隷属の証

Hypnos

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1年1学期

寮へ

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入学式の後、楓は匠と一緒にStudent Centerに向かっていた。会場では家族と写真を撮っていた生徒達が多かったが、今のうちにワシントンハイツを押さえようと、家族が来なかった二人は周りを気にせずに急いだ。Student Centerの中にもすでに幾人かの新入生が並んでいたが、間に合ったようだ。

「あ、こんにちは。新入生の樋口匠です。すでにルームメートが二人見つかったので、ワシントンハイツの申請をお願いします」
「はい、でしたらこちらのフォームに入居される方のお名前と学生ナンバーをご記入ください。注意事項などはこちらのパンフレットに記載されていますので、入居の際には必ず目を通してください」
「よかった、匠に言われた通りに急いで。もたもた歩いていたら、絶対ワシントンハイツには入れなかったよ」

ふうっと、安心したように言う楓に職員は微笑み、テキパキと作業を進める。

「では、これで手続きは完了です。こちらが預かっている荷物は部屋の方に運び入れるよう連絡したので、そのままワシントンハイツに向かってもいいですし、少し学園を見て回るのもいいでしょう。今日はお疲れ様でした」
「ありがとうございます」

カードキーを渡された二人は職員に礼を言ってからカウンターから離れ、相談する。

「楓ちゃん、これからどうする?とりあえず寮に向かうか?」
「そうだなー、早く来たおかげですぐに荷物を運んでくれるみたいだから、先に荷解きしようと思うんだけど」
「オッケー、じゃあ行こうぜ」

匠は機嫌良さそうにそういうと、楓の肩に手を回して歩き始めた。急なスキンシップに楓は少し戸惑いつつも、特に何も思わず新しくできたワシントンハイツに期待を寄せていた。

十分ほど歩くと、黒く光る三十階建てのマンションが目の前に聳え立っていた。

「おー郊外にしては結構ちゃんとしたマンションじゃん」
「だね、ピカピカだ」
「俺たちの部屋は確か2604だったか」

そう話しながら二人は一階のロビーを通り、エレベーターにカードキーを翳して26階を押した。エレベーターから出た後廊下を少し歩くと、ついに2604室に着き、再びカードキーを翳して部屋に入った。
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