妖精の君を愛してやまない

髙橋 ななし

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中庭と屋上

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「千冬、今日はお昼一緒に食べれるよ」

「あぁ....楪、お前も来るか?」

 お弁当持って近付く私に空返事したかと思うと、窓際の席を見ながら千冬が誰かを呼んだ。

「ご一緒しても良いんですか~?」

 碧眼がキラキラと千冬を見つめた。

「千冬の友達?」

「昨日、一緒に昼飯食ってな」

「は~い、葛葉くんの新しいお友達の楪 アリアでーす。颯人くんも、アリアって呼んでくださいね」

友達ダチが委員の仕事で居ない間ぼっち飯が寂しんだってよ」

 なんだ、私が居なくても千冬は上手くやれている。寂しいような嬉しいような。

「そっか、よろしくねアリアさん」

「も~、葛葉くん!アリアはそんな言い方してないです~」

 頬をぷくーと膨らませて彼女は千冬の肩を両の拳でぽかぽかと叩く。

 当の千冬は痛くも痒くも無いようで「はいはい」と楽しそうに彼女をなだめている。

「中庭と屋上、どっち行こうかな」

「俺はどっちでも」

「アリアは屋上が良いです!友達が高い所苦手でー、まだ行ったこと無いんですよねー」

「じゃあ屋上でお昼食べよっか」

「おう」

「やったー!」

 私が言い終わると同時に、肯定して淡々と歩き出す千冬とは対照的にぴょんぴょんと全身で喜びを表現するアリア。

 何だか賑やかになったなぁと二人を見つめる。

 でも私、自分のことを名前で呼ぶ女子は少し苦手かな。





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