妖精の君を愛してやまない

髙橋 ななし

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想いと思い

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 『葛葉先輩』と聞いて赤くなる君と固まる私。

 バレンタインデーに女の子が誰かを呼び出すのって、そういうことだよね。

「直ぐ戻るから待ってくれ」

「気にしないで、私は先に先生探してくるよ」

「姉さんのチョコ一緒に食おうな」

「うん」

 『先に帰るな』と圧をかけられた。

 邪魔したくない。でも同時に、男じゃない君が女子の告白にどう答えるか気になる。

 先生との話しも直ぐに終わった。早く千冬を探した方が良いのか、ゆっくりさせてあげた方が良いのか、気を遣いながら学校の廊下を歩いているとすすり泣く声が聞こえた。

「悪い、泣かせるつもりはなかった。でも気持ちには答えられない」

「先輩は恋人も好きな人もいないんですよね?なら優衣と付き合っても良いんじゃないですか?気持ちに答えられないって意味分かりません」

 優衣と呼ばれた女の子の背中をさすりながらもう一人が千冬を睨み吠える。

「見ての通り俺は無性別。想像して、付き合ってる彼氏がある日突然自分と同じ女の子になること。それでも俺みたいなのと付き合いたいと思う?」

 優衣は泣くばかりで何も答えない。

「そういうことだよ」

 話しは終わったと言わんばかりに立ち去ろうとする千冬の手を優衣は掴んだ。

「せめて、チョコだけでも、貰って、ください、先輩を想って、作りました」

「ありがと」

 千冬がチョコを受け取ると、優衣は深く頭を下げた後に友達とどこかに行ってしまった。



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