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第一章 ルード皇国 編
告白・その1
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師匠は俺が人間の言葉が分からない事は、最初に出会った時に気づいたらしい。最初人間だと思って話しかけたら、全く通じなかったからだ。
そういや、何か言っていたような覚えもあった。
しかし、これから人間のいる大陸に渡るのであれば、言葉が分からないのは不便だという事で、師匠に南の大陸の言葉を教えてもらうことになった。学校を卒業するまでにはなんとかものにするつもりだった。
俺は学校に行き、旅のための知識をつけ、師匠には魔法の修行と言葉の勉強をしてもらい、家では妹のルーリスの世話をするという毎日を送っていた。
ルーリスは可愛かった。ルーラとアギリスの娘なのだ。間違いなく可愛く育つに違いなかった。俺は暇があるとルーリスの相手をしていた。ルーリスは1年少しで言葉を喋った。それは、まだ単語レベルであったが、ママやパパといったものだ。嬉しかったのは俺のことを「にぃーに。」と呼んでくれたことだった。俺の顔を見ると「にぃーに。」を連発して。俺に抱っこされるのをせがんでくれた。
俺は1年半後にこのルード皇国を出て行くが、妹が俺の事を忘れてしまわないか心配だった。戻って来た時に、忘れられないように、残りの時間を大切に過ごそうと思った。
そんなある日、俺はイグニスに呼ばれた。大事な話があるとの事だった。
「ウェンディーの事をどう思う?」
唐突な質問だった。
「どうって?幼馴染というか、大切な友達だと思っているよ。もちろん、イグニスの事も同じくらい大切な友達だと思ってる。」
イグニスは少し照れたような顔をして、すぐに真面目な顔に戻った。
「好きだとかそういう気持ちはないのか?友達としてではなく恋愛として……」
『えっ?』
はっきり言って俺はウェンディイーに対しては、全く恋愛対象として見たことはなかった。綺麗な顔立ちだし、スタイルもよかった。しかし、そういった感情は全くなかった。小さいころから一緒に育ったので、姉弟のように感じていた。それに、イグニスがウェンディーの事を好きだと感じていたから、余計にそういう気持ちにはならなかった。
「俺はウェンディーの事は姉ちゃんみたいに感じていたし、たぶん、ウェンディーも俺のことを弟のようにしかみてないんじゃないかな。」
「そうか………実は……俺はウェンディーの事が好きだ。成竜の儀が終わればプロポーズをしようと思っている。………どう思う?」
いきなりの告白にびっくりしてしまった。結婚するってことか?付き合うとかはないのだろうか?でも、それはそれで、かっこいい気がした。イグニスらしいとも思った。
「イグニスとウェンディーはお似合いだと思うし、俺も成功したら嬉しいよ。なんなら、今から告白してもいいんじゃないか?俺も協力するし。」
本心だった。2人には仲良くなってもらいたかったし、今から告白してもうまくいくんじゃないかと思った。
「俺はウェンディーはアギラを好きじゃないかと思っている。」
予想外の答えが返ってきた。
「えっ、そんな事はないと思うけど………なんでそう思うの?」
「竜族は回復魔法が苦手なのを知っているか?風属性ならなおさらだが……」
「聞いたことがあるかも……」
「ウェンディーが使えるようになったのは、アギラが傷を絶やさなかったのを見かねて、覚えたものだ。その想いの強さこそが、回復魔法を覚えることができるようになったのだと思う…」
言いたいことは分かった。俺を想って回復魔法を覚えたのだから、俺に気があるかもしれないということだろう。
「それは、俺の事を弟のように思っているからだと思うけど。イグニスの勘違いじゃないか。」
恋は盲目だというが、いろいろな不安がイグニスの目さえも曇らせてしまったのだろう。
「そうか。アギラがここを離れている間に、ウェンディーに告白するのはフェアじゃない気がしてな。」
そんな事まで考えてくれていたのか。
「いや、2人が結ばれたら俺は本当に嬉しいよ。心からそう思ってる。俺はイグニスを応援するよ。」
