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死の大陸編 幼少期
第26話. フェンリルの棲家6
しおりを挟むようやく僕は、洞窟の入口に降り立つことができた
がしかし、フェンリルは既にここには一度来てると、僕は思っているけどね
そこから先はフェンリルが先行して歩いて行くので、僕はその後をテクテクと何も言わずに大人しく付いて行く
この洞窟も入口から歩み始めてから数メートルは、陽の光が差し込んでいて明るかったが、そこから程なくして陽の光も届かなくなる
暗い!これは暗い!真っ暗だ!!
フェンリルは夜目がきくのだろう!
暗闇でもお構いなしで、どんどん進んで行く
「火を灯してもいいかい?」
「うんっ、いいよぉ。でもすぐそこだよ」
コイツの言う事はあてにならないが、どうやら今回はすぐそこで間違いなさそうだ
僕が感じる反応も確かに目と鼻の先ほどだったからだ!
火魔法で辺りを明るくしたので歩きやすくなり、洞窟内の形状もはっきりと分かる
そのまま歩き続けながら前方を見ると奥は明るくなっている
奥まで行くと火魔法も必要なくなり、広い空間に出るなり、規格外のバカでかい生物が嫌でも視界に入り込んできた
そこにはバカでかいフェンリルの姿が2匹あった
これがまた、凄まじい重圧感が、この空間内に立ち込めているではないか
これが、theフェンリル!!
「ただいまぁ!リンを連れてきたよぉ!」
僕が来るずっと前から気付いてはいたんだろう
この場所に入ってからtheフェンリルの態勢は変わらないが、一際鋭い眼光だけが僕の方に向けられている
そんな状況でtheフェンリルと眼があった瞬間、一瞬僕の中を覗かれた様な感覚に包まれた
「あぁ、おかえり、早かったな」
「うん、凄いんだよ!リンがねえ、空を飛べたんだよ!」
「そうか」
「うん、それとねぇ、ご飯が美味しいんだよ」
「それは何度も聞いた」
コイツ、やっぱりそれしか言わないんだな
「お前がこの子が言っていたリンだな?」
「はいそうです、初めましてリン=ガーナです」
この方がお父さんで、あっちがお母さんか
「遠い所を来てもらってすまなかったな」
「いえ、別の意味でいろいろと大変でしたが飛ぶ事も出来たし、とにかく今日中にここに来れて良かったです」
「そうか、いろいろ息子が世話をかけてしまってたようだが、お前がそう言ってくれると助かる」
「いえ、滅相もありません」
ただならぬ風格と雰囲気を醸しだしているので、その圧に一瞬たじろいでしまうが、会話してみると凄い常識のある方だ
今まで、この方の息子とばかり接していたので、久しぶりに話しの通じる喜びが味わえる
「ほお、礼儀をわきまえているではないか!ヒト族の子よ!息子が世話をかけたな!」
「いえ、とんでもないです!助けて頂いたのは寧ろ僕の方です」
「すまぬがこっちに来てくれるか?」
「はい、分かりました」
僕が小さいだけなんだろうけど、theフェンリルの父方近くまで行くと、そこはもうふっさふっさの銀色の壁です
顔なんて2m位あるんじゃなかろうか!
今はうつ伏せで寝ている状態だけど全体的に観てもこれまた大型バス位はありそうだ!
僕が近くまで行くとまたもやtheフェンリルの鋭い眼光で全身マジマジと見られる
先程もそうだったが、身体の内側から探られているような感覚がする
「お前の名はリンだったな!」
「はい、そうです。でもホントにその名前が僕の名前かどうか断言出来ないんです。その時に僕が身に付けていた物に刻まれてあっただけなので」
「すまないがそれを見せてくれるか」
「構いませんよ、どうぞ」
僕は首にかけてあったネックレスをフェンリル父に見せる
「確かにこの世界の物ではないな。リンのいた世界とこことではかなり文明の違いがあるんだろうな」
「はい!僕のいた地球とこの惑星とでは、全く違うという事ははっきり分かるんです」
「そのようだな」
「しかしそれが僕自身の事となると全く思い出せないんです」
「そうか、リンは何らかの影響で記憶を失ってしまったのだな」
「はい、そうだと思います。僕がここで目覚めた時には頭に深い傷を負っていたのでそれが原因じゃないかと」
「では、リンがどうやって此処にやって来たのかも分からないんだな?」
「はい、残念ながら分かりません」
「では少しだけこの地について話しておこう」
「ありがとうございます」
そしてtheフェンリル父が簡単に語り出してくれた
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