転移失敗!!此処は何処?僕は誰?

I&Rin

文字の大きさ
上 下
8 / 260
死の大陸編 幼少期

第5話. 洞窟

しおりを挟む


 

 本来なら、僕はここで死んでいてもおかしくないような出来事が立て続けに起きていた


 記憶を失い目覚めたばかりの僕は気まぐれなフェンリルの行動によって命を救われた様なものだ


 とは言っても今の状況はなんら変わっておらず、意識が戻ったものの自分のことが何も思い出せない状況が、更に僕を不安のどん底におとしいれていく


 まず、頭の中を整理しようとしたが、見るもの全てが現実離れしており、まわりを見渡しながら取り敢えず身を隠せそうな場所を探そうと思い、今いる所から歩き出した。

 月明かりに照らされているとは言え、辺りは薄暗く、遠くから聴こえてくる不気味な悲鳴の様な鳴き声が嫌でも耳に入り込んでくる


 周りを見渡しながら、自分の身に何が起こっているのかさえ分からず、ただただ歩いているが先程の獣がまた現れでもしたらどうすればいいのか

 僕の頭の中は不安と恐怖でいっぱいだった!

 此処が地球でない事ははっきりしているが・・・

 ・・・ここは何処どこ

 ・・・何故なぜ僕は?


 そんな事ばかりを考え、現実を受け入れろうにも先程体験した出来事が僕を余計に混乱させている

 しかしながら今は最優先で安全な場所を確保したい為、身の危険を感じながらも細心の注意を払い、警戒しながら歩いていると、少し見上げた岩場の上に洞窟らしき入口を見つけた!

 
 恐る恐るゆっくり辺りを気にして岩場のある場所まで辿り着き、洞窟の入口からそっと中を覗き込むと・・・・

 真っ暗な闇そのものだった!

 月明かりも届かず、洞窟の入口が大きな口を開き、獲物が誘い込まれて来るのをひたすら待ち構えている様にも思えた!
 

 そんな状況下での僕の選択肢は限られていて、まずは身の安全を最優先に確保するためには、とにかくここが安全な場所かどうかを確認するため、洞窟の中に入るしかなかった

 ・・・覚悟を決め、周りを警戒しながら慎重に歩き始めるが流石に頭に不安がよぎる

 
 外よりは安全で身を隠せそうだが、もしこの先に先程の様な獣がいた場合、逆に僕の命の危険性が高まる

 いつ襲われるかも分からず、何も見えない状況下でゆっくりと一歩一歩、少しずつ壁伝いに歩いて進んで行く!


 少しずつゆっくりと洞窟の奥へと進み、ふと歩いて来た方向を振り返ると、月明かり照らす外は薄っすら見ることが出来るが、洞窟の奥に視界を戻すと全く明かりがなく、目を開けているのか閉じているのかさえ分からないほど暗闇に包まれ、まさに闇そのものだった!


 入口から10m位は歩いただろうか、その歩いた10mと言う数字の距離が凄く、とても凄く長い時間に感じる

 この暗闇にもだいぶ慣れてきたが、全く見えない事に変わりはない!

 ジワリジワリゆっくりと細心の注意を払い足音も立てず歩いて行く


 すると急に何かの気配を感じる!!

 何かいる!!!!!!

 ま、まずい!

 どうする⁉︎


 全神経を集中して、頭の中で試行錯誤しながら、直感的にどう行動すればよいのかを感じたのが、まず観察することだった


 いつでも動けるように身構え、意識は気配のある方に向けつつ、正体を探る様に全神経で観察を始める

 
 ・・・・・

    ・・・・・・・・・・


 何かが入り混じった様な匂いと呼吸音!

 間違いなく何かがそこに居て、呼吸している気配が感じとれる


 気配を感じ取ることは出来るが、相手の姿が全く見えないという状況がこんなにも不安で恐怖を感じることだとは思ってもみなかった!

 しかも、向こうはずっと僕の様子を伺っている可能性もあり、いつ僕に襲いかかってくるかもしれないので、全く気を抜けない


 ・・・・どうしよう。

 時間だけが経過して神経がすり減らされていくのが自分でも分かる


 何かがいるのは間違いなく気配で分かるが、もし相手がただ寝ているのであれば、起こさずにこのまま引き下がるのが賢明な判断だと思う

 逆にこの生物がもし起きていて入口から僕の行動をずっと伺っていたとしたら、非常に不利だ!

 ずっと神経を擦り減らしながら考えていると、急に何かが動く音がする!



 ゴソゴソ!

 ビクッ!!


 「どおしたのぉ⁉︎何でそこにずっと立ってるの⁉︎」

  
 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった

ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。 しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。 リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。 現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

処理中です...