隷属の証

Hypnos

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1年1学期

始まり

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ガチャっと陽介の部屋の扉を無遠慮に開き、ドアをきっちり閉めてから匠はズカズカと陽介のそばまで歩く。荷解きが終わって携帯を見ていた陽介は何かを察し、匠と向かい合う。

「お前、あんな上玉どこで見つけたんだよ」
「ん?入学式への道で新入生を物色していたら、一人でなんか思い詰た感じで歩いてたから声をかけたんだよ。顔見た瞬間内心ビビったけどね。それなりに人を見てきたけど、あんな可愛い子は滅多にいない。しかも性格も良さそうだしな。そんで寮に誘ったわけ」
「ふーん。でもあいつ無垢で純粋そうじゃん、どうすんの?」
「落とすに決まってんだろ。あんな子と三年間一緒に暮らして手を出さないとかありえないだろ。てかお前も会うなり露骨に欲しそうに見つめてたじゃん」
「まあ、モロタイプだからな。ああいう子を自分の色に染め上げて支配できたらこれ以上ないくらい気持ちいいだろうし」

何やら粉末の入った瓶を二つ取り出して、匠は小さな声で囁く。

「今日月曜日で最初の授業日が来週だろ?ちょっと強引だけど最初の一週間で楓ちゃんを俺たちのモノにしてやろうぜ。どうせ俺らが手を出さなくてもあんな見た目じゃ近いうちに誰かに食われるだろうし、俺らが守ってやらねーと」
「相変わらず爽やかな上っ面をしながらやることがゲスだなお前。まあアイツを抱けるのならいいか」
「んじゃ後で夕食の時に楓の飲み物に睡眠薬と媚薬を入れておくから、出前を頼むように誘導してくれ」

ため息をつきながら分かったと陽介は小さい声で囁いた。

二人は部屋から出るとリビングを挟んで向かい側にある楓の部屋のドアにノックする。

「どうしたの二人揃って?」

部屋から出てきて小首を傾げながら二人を見上げる楓に陽介は努めて優しく話しかける。

「さっきは驚かしてごめんな。これから一緒に三年間暮らしていくわけだし、今日は出前でもとって一緒に食べないか」
「賛成!ちなみに俺はピザがいいな!コーラ付きで!」

テンションが異様に高い匠を見て楓はクスリと笑う。

「いいよ。じゃあ久しぶりにピザを頼もうか」
「やったー!」

新しく出来た同居人達と仲良くなれそうな気がして嬉しそうにする楓は気付かない、欲に塗りつぶされて暗く光る匠と陽介の目に。
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