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新人騎士奮闘中
第二幕
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駐屯地から国境までは1週間の道のり。
早馬で報告されたのだが、準備で1日潰れている。
前線を突破されたのが3日前。
同じ速度で行軍したとして、会敵は2日後だったはずなのだが、行軍1日で索敵に敵が引っかかった。
予想以上の敵の行軍スピードだが、最精鋭である前線の騎士団を破って進軍してきたモンスターに、治安維持が主の内地部隊が果たしてどれだけ戦えるのだろう。
私にはそこが不安で仕方ないのだが、周りの騎士達は士気が高く、突撃する気満々だ。
先陣が敵の先陣とぶつかる。
多くの叫び声と共に戦闘が開始される。
どう見ても、お互いの先陣の力量の差が明らかで、我が部隊の先陣は押されまくっている。
当然の結果だと思うが、我々はただの時間稼ぎの駒だったのだ。
前線を立て直し、新たなモンスターの侵入を防ぎ、王都からの近衛部隊との挟み撃ちで、侵入したモンスターの殲滅。
その間の時間稼ぎに、直ぐに補充の効く治安維持部隊を捨て駒に使う。
理に叶った戦略なのだろうが、捨て駒にされている我々の気持ちも考えて欲しいものだ。
こんな所で死ぬ程私の命は安く無いが。
しかし、サラ以外に本気を見られたく無いというのも本音だ。
暫し考えていると、まさかの先陣崩壊。
時間稼ぎにもならないほど、治安維持部隊の実力は無かった。
これは、私にとっても想定外。
のらりくらりやろうと思っていたさなかの先陣崩壊だったからだ。
時間を稼がなければ、私以外は全滅するかもしれない状況だ。
報告されるリスクを冒してでも、多くの人を生かす道を取るのか、リスクを冒さず少数を取るか。
難しい選択を限られた時間の中でしなければいけない。
とはいえ、もはやそれほどの時間は残されていないので、やはりやるしかないようだ。
多くの人を救う選択をした私は、サラにアイテム回収だけする様に伝え、1人大軍に突っ込む決意を固めた。
多対一の戦いを見据えた私が編み出したのが、サラマンダー君の火を斬撃として広範囲攻撃出来る様にすること。
超高温の炎をバーナーの様に切先から放出する。
ただしこの技は味方をも巻き込んでしまうし、手持ちの武器では放出する炎の熱に耐えられず、長時間戦い続ける事が出来ない。
ただ幸いな事にこの戦場には替りの剣がたっぷりあるので私の魔力が尽きるまで戦い続ける事が出来る。
死んだら武器あっても使えないもんね。ありがたく使わせて頂きましょう。
まずは一振り大軍相手に振ってみる。
思っていた程手応えが無い。
バタバタと敵が倒れていく。
前線が崩壊した程のモンスターのはずなのだが、私にはそれなりのモンスターにしか感じられない。
戦う前までの絶望感は一体なんだったのだろう。
ギリギリだが、ノラの造った剣一振りで全滅させてしまった。
私がチートキャラなのか、軍事大国だったはずのこの王国が実は弱小国だったのか私には判断しかねるが、ひとまず危機は去ってしまった。
早馬で報告されたのだが、準備で1日潰れている。
前線を突破されたのが3日前。
同じ速度で行軍したとして、会敵は2日後だったはずなのだが、行軍1日で索敵に敵が引っかかった。
予想以上の敵の行軍スピードだが、最精鋭である前線の騎士団を破って進軍してきたモンスターに、治安維持が主の内地部隊が果たしてどれだけ戦えるのだろう。
私にはそこが不安で仕方ないのだが、周りの騎士達は士気が高く、突撃する気満々だ。
先陣が敵の先陣とぶつかる。
多くの叫び声と共に戦闘が開始される。
どう見ても、お互いの先陣の力量の差が明らかで、我が部隊の先陣は押されまくっている。
当然の結果だと思うが、我々はただの時間稼ぎの駒だったのだ。
前線を立て直し、新たなモンスターの侵入を防ぎ、王都からの近衛部隊との挟み撃ちで、侵入したモンスターの殲滅。
その間の時間稼ぎに、直ぐに補充の効く治安維持部隊を捨て駒に使う。
理に叶った戦略なのだろうが、捨て駒にされている我々の気持ちも考えて欲しいものだ。
こんな所で死ぬ程私の命は安く無いが。
しかし、サラ以外に本気を見られたく無いというのも本音だ。
暫し考えていると、まさかの先陣崩壊。
時間稼ぎにもならないほど、治安維持部隊の実力は無かった。
これは、私にとっても想定外。
のらりくらりやろうと思っていたさなかの先陣崩壊だったからだ。
時間を稼がなければ、私以外は全滅するかもしれない状況だ。
報告されるリスクを冒してでも、多くの人を生かす道を取るのか、リスクを冒さず少数を取るか。
難しい選択を限られた時間の中でしなければいけない。
とはいえ、もはやそれほどの時間は残されていないので、やはりやるしかないようだ。
多くの人を救う選択をした私は、サラにアイテム回収だけする様に伝え、1人大軍に突っ込む決意を固めた。
多対一の戦いを見据えた私が編み出したのが、サラマンダー君の火を斬撃として広範囲攻撃出来る様にすること。
超高温の炎をバーナーの様に切先から放出する。
ただしこの技は味方をも巻き込んでしまうし、手持ちの武器では放出する炎の熱に耐えられず、長時間戦い続ける事が出来ない。
ただ幸いな事にこの戦場には替りの剣がたっぷりあるので私の魔力が尽きるまで戦い続ける事が出来る。
死んだら武器あっても使えないもんね。ありがたく使わせて頂きましょう。
まずは一振り大軍相手に振ってみる。
思っていた程手応えが無い。
バタバタと敵が倒れていく。
前線が崩壊した程のモンスターのはずなのだが、私にはそれなりのモンスターにしか感じられない。
戦う前までの絶望感は一体なんだったのだろう。
ギリギリだが、ノラの造った剣一振りで全滅させてしまった。
私がチートキャラなのか、軍事大国だったはずのこの王国が実は弱小国だったのか私には判断しかねるが、ひとまず危機は去ってしまった。
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