7 / 123
第一章 ルード皇国 編
クラス発表
しおりを挟む
家に帰り、ルーラとアギリスと3人で食事をしている時に、学校についてアギリスに尋ねてみた。すると、学校にはいけるように手続きは済ませてあるそうで、
「私には教えられないこともたくさんある。そういったことを、学校では教えてくれるからな。それに将来お前には学校での知識が必ず役に立つはずだ。」
とのことだった。
今日、公園で他の子供たちに嫌われてそうだった事と、あれだけ訓練していたのに全く歯が立たなかった事を思い出し不安に思っていると、
「もしつらいことがあったら学校をやめて、家で勉強をしてもいいのよ。」
何か感じることがあったのかルーラは優しく声をかけた。
「そういうわけにもいくまい。アギラの後の人生を考えれば、学校で学ぶほうがはるかにいいだろう。」
「でもアギラは・・・」
そこまで言うとルーラは言葉を濁した。
たぶん、人間が竜人の中で上手くやっていけるかを心配してくれているのだろう。
「大丈夫です。イグニスもウェンディーもいますから。ちょっと不安はありますが。学校へ行くのが楽しみです。」
ちょっとどころの不安ではなかったが、ルーラを心配させたくなかったので少し嘘をついた。
こうして学校へ行くことが分かってからは、日々の魔力操作と剣術の鍛錬を今まで以上に頑張った。さらに、秘密特訓と称して、ウェンディーとイグニスと共に誰もいないときに公園の砂場で魔法の練習も開始した。といっても、俺は体に纏う魔力の量を多くするという訓練をしていただけであったが・・・
それに比べて、イグニスは様々な形の炎を操ることができるようになっていた。口から出した炎を丸い状態にとどめて動かしてみたり、右腕に炎を纏わせてみたり、いろいろな事をできるようになっていた。
ウェンデイーはというと、最初のころは一つ竜巻を出せば疲れていたのが嘘のようになっていた。風の刃を作り出したり、足に纏ってスピードをあげたりということができていた。
魔力結晶の属性で使える魔法は限定されるらしく、それぞれにあった魔法を覚えていった。ウェンディーは、回復の魔法を覚えようと頑張っているらしかったが、なかなか習得が難しかった。なんでも、魔力結晶が風の属性と光の属性だった場合だけ、回復の魔法を習得可能らしいという話を聞きつけ練習をしているそうだった。
そして、俺は家でルーラに回復魔法のコツのようなものを聞き出そうとしていた。3人でやっているのは秘密の特訓なので、親達は公園で無邪気に遊んでいると思っていた。だから、ウェンディーが回復魔法を覚えようとしていることなどは隠して会話をしていた。
「あの星は何ですか?」
望遠鏡を覗きながら聞いてみる。
夜によくこうしてルーラと2人で天体観測をすることがあった。ルーラは宇宙について興味をすごく持っていたので、聞けばなんでも答えてくれた。
「あの星はノルスと言って常に動かないわ。だから、もし世界を旅して道に迷ったら、あの星を目指せば北の大地には到達できるわ。それにあっちの星とこっちの星を目印にすれば、私たちの国にたどり着けることもできるわ。」
「母さんは何でも知ってますね。」
ルーラは嬉しそうに笑っていた。
「ところで、母さんは魔力結晶の属性は何なんですか?回復魔法をいうもの興味があって。」
「どうしたの?どこか痛い所でもあるの?」
「いえ、魔法に興味があって自分にも何かできないかと思いまして。」
「そうなの。そうねぇ、私の属性は光よ。魔力を魔力結晶に集めるといろいろな魔法が使えるんだけど、今の私にはあまり使うことができないわね。」
悲しい顔をしていた。
「魔力を込めて結果を想像すれば、魔法が発現したから、使い方をあなたに教えることは難しいわ。」
「風の属性でも回復の魔法が使えるのですか?」
「よく知ってるわね。風の属性でも回復の魔法が使えるけど、光の属性に比べて習得が少し難しいはずよ。それに風の属性を持つものはあまり回復の魔法は習得しないわ。」
「どうしてですか?」
「回復魔法はあまり竜族にとって必要ではないからかしら。竜族の皮膚はそんなに傷つくことが少ないから、あまり使われることがないのよ。傷ついたとしてもかなりすぐに回復するしね。」
