上 下
29 / 260
死の大陸編 幼少期

第26話. フェンリルの棲家6

しおりを挟む

 
 ようやく僕は、洞窟の入口に降り立つことができた

 がしかし、フェンリルは既にここには一度来てると、僕は思っているけどね


 そこから先はフェンリルが先行して歩いて行くので、僕はその後をテクテクと何も言わずに大人しく付いて行く

 この洞窟も入口から歩み始めてから数メートルは、陽の光が差し込んでいて明るかったが、そこから程なくして陽の光も届かなくなる

 暗い!これは暗い!真っ暗だ!!

 フェンリルは夜目がきくのだろう!

 暗闇でもお構いなしで、どんどん進んで行く
 
   「火を灯してもいいかい?」

 「うんっ、いいよぉ。でもすぐそこだよ」

 コイツの言う事はあてにならないが、どうやら今回はすぐそこで間違いなさそうだ


 僕が感じる反応も確かに目と鼻の先ほどだったからだ!


 火魔法で辺りを明るくしたので歩きやすくなり、洞窟内の形状もはっきりと分かる


 そのまま歩き続けながら前方を見ると奥は明るくなっている


 奥まで行くと火魔法も必要なくなり、広い空間に出るなり、規格外のバカでかい生物が嫌でも視界に入り込んできた

 そこにはバカでかいフェンリルの姿が2匹あった


 これがまた、凄まじい重圧感が、この空間内に立ち込めているではないか

 これが、theフェンリル!!


 「ただいまぁ!リンを連れてきたよぉ!」


 僕が来るずっと前から気付いてはいたんだろう

 この場所に入ってからtheフェンリルの態勢は変わらないが、一際鋭い眼光だけが僕の方に向けられている

 そんな状況でtheフェンリルと眼があった瞬間、一瞬僕の中を覗かれた様な感覚に包まれた



 「あぁ、おかえり、早かったな」
 
 「うん、凄いんだよ!リンがねえ、空を飛べたんだよ!」

 「そうか」

 「うん、それとねぇ、ご飯が美味しいんだよ」
 
 「それは何度も聞いた」

 コイツ、やっぱりそれしか言わないんだな

 「お前がこの子が言っていたリンだな?」

  
   「はいそうです、初めましてリン=ガーナです」

 この方がお父さんで、あっちがお母さんか

 「遠い所を来てもらってすまなかったな」

   「いえ、別の意味でいろいろと大変でしたが飛ぶ事も出来たし、とにかく今日中にここに来れて良かったです」

 「そうか、いろいろ息子が世話をかけてしまってたようだが、お前がそう言ってくれると助かる」

   「いえ、滅相もありません」


 ただならぬ風格と雰囲気をかもしだしているので、その圧に一瞬たじろいでしまうが、会話してみると凄い常識のある方だ

 今まで、この方の息子とばかり接していたので、久しぶりに話しの通じる喜びが味わえる


 「ほお、礼儀をわきまえているではないか!ヒト族の子よ!息子が世話をかけたな!」

   「いえ、とんでもないです!助けて頂いたのはむしろ僕の方です」

 「すまぬがこっちに来てくれるか?」

   「はい、分かりました」

 僕が小さいだけなんだろうけど、theフェンリルの父方近くまで行くと、そこはもうふっさふっさの銀色の壁です

 顔なんて2m位あるんじゃなかろうか!

 今はうつ伏せで寝ている状態だけど全体的に観てもこれまた大型バス位はありそうだ!

 僕が近くまで行くとまたもやtheフェンリルの鋭い眼光で全身マジマジと見られる

 先程もそうだったが、身体の内側から探られているような感覚がする

 「お前の名はリンだったな!」

   「はい、そうです。でもホントにその名前が僕の名前かどうか断言出来ないんです。その時に僕が身に付けていた物に刻まれてあっただけなので」

 「すまないがそれを見せてくれるか」

   「構いませんよ、どうぞ」

 僕は首にかけてあったネックレスをフェンリル父に見せる

 「確かにこの世界の物ではないな。リンのいた世界とこことではかなり文明の違いがあるんだろうな」

   「はい!僕のいた地球ほしとこの惑星ほしとでは、全く違うという事ははっきり分かるんです」

 「そのようだな」

   「しかしそれが僕自身の事となると全く思い出せないんです」

 「そうか、リンは何らかの影響で記憶を失ってしまったのだな」

   「はい、そうだと思います。僕がここで目覚めた時には頭に深い傷を負っていたのでそれが原因じゃないかと」

 「では、リンがどうやって此処にやって来たのかも分からないんだな?」

   「はい、残念ながら分かりません」

 「では少しだけこの地について話しておこう」

   「ありがとうございます」


 そしてtheフェンリル父が簡単に語り出してくれた


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

処理中です...