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始まりの事故
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ダイヤモンドのように輝く海を背景に、
道路を走るバスの中。
今日、迷宮への片道切符を手にいれた若者がいた。
「おい、今日の天気は?」
俺はスマホを取り出し、搭載されてるAIに
聞いてみる。
《晴れです。》
そうか。なら、昼食はバーベキューでもしようかな。
きっと、美味しいんだろうな。
俺や後輩は、今日の冒険を思い浮かべながら、
楽しいバスライフを満喫していた。
だが、そんな雰囲気をぶち壊す者が一人。
「うぉぉぉ! 燃えてきたぁ!」
同じ学年の『伊藤-アツシ』。
この部の盛り上げ役でもあるし、
迷惑人でもある。
途端にバスが蒸し暑くなった。
そして、突然現れた熱血モンスターに、
1人の女勇者が立ち向かう。
「やめなさい、冷房の意味が無いわ。」
部長の『安藤-サトミ』。
彼とは因果関係にあるようだ。
「なにぃ! 耳栓すれば良いだろう」
「違う、あなたの顔面が暑苦しいの。
さっさとあの海に身を放り投げなさい。
冷たい水と、爽やかな風で
少しは涼しげのある男になれるわよ。」
「違う! 俺は元から冷静だ!。」
こいつ、自分が馬鹿にされてるの気づかないのか。
アツシとサトミのこの口喧嘩は、コントのように面白い。
でも、この景色を静かに味わいたかったな。
まぁいい。持ってきた小説を読むか。
俺は、バッグをあける。だが彼はそれを阻んだ。
いきなり、立ち上がって。
「今からトランプをやる。
強制参加だ、『ビリ』にはバツゲームも用意する。」
その理不尽な内容に、やはり彼女は黙ってなかった。
「嫌よ。何であなたの命令に従わなくちゃ..」
その発言を彼は見逃すはずがない。
「じゃあ、お前がビリな。」
「待って。何で負けたことになるわけ?」
「当然だ。参加しなきゃ負けようルールだからな」
なんだその小学生の『じゃんけん』みたいな決まりは。
まぁ、そんな脅しにうちの部長は。
「..なら、その勝負受けてたつ。」
もう、どっちも馬鹿だな。
勿論、俺も参加することになってしまった。
「おい、他の奴等もだぞ。」
前の席を指差す。
とうとう、下級生にも手を出し始めた。
「そうね、参加しなさい。命令よ」
何かこいつら組んでないか。
彼は置いといて、部長の命令に逆らえる者など居なかった。
どうやらババ抜きをするらしいが、
サトミがアツシのカードを引き抜く時だけ
異常に遅い。どんだけ負けたくないんだ。
女勇者のターン。
選択肢は引き抜くだけ。
真ん中、左。右。
と、選び続ける。
モンスターのムカつく顔攻撃。
勇者の判断を鈍らせた!!
