妖精の君を愛してやまない

髙橋 ななし

文字の大きさ
上 下
1 / 22

天使と妖精

しおりを挟む

 初めて君を見た時、天使様だと思った。

 透き通るように白い肌、両目に掛かった栗色の髪。泥で汚れた水色のシャツとジーンズの短パン

 一人、砂場で泥団子を作る天使様。

「いっしょにあそんでもいい?」

「いいよ」

 前に立って声を掛けると、君は私を見ることもなく『いいよ』と言ってくれた。

 嬉しいような、寂しいような、でもそんな気持ちより、私はどうしても、泥団子で遊んでいる君の隣に居たくてその隣にしゃがんだ。

 どうにか君の気を引こうと思って今度は自分の名前を教え、ついでに君の名前も訊ねた。

「ぼくのなまえははやと!きみは?」

 その時君は手を止めた、私はやっと泥団子に勝ったのだ。

 ゆっくりと顔を私にむけ、君のはちみつ色に見つめられる。やっぱり天使様だったんだ....と、確信を得た時。

 そのはちみつは揺れ、大きな瞳からこぼれそうになりながら、君はたどたどしく答えてくれた。

「わた、う....ぼ、ぼく、ちふゆ....」

 ちふゆ、可愛い名前。私の天使様は千冬と言うんだ。

「ちーくんだね!よろしく!」

「うん....よろしく」

 名前が知れて嬉しい私とは逆に、千冬はどこか落ち込んだように泥団子に視線を戻す。

 数日後の入園式で、公園で会った天使様が妖精の末裔だと知ることになる。



















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いつかコントローラーを投げ出して

せんぷう
BL
 オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。  世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。  バランサー。  アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。  これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。  裏社会のトップにして最強のアルファ攻め  ×  最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け ※オメガバース特殊設定、追加性別有り .

ペイン・リリーフ

こすもす
BL
事故の影響で記憶障害になってしまった琴(こと)は、内科医の相澤に紹介された、精神科医の篠口(しのぐち)と生活を共にすることになる。 優しく甘やかしてくれる篠口に惹かれていく琴だが、彼とは、記憶を失う前にも会っていたのではないかと疑いを抱く。 記憶が戻らなくても、このまま篠口と一緒にいられたらいいと願う琴だが……。 ★7:30と18:30に更新予定です(*´艸`*) ★素敵な表紙は らテて様✧︎*。 ☆過去に書いた自作のキャラクターと、苗字や名前が被っていたことに気付きました……全く別の作品ですのでご了承ください!

ほだされ兄貴とわんこ舎弟。

有村千代
BL
<あらすじ> コワモテだけど、不破龍之介はごく普通の男子高校生…だったはずなのに。 新入生の犬塚拓哉との出会いから一変? 犬塚は不良に絡まれていたところを助けてくれた恩義に、不破の舎弟になりたいと申し出たのだった! まるで子犬のように慕ってくる犬塚。「シモの世話でもしてもらうか」と意地悪に言ったって受け入れる始末で――って! なにドキドキしてんだ、俺!? 受けへの溺愛が止まらない☆とびきりキュートな甘々ラブ!! 【ほだされコワモテ男×健気なラブリーわんこ(高校生/先輩×後輩)】 ※『★』マークがついている章は性的な描写が含まれています ※ストーリーを味わうというより、萌え・癒しを感じたい人向けです(ひたすらピュアで甘々) ※全30回程度(本編5話+番外編1話)、毎日更新予定 ※作者Twitter【https://twitter.com/tiyo_arimura_】 ※マシュマロ【https://bit.ly/3QSv9o7】 ※掲載箇所【エブリスタ/アルファポリス/ムーンライトノベルズ/BLove/fujossy/pixiv/pictBLand】

神様には頼らない

三冬月マヨ
BL
『神様』のその後。 イチャイチャしたりイチャイチャしたりイチャイチャしたり。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

かいせん(line)

たくひあい
BL
「特異能力科」では超感覚的知覚や異能を元に、非科学的な未解決事件などを密かに調査を行っている。 サイコメトラー(心が読める)界瀬絹良と予知能力を持つ藍鶴色は、そこでのパートナーでもあり恋人だったが… 『能力を使うことは心を使うこと』 居場所の無い人たちが紡ぐちょっと切ないBL。

処理中です...