妖精の君を愛してやまない

髙橋 ななし

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大きいのと小さいの

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 三人で食べるお昼は賑やかで1週間はあっという間に過ぎた。

「今日の昼飯どうすんだ?」

 千冬が私の席まで来て、私とアリアを見ながら訊ねた。

「皆で食べませんか?」

 アリアが誰かを手招きしながら提案する。

 その視線の先を覗くと大柄な男子生徒が近付いてきた。

「紹介しますね~、こっちの大きいのが高広くんで、こっちの小さいのが萌ちゃん」

 身長が高く威圧的な高広の背後に萌と呼ばれた女の子が隠れていた。アリアに名前を呼ばれ、顔だけぴょこっと出して「どうも」と呟いたかと思うとまた引っ込んだ。シャイなのだろう。

「それでそれで~、こっちが颯人くんと~、葛葉くん。二人がアリアを置いて図書委員やってる間に、颯人くん達が仲良くしてくれたんですよ!」

 私よりも千冬の方が気遣ってあげてた気がするが、何も言わないでおく。

「アリアちゃんと仲良くしてくれてありがとう」

 萌が高広の背中越に礼を言う、少々話しづらいと思った。

「あ、そんなお礼を言われる程の事じゃないし、今日からは皆でお昼を一緒に食べよっか」

「うん」

「じゃあ中庭へ行こうか」

 私が言うと萌はすぐに頷いた。その返事を聞いて先に動いたのは高広だった。

 皆で教室を出ると、千冬が私に近付いて耳打ちした。

「高い所苦手な友達ってどっちだろうな」

 その時の千冬の視線がいつもより少しだけ低く見えた。




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