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二話
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王都のある一室。
勇者を召喚するためだけの部屋であるそこに、困惑と歓喜の声が響いていた。
困惑は言わずもがな召喚された勇者の一部から。
歓喜も状況を把握した勇者の一部、そして立ち会っていた王族達からである。
「皆の者、予定通りに」
王が言い王族達は一斉に部屋から出て行く。
勇者からしたらいきなり風景が変わり人が沢山いると思った次の瞬間には居なくなってしまった。
意味が分からない。
「召喚されし勇者達よ、先ずは話を聞いて欲しい」
言い忘れていたが今回召喚されたのは高校生らしき計三十人ほど、大人はいない。
言いたい事がある者が多いようだが取り敢えずは話を聞く様だ。
「君達にはこの世界を救って欲しい。
具体的に言えば魔王を倒して欲しいと言う事だ」
喜ぶ者やなんで俺がと苛立つ者もいるが次の言葉で全て呑み込まれる。
「君達に命の危険はない。
また、それでも辞退したい者は元の世界に戻そう。
一週間ほど時間は貰うがな」
“命の危険はない”の一言で危惧していた事がほとんど消えてしまった。
「詳しいことは後から担当の者が説明しよう。何か質問はあるか」
一人の生徒が手を上げた。
この状況で一人しか上げないということはクラスのまとめ役なのだろうか。
「命の危険がないというのはどういうことですか?」
「言葉の通りだ、死んでも生き返る。
回数はある程度決まっているようだがな」
「回数を超えてしまうとどうなりますか?」
「元の世界に戻される。
痛みも必要最低限しか感じない」
「時間は?」
「こちらでいくら過ごしても君らの時間は消費されない」
「元に戻る際の一週間の間は?」
「魔力を集めるためだ」
「返答は?」
「今が望ましい」
「途中で辞退は?」
「出来る」
・・・段々と質問も回答も雑になっているのは気のせいだろうか?
ま、まあ取り敢えず質問は終わりらしい。
「取り敢えず俺達に不利な事は無さそうに見えるけど断りたい奴はいるか?」
それぞれが顔を見合わせたり、近くの者と相談したりするが、辞退する者はいない様だ
「では、君達のことを担当する者達を紹介しよう。」
王様の言葉で鎧を身に纏い、券を携えた一人の男が入ってくる。
「王国騎士団第二隊、隊長のウォンだ。
よろしく頼む」
「ウォンには護衛と教官を担当してもらう」
ウォンは平民だが実力で隊長になったすごい人である。
「では、移動しながら戦い方やこの世界の詳しい現状を説明しよう」
「何処へ移動するんですか?」
「ラント村だ」
勇者を召喚するためだけの部屋であるそこに、困惑と歓喜の声が響いていた。
困惑は言わずもがな召喚された勇者の一部から。
歓喜も状況を把握した勇者の一部、そして立ち会っていた王族達からである。
「皆の者、予定通りに」
王が言い王族達は一斉に部屋から出て行く。
勇者からしたらいきなり風景が変わり人が沢山いると思った次の瞬間には居なくなってしまった。
意味が分からない。
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言い忘れていたが今回召喚されたのは高校生らしき計三十人ほど、大人はいない。
言いたい事がある者が多いようだが取り敢えずは話を聞く様だ。
「君達にはこの世界を救って欲しい。
具体的に言えば魔王を倒して欲しいと言う事だ」
喜ぶ者やなんで俺がと苛立つ者もいるが次の言葉で全て呑み込まれる。
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また、それでも辞退したい者は元の世界に戻そう。
一週間ほど時間は貰うがな」
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「詳しいことは後から担当の者が説明しよう。何か質問はあるか」
一人の生徒が手を上げた。
この状況で一人しか上げないということはクラスのまとめ役なのだろうか。
「命の危険がないというのはどういうことですか?」
「言葉の通りだ、死んでも生き返る。
回数はある程度決まっているようだがな」
「回数を超えてしまうとどうなりますか?」
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痛みも必要最低限しか感じない」
「時間は?」
「こちらでいくら過ごしても君らの時間は消費されない」
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「返答は?」
「今が望ましい」
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「出来る」
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よろしく頼む」
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ウォンは平民だが実力で隊長になったすごい人である。
「では、移動しながら戦い方やこの世界の詳しい現状を説明しよう」
「何処へ移動するんですか?」
「ラント村だ」
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