて頂いたことを私にもお教え下さいと懇願してくる……
なんて図々しい奴なんだと思いながらも、ここにいるエルフ皆んなが言い出して来ても面倒なので、族長であるエドガーに教えとけば、後は皆んなにも教えとくだろうと勝手に思い、仕方なく先程エミリーに教えたようにエドガーにも教える事にする
エドガーに得意な魔法を聞いてみると、どちらかと言えば火魔法が得意だと満足気に言っていたので、ならばそれを観せてくれ……と伝える
エドガーは分かりましたと返事して得意げな顔で魔法を見せ始める
はぁぁぁぁー!
………声を上げ両手を出しているものの、何も起きる気配が感じられない!
そりゃそうだ、あまりにも力が入り過ぎている為、魔素から魔力にすら変換も出来ていない
と、思った瞬間……ポッと一瞬だけ着いては消えた
火事場の馬鹿力とはよく言ったもんだ!
エドガーは凄く満足げな顔をして……どおでしょぉと言わんかばかりで僕の方を見てくる
・・・・・エドガーよ、残念ながら君は✖️ですね!
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!
ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。
一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて?
主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍?
「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」
『わふっ』
もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる