23 / 123
第一章 ルード皇国 編
呪い再発?
しおりを挟む
俺は師匠との修行を学校の放課後にすることが日課となった。
アギリスとの稽古は代わりになくなることになった。そもそも、アギリスは竜族の中でやっていけるように、そして禁忌の洞窟の調査に乗り出せるための力をつけるために俺を鍛えてくれていたのだ。その両方とも目的は達せられたのである。
俺は、洞窟の中で魔法を教えてもらいに行くことを伝えると、アギリスは了承してくれた。
そして、師匠の事は話せないことが多かったが、呪いは魔王の仕業であるということや、700年前の戦争で人は呪いに関与していないことなどをアギリスに伝えておいた。
呪いの元凶は間違いなく魔王にあるのである。師匠経由で呪いにかかったものがいるかもしれなかったが、そこは伏せておいた。師匠も竜族を守るためにいろいろやっていたのは事実なのだから、そのくらいは伏せても大丈夫だと思った。師匠は感謝されるべき存在なのだ。
アギリスは俺から聞いたことを、皇帝に伝えた。そして、魔王に対して備えをどうするか。人と協力しなければならないか。などの議論が城ではなされていると聞いた。
まだまだ、人を信用していない竜人もいるらしかった。そこで、南の大陸に竜人を送って、人間は信用できるかを調査することにもなったという。
この半年後、南の大陸の北の海沿いにある人間の港町で、1つの噂が出回ることになる。
奴隷の不自由な足が不思議な紫の液体により完治したというものだった。その液体とは師匠が作った失敗作品だったわけだが、人の世界では「奇跡の水」と呼ばれ探し求められるようになった。
俺はというとそんな城での議論など、気にすることのできない日々を送っていた。
7月は格闘訓練があった。師匠は格闘訓練での魔法は身体強化と魔法防御だけに限定した。相手の魔法をその身に受けて、自分でも使えるようになった方がいいということだった。師匠は呪いの影響で一日に何発も魔法を撃つことができなかった。あまり魔法を使いすぎると、呪いの影響が魔力結晶に及んでしまうということだった。
魔法を使って勝ちたいという気持ちもあったが、師匠の命令だったし、これも修行だと思って魔法を使わなかった。それでも、身体強化と魔法防御は今までの魔力だけで戦うより、安全に戦えるようになった。
魔法に当たったり、相手の攻撃を受けても致命傷にはならなくなったのだ。俺は相手の攻撃を見切って躱したり、魔法の効用を見極めたりといろいろなことに取り組む余裕ができた。
それはまさに、エレオノールが前に言っていた訓練を楽しいということを俺も思えるようになったのだ。
フレイはというと、呪いが治ったという話は聞いたが、まだ念のため療養しているとの事だった。夏休み明けには出てこれると聞いた。サムシーは、俺に対してよそよそしい態度をとっていた。俺と視線が合うと、ばつが悪そうにして、顔をそらしていた。
そして、夏休みに入った。俺は師匠とみっちり魔法の修行をした。師匠からは、昔の話もいろいろと聞いた。魔王と戦った話や、人間との暮らし、勇者の話、そのどれもが聞いてて興味深かった。
そして、いくつかの話は、ルーラから聞いた御伽噺や神話などに似た話がいくつかあった。
師匠は人間のことが気に入っているようだった。特に勇者との話をする時は本当に嬉しそうだった。
夏休みも終わり、1か月過ぎた頃ルーラの容体がすぐれなくなった。俺は呪いがまだ治っていなかったのかと思い焦った。そして、医者を呼んだ。
医者は深刻な顔で診察をしていた。
『まさか・・・』
しかし、意外な言葉が医者から発せられた。
「おめでとうございます。妊娠しております。」
『うんっ??』
「まあ。」
ルーラは涙を流して喜んでいた。
「これからは1人の体じゃないから、体を大事にするように。」
そう言って医者は去っていった。
『てことは………俺が魔法の修行で死にそうになってる時、家で……』
いや深くは考えまい。俺も素直に喜んだ。
「母さんは寝ててよ。今日は俺が料理を作るよ。」
授業で料理なども習っていたので、俺が夕飯を作ることにした。
アギリスが帰ってから、そのことを報告すると、アギリスはルーラと抱き合って喜んでいた。
『そうか、俺は兄ちゃんになるのか………妹か、弟か………』
竜人の子供は小さくても強いのだ。かっこいい兄貴でいるためにさらに努力しようと決意した。
アギリスとの稽古は代わりになくなることになった。そもそも、アギリスは竜族の中でやっていけるように、そして禁忌の洞窟の調査に乗り出せるための力をつけるために俺を鍛えてくれていたのだ。その両方とも目的は達せられたのである。
俺は、洞窟の中で魔法を教えてもらいに行くことを伝えると、アギリスは了承してくれた。
そして、師匠の事は話せないことが多かったが、呪いは魔王の仕業であるということや、700年前の戦争で人は呪いに関与していないことなどをアギリスに伝えておいた。
呪いの元凶は間違いなく魔王にあるのである。師匠経由で呪いにかかったものがいるかもしれなかったが、そこは伏せておいた。師匠も竜族を守るためにいろいろやっていたのは事実なのだから、そのくらいは伏せても大丈夫だと思った。師匠は感謝されるべき存在なのだ。
アギリスは俺から聞いたことを、皇帝に伝えた。そして、魔王に対して備えをどうするか。人と協力しなければならないか。などの議論が城ではなされていると聞いた。
まだまだ、人を信用していない竜人もいるらしかった。そこで、南の大陸に竜人を送って、人間は信用できるかを調査することにもなったという。
この半年後、南の大陸の北の海沿いにある人間の港町で、1つの噂が出回ることになる。
奴隷の不自由な足が不思議な紫の液体により完治したというものだった。その液体とは師匠が作った失敗作品だったわけだが、人の世界では「奇跡の水」と呼ばれ探し求められるようになった。
俺はというとそんな城での議論など、気にすることのできない日々を送っていた。
7月は格闘訓練があった。師匠は格闘訓練での魔法は身体強化と魔法防御だけに限定した。相手の魔法をその身に受けて、自分でも使えるようになった方がいいということだった。師匠は呪いの影響で一日に何発も魔法を撃つことができなかった。あまり魔法を使いすぎると、呪いの影響が魔力結晶に及んでしまうということだった。
魔法を使って勝ちたいという気持ちもあったが、師匠の命令だったし、これも修行だと思って魔法を使わなかった。それでも、身体強化と魔法防御は今までの魔力だけで戦うより、安全に戦えるようになった。
魔法に当たったり、相手の攻撃を受けても致命傷にはならなくなったのだ。俺は相手の攻撃を見切って躱したり、魔法の効用を見極めたりといろいろなことに取り組む余裕ができた。
それはまさに、エレオノールが前に言っていた訓練を楽しいということを俺も思えるようになったのだ。
フレイはというと、呪いが治ったという話は聞いたが、まだ念のため療養しているとの事だった。夏休み明けには出てこれると聞いた。サムシーは、俺に対してよそよそしい態度をとっていた。俺と視線が合うと、ばつが悪そうにして、顔をそらしていた。
そして、夏休みに入った。俺は師匠とみっちり魔法の修行をした。師匠からは、昔の話もいろいろと聞いた。魔王と戦った話や、人間との暮らし、勇者の話、そのどれもが聞いてて興味深かった。
そして、いくつかの話は、ルーラから聞いた御伽噺や神話などに似た話がいくつかあった。
師匠は人間のことが気に入っているようだった。特に勇者との話をする時は本当に嬉しそうだった。
夏休みも終わり、1か月過ぎた頃ルーラの容体がすぐれなくなった。俺は呪いがまだ治っていなかったのかと思い焦った。そして、医者を呼んだ。
医者は深刻な顔で診察をしていた。
『まさか・・・』
しかし、意外な言葉が医者から発せられた。
「おめでとうございます。妊娠しております。」
『うんっ??』
「まあ。」
ルーラは涙を流して喜んでいた。
「これからは1人の体じゃないから、体を大事にするように。」
そう言って医者は去っていった。
『てことは………俺が魔法の修行で死にそうになってる時、家で……』
いや深くは考えまい。俺も素直に喜んだ。
「母さんは寝ててよ。今日は俺が料理を作るよ。」
授業で料理なども習っていたので、俺が夕飯を作ることにした。
アギリスが帰ってから、そのことを報告すると、アギリスはルーラと抱き合って喜んでいた。
『そうか、俺は兄ちゃんになるのか………妹か、弟か………』
竜人の子供は小さくても強いのだ。かっこいい兄貴でいるためにさらに努力しようと決意した。
0
お気に入りに追加
1,921
あなたにおすすめの小説
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる
けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ
俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる
だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる