妖精の君を愛してやまない

髙橋 ななし

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昔と今

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「おーい、起きろー。HR終わったぞー」

「んー」

「ったく、俺先帰んぞ」

「やーだ、千冬待ってよー」

 寝起きで頭が回らない。千冬に置いてかれるのが嫌で、急いで目を開けるとはちみつ色の瞳をした天使に睨まれていた。

「あれ、天使?」

「馬鹿、俺だよ。でもまぁ、どっちも性別が無いことを考えるとあながち間違いじゃないな」

 鞄を肩に掛けながら君は笑う。

 自分も立って机の横に引っ掛けてある鞄を持ってさりげなく話題をそらす。

「昔の夢をみたんだよね、幼稚園くらいの時の」

「10年前の話じゃん、明日の受験で緊張してんのか?」

 教室のドアへ向かう足を止めずに君は視線だけを私に向ける。

「そうかも」

 短い返事に「ふーん」と言いながら君は思い出したように話す。

「俺ら妖精はエスカレーター式で行く場所決まってるから特に気にしてなかったな。でもどうしてもその高校に行きたいんだろ? ならどうにかなるっしょ」

「うん、そこはバスケ部強いからね。それにもう少し千冬と一緒に青春したいと思ってさ」

 妖精の末裔は産まれ落ちた瞬間から社会勉強をさせられていると言っても過言じゃない。

 人と過ごすことで、より人らしく。それを強いられている気がする。

 そのため小・中は家から近い学校へ通わせるが、高校だけは皆一つに集められ、大人になる最後の段階を一貫させるのだろう。

 それでも妖精の末裔は割合が少なく、全校の二割にも満たないとか。

  






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