なるほど、回復魔法の需要がないから、風属性のものはあえて苦手な回復魔法を覚えることはないのか。『じゃあ、ウェンディーも覚えず違う魔法を習得した方が効率的なのでは………』そんなことを考えていると、
「誰か気になる子でもいるの?」
好奇心のある顔で問いかけてくる。
「いえ、そんなことは………」
「その子風属性を持ってるの?」
どうやら、風属性持ちの誰かのために聞いてると勘ぐっているようだった。
『話の流れとしては強引すぎたか………』
「本当に魔法に興味があっただけですよ。今日は遅いのでこれで、おやすみなさい。」
質問から回避するために、2階にある自分のベッドへと移動した。
「あら、そう。おやすみなさい。」
ルーラはちょっと残念そうにしていた。
こうして、また月日が流れた
そして、期待と不安の入り混じった学校入学の日がやってきた。
初日は入学式というものはなく、クラス分けが発表されただけだった。人数はあまり多くなく同じ学年は40人しかいなかった。しかし、クラスは10人で1クラスに分けられた。
できれば同じクラスにウェンディーかイグニスがいてくれることを願ったがそれは叶わなかった。
代わりにこれからの学園生活を不安にさせるフレイの名前が同じクラスにあった………
「私には教えられないこともたくさんある。そういったことを、学校では教えてくれるからな。それに将来お前には学校での知識が必ず役に立つはずだ。」
とのことだった。
今日、公園で他の子供たちに嫌われてそうだった事と、あれだけ訓練していたのに全く歯が立たなかった事を思い出し不安に思っていると、
「もしつらいことがあったら学校をやめて、家で勉強をしてもいいのよ。」
何か感じることがあったのかルーラは優しく声をかけた。
「そういうわけにもいくまい。アギラの後の人生を考えれば、学校で学ぶほうがはるかにいいだろう。」
「でもアギラは・・・」
そこまで言うとルーラは言葉を濁した。
たぶん、人間が竜人の中で上手くやっていけるかを心配してくれているのだろう。
「大丈夫です。イグニスもウェンディーもいますから。ちょっと不安はありますが。学校へ行くのが楽しみです。」
ちょっとどころの不安ではなかったが、ルーラを心配させたくなかったので少し嘘をついた。
こうして学校へ行くことが分かってからは、日々の魔力操作と剣術の鍛錬を今まで以上に頑張った。さらに、秘密特訓と称して、ウェンディーとイグニスと共に誰もいないときに公園の砂場で魔法の練習も開始した。といっても、俺は体に纏う魔力の量を多くするという訓練をしていただけであったが・・・
それに比べて、イグニスは様々な形の炎を操ることができるようになっていた。口から出した炎を丸い状態にとどめて動かしてみたり、右腕に炎を纏わせてみたり、いろいろな事をできるようになっていた。
ウェンデイーはというと、最初のころは一つ竜巻を出せば疲れていたのが嘘のようになっていた。風の刃を作り出したり、足に纏ってスピードをあげたりということができていた。
魔力結晶の属性で使える魔法は限定されるらしく、それぞれにあった魔法を覚えていった。ウェンディーは、回復の魔法を覚えようと頑張っているらしかったが、なかなか習得が難しかった。なんでも、魔力結晶が風の属性と光の属性だった場合だけ、回復の魔法を習得可能らしいという話を聞きつけ練習をしているそうだった。
そして、俺は家でルーラに回復魔法のコツのようなものを聞き出そうとしていた。3人でやっているのは秘密の特訓なので、親達は公園で無邪気に遊んでいると思っていた。だから、ウェンディーが回復魔法を覚えようとしていることなどは隠して会話をしていた。
「あの星は何ですか?」
望遠鏡を覗きながら聞いてみる。
夜によくこうしてルーラと2人で天体観測をすることがあった。ルーラは宇宙について興味をすごく持っていたので、聞けばなんでも答えてくれた。
「あの星はノルスと言って常に動かないわ。だから、もし世界を旅して道に迷ったら、あの星を目指せば北の大地には到達できるわ。それにあっちの星とこっちの星を目印にすれば、私たちの国にたどり着けることもできるわ。」
「母さんは何