妖精の君を愛してやまない

髙橋 ななし

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人と末裔

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 神奈川県のとある盆地、そこは自然に溢れとても住みやすい場所。

 山々に囲まれたそこは、人と人ならざる者が共存していると噂がある。

 それはただの噂ではなかった。耳はとんがっていないし、翅もない、空も飛べないが....彼らは妖精だ。

 人間と共存し、年々人間の姿へ変わりゆく妖精の末裔がその地には居た。

「たんぽぽ組の親御さん集まってくださーい、写真撮りますよー!」

 二十組の親と子供、園長の他に先生数名が幼稚園の前で肩を並べたり、椅子に座って子供を膝にのせたりして写真撮影に備えていた。

「いきますよー! ハイ、チーズ!」

 カメラマンの掛け声の後に、カシャ、カシャと二回いい音が聞こえたかと思うとすぐに解散の声がかかる。

 人混みの中、私は千冬を見かけ直ぐに母の手を引っ張った。

「ママ! てんしさまがいたよ! このまえはなしたてんしさま!」

「さてさて、颯人が天使と見間違えるほど可愛い子ちゃんは誰かなー? ふふふ」

「あそこだよママ! ちふゆくんっていうんだ! ほら、あのなふだがのこ」

 指を丸め、望遠鏡のふりをして遊んでいる母の動きがピタッと止まって私の顔を覗き込む。

「千冬....くん? の名札は紫色なの?」

「うん、そうだよ! はやくいこうママ! ちーくんがどっかいっちゃう!」

「ちょっと待って颯人、千冬くんの所に行く前に大事な話があるの」

 手を引っ張る私と同じ目線になるように母がしゃがむと真面目な顔で説明してくれた。











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