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女と男 (2)
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「千冬はいつ、女か男になるんだろうね」
考えずに口を出た言葉。他愛もない話題で言ったつもり。
なのに、君は酷く絶望した顔で私を見た。
「あっ、いや、そのー」
やらかした。と思ったがもう遅い。言ってしまった言葉はもう元には戻らない。開いてしまった傷口はそう簡単に塞がらない。
なんとか場の空気を変えようと次の言葉をあたふた探していると、君が先に口を開いた。
「お前は、どっちが良いんだ?」
「え、っと」
咄嗟に言葉が出なくて君に視線を戻す。
千冬は肉マンを食べ終え、マフラーで口元を隠していた。赤くなった指先が微かに震えている。
前を向いたまま千冬はもう一度、はっきりと訊き直した。
「俺が、女になるか、男になるか、お前はどっちが良いんだ?」
息をゆっくり吸ってから君に一歩近付く。
君と友達になりたいと思った幼稚園の時を思い出したら、言葉がすらすらと出てきた。
「どっちでも良い、、かな。女だろうと男だろうと、千冬は千冬だよ。他の誰でもない、私の大事な友達」
正直に心の内を明かした。嘘偽りのない、素直な気持ち。
「そっか、、ありがとう」
視線を合わせてくれないけど、目元が赤くなっているのが分かる。小さくお礼を言う君に今度は私が小さく「ごめんね」と言った。
「高校、一緒のクラスになれるといいな」
「うん、楽しみだね」
考えずに口を出た言葉。他愛もない話題で言ったつもり。
なのに、君は酷く絶望した顔で私を見た。
「あっ、いや、そのー」
やらかした。と思ったがもう遅い。言ってしまった言葉はもう元には戻らない。開いてしまった傷口はそう簡単に塞がらない。
なんとか場の空気を変えようと次の言葉をあたふた探していると、君が先に口を開いた。
「お前は、どっちが良いんだ?」
「え、っと」
咄嗟に言葉が出なくて君に視線を戻す。
千冬は肉マンを食べ終え、マフラーで口元を隠していた。赤くなった指先が微かに震えている。
前を向いたまま千冬はもう一度、はっきりと訊き直した。
「俺が、女になるか、男になるか、お前はどっちが良いんだ?」
息をゆっくり吸ってから君に一歩近付く。
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「どっちでも良い、、かな。女だろうと男だろうと、千冬は千冬だよ。他の誰でもない、私の大事な友達」
正直に心の内を明かした。嘘偽りのない、素直な気持ち。
「そっか、、ありがとう」
視線を合わせてくれないけど、目元が赤くなっているのが分かる。小さくお礼を言う君に今度は私が小さく「ごめんね」と言った。
「高校、一緒のクラスになれるといいな」
「うん、楽しみだね」
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