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第一章 ルード皇国 編

勇者一行の帰路・その1

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帰路 1日目
~勇者・ジークの視点~

 俺はマヤカの肩を借りて、洞窟の外に出た。その頃には、骨が折れたかのような痛みがなくなって、完全に回復していた。洞窟の外にはティーエとガラフがずぶ濡れで待っていた。

 マヤカの話によれば、俺が気を失ったあと、俺たちが探し求めていた『奇跡の水』が10本も手に入ったということだった。そのうち一本は、俺がすでに使ってしまったが。

 でもこれを持って帰れば、国王の娘でもあり、俺の恋人でもあるエリザベートを治すことができる。そして、俺はエリザベートと結婚する許可を頂ける。

 そう俺たちはミッションに成功したのだ。あとは来た道を引き返すだけだった。来るのに1年半かかったが、それよりも短い期間で帰ることができるだろう。この時までは、そう思っていた。
 しかし、それは大きな誤算だった。


帰路 2日目
~魔法使い・ティーエの視点~

 私たちは、昨日大型の熊の魔獣の群れに襲われました。こちらも万全な体制ならなんとかなったと思います。

 私たちの必勝パターンは、ガラフが相手の注意をひき、その隙に私が魔法を詠唱し、相手にダメージを与えるというものです。そして、とどめにジークが切り倒すというものでした。マヤカはサポート役でした。

 しかし、私は魔法の威力を増幅する杖を失い、ジークはオリハルコンの剣を失っていました。そして、ジークの鎧はガラフの腕でも修復不能なほど損傷していました。

 熊の魔獣は私の魔法に怯むことなく向かってきました。ジークの剣はミスリル製の剣でしたが、熊の腕を切断するには至りませんでした。

 さらに、ガラフはいつもなら前に出て戦ってくれるところを、どういうわけか、やや後ろの方にいるままでした。

 私たちの必勝パターンは崩れ去っていました。私たちはひとまず退却を決め、森の中を走りました。
そして………森の中を迷ってしまいました。
 

帰路 7日目
~ドワーフ・ガラフの視点~

 ワシは、洞窟の中で皆の前に出れなかったことを悔いていた。洞窟を出た後、皆にそのことを謝ったら、あれは仕方がないと皆は慰めてくれた。本当に申し訳ない事をした強く思った。

 そして、1日目に熊の魔獣に襲われた時、死ぬつもりで皆の盾になろうとしたが、洞窟での出来事がトラウマになってしまったのか、足が動かなかったのだ。なんとか退却できたが、このままではいけなかった。早く克服して役に立たなければ………


帰路 14日目
~僧侶・マヤカの視点~

 私はティーエが隣で眠ったのを確認した。そして、私は2週間前の出来事を思い出していた。あの魔王様のことだ。少年のような顔立ちでいて、それに似合わない鍛え抜かれた体。それを思い出すと私の体の火照りがとまらなかった。私はその火照りを鎮めるために、自分の乳房を揉んだ。もう片方の手は自分の恥部に手を伸ばし、自分の性欲を満たした。吐息が漏れるのをこらえながら、私は絶頂を迎えた。


    『奇跡の水』 残数 9本
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