「部長、早くしてください。
山についてしまいます。」
後輩が、正論という名の
攻撃魔法を唱えるが、
彼らは暴言を唱え、対抗する。
「黙れ下部。」
「消えなさい、mob」
おうふ。
二人の同時魔法は、後輩の魔法を打ち消した。
そんな、見えない戦闘が繰り広げられながら
バスはいつの間にか、目的地へと到着していた。
案の定、勝負がつかずに終わった彼らは
今度はどちらが先に山頂に行けるか、という
体力勝負に変更された。
俺と後輩達は、必死な思いで二人に付いていく。
しかし、登山には協力が必要不可欠。
途中の危険な場所では、勝負のことは
忘れてくれるらしい。
早速、壁のような坂道を登るようだ。
一番力のあるアツシが、先に登る。
手にクナイのような物を装備し、
刺しながら、進んで行く。
その後、命綱を岩などに引っかけて、
それを下にいる俺らに届くように下ろす。
結構危険だけどスリルがあって面白い。
でも、その日は運が悪かった。
いや、そんなんじゃない。
切られたのだ。裂けそうな笑みと共に。
道路を走るバスの中。
今日、迷宮への片道切符を手にいれた若者がいた。
「おい、今日の天気は?」
俺はスマホを取り出し、搭載されてるAIに
聞いてみる。
《晴れです。》
そうか。なら、昼食はバーベキューでもしようかな。
きっと、美味しいんだろうな。
俺や後輩は、今日の冒険を思い浮かべながら、
楽しいバスライフを満喫していた。
だが、そんな雰囲気をぶち壊す者が一人。
「うぉぉぉ! 燃えてきたぁ!」
同じ学年の『伊藤-アツシ』。
この部の盛り上げ役でもあるし、
迷惑人でもある。
途端にバスが蒸し暑くなった。
そして、突然現れた熱血モンスターに、
1人の女勇者が立ち向かう。
「やめなさい、冷房の意味が無いわ。」
部長の『安藤-サトミ』。
彼とは因果関係にあるようだ。
「なにぃ! 耳栓すれば良いだろう」
「違う、あなたの顔面が暑苦しいの。
さっさとあの海に身を放り投げなさい。
冷たい水と、爽やかな風で
少しは涼しげのある男になれるわよ。」
「違う! 俺は元から冷静だ!。」
こいつ、自分が馬鹿にされてるの気づかないのか。
アツシとサトミのこの口喧嘩は、コントのように面白い。
でも、この景色を静かに味わいたかったな。
まぁいい。持ってきた小説を読むか。
俺は、バッグをあける。だが彼はそれを阻んだ。
いきなり、立ち上がって。
「今からトランプをやる。
強制参加だ、『ビリ』にはバツゲームも用意する。」
その理不尽な内容に、やはり彼女は黙ってなかった。
「嫌よ。何であなたの命令に従わなくちゃ..」
その発言を彼は見逃すはずがない。
「じゃあ、お前がビリな。」
「待って。何で負けたことになるわけ?」
「当然だ。参加しなきゃ負けようルールだからな」
なんだその小学生の『じゃんけん』みたいな決まりは。
まぁ、そんな脅しにうちの部長は。
「..なら、その勝負受けてたつ。」
もう、どっちも馬鹿だな。
勿論、俺も参加することになってしまった。
「おい、他の奴等もだぞ。」
前の席を指差す。
とうとう、下級生にも手を出し始めた。
「そうね、参加しなさい。命令よ」
何かこいつら組んでないか。
彼は置いといて、部長の命令に逆らえる者など居なかった。
どうやらババ抜きをするらしいが、
サトミがアツシのカードを引き抜く時だけ
異常に遅い。どんだけ負けたくないんだ。
女勇者のターン。
選択肢は引き抜くだけ。
真ん中、左。右。
と、選び続ける。
モンスターのムカつく顔攻撃。
勇者の判断を鈍らせた!!
「部長、早くしてください。
山についてしまいます。」
後輩が、正論という名の
攻撃魔法を唱えるが、
彼らは暴言を唱え、対抗する。
「黙れ下部。」
「消えなさい、mob」
おうふ。
二人の同時魔法は、後輩の魔法を打ち消した。
そんな、見えない戦闘が繰り広げられながら
バスはいつの間にか、目的地へと到着していた。
案の定、勝負がつかずに終わった彼らは
今度はどちらが先に山頂に行けるか、という
体力勝負に変更された。
俺と後輩達は、必死な思いで二人に付いていく。
しかし、登山には協力が必要不可欠。
途中の危険な場所では、勝負のことは
忘れてくれるらしい。
早速、壁のような坂道を登るようだ。
一番力のあるアツシが、先に登る。
手にクナイのような物を装備し、
刺しながら、進んで行く。
その後、命綱を岩などに引っかけて、
それを下にいる俺らに届くように下ろす。
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でも、その日は運が悪かった。
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切られたのだ。裂けそうな笑みと共に。
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