「ありがとう。」
イグニスはやはり成竜の儀は終わらせてからプロポーズするということだった。
我が友イグニスは男前な竜人だった。
そういや、何か言っていたような覚えもあった。
しかし、これから人間のいる大陸に渡るのであれば、言葉が分からないのは不便だという事で、師匠に南の大陸の言葉を教えてもらうことになった。学校を卒業するまでにはなんとかものにするつもりだった。
俺は学校に行き、旅のための知識をつけ、師匠には魔法の修行と言葉の勉強をしてもらい、家では妹のルーリスの世話をするという毎日を送っていた。
ルーリスは可愛かった。ルーラとアギリスの娘なのだ。間違いなく可愛く育つに違いなかった。俺は暇があるとルーリスの相手をしていた。ルーリスは1年少しで言葉を喋った。それは、まだ単語レベルであったが、ママやパパといったものだ。嬉しかったのは俺のことを「にぃーに。」と呼んでくれたことだった。俺の顔を見ると「にぃーに。」を連発して。俺に抱っこされるのをせがんでくれた。
俺は1年半後にこのルード皇国を出て行くが、妹が俺の事を忘れてしまわないか心配だった。戻って来た時に、忘れられないように、残りの時間を大切に過ごそうと思った。
そんなある日、俺はイグニスに呼ばれた。大事な話があるとの事だった。
「ウェンディーの事をどう思う?」
唐突な質問だった。
「どうって?幼馴染というか、大切な友達だと思っているよ。もちろん、イグニスの事も同じくらい大切な友達だと思ってる。」
イグニスは少し照れたような顔をして、すぐに真面目な顔に戻った。
「好きだとかそういう気持ちはないのか?友達としてではなく恋愛として……」
『えっ?』
はっきり言って俺はウェンディイーに対しては、全く恋愛対象として見たことはなかった。綺麗な顔立ちだし、スタイルもよかった。しかし、そういった感情は全くなかった。小さいころから一緒に育ったので、姉弟のように感じていた。それに、イグニスがウェンディーの事を好きだと感じていたから、余計にそういう気持ちにはならなかった。
「俺はウェンディーの事は姉ちゃんみたいに感じていたし、たぶん、ウェンディーも俺のことを弟のようにしかみてないんじゃないかな。」
「そうか………実は……俺はウェンディーの事が好きだ。成竜の儀が終わればプロポーズをしようと思っている。………どう思う?」
いきなりの告白にびっくりしてしまった。結婚するってことか?付き合うとかはないのだろうか?でも、それはそれで、かっこいい気がした。イグニスらしいとも思った。
「イグニスとウェンディーはお似合いだと思うし、俺も成功したら嬉しいよ。なんなら、今から告白してもいいんじゃないか?俺も協力するし。」
本心だった。2人には仲良くなってもらいたかったし、今から告白してもうまくいくんじゃないかと思った。
「俺はウェンディーはアギラを好きじゃないかと思っている。」
予想外の答えが返ってきた。
「えっ、そんな事はないと思うけど………なんでそう思うの?」
「竜族は回復魔法が苦手なのを知っているか?風属性ならなおさらだが……」
「聞いたことがあるかも……」
「ウェンディーが使えるようになったのは、アギラが傷を絶やさなかったのを見かねて、覚えたものだ。その想いの強さこそが、回復魔法を覚えることができるようになったのだと思う…」
言いたいことは分かった。俺を想って回復魔法を覚えたのだから、俺に気があるかもしれないということだろう。
「それは、俺の事を弟のように思っているからだと思うけど。イグニスの勘違いじゃないか。」
恋は盲目だというが、いろいろな不安がイグニスの目さえも曇らせてしまったのだろう。
「そうか。アギラがここを離れている間に、ウェンディーに告白するのはフェアじゃない気がしてな。」
そんな事まで考えてくれていたのか。
「いや、2人が結ばれたら俺は本当に嬉しいよ。心からそう思ってる。俺はイグニスを応援するよ。」
「ありがとう。」
イグニスはやはり成竜の儀は終わらせてからプロポーズするということだった。
我が友イグニスは男前な竜人だった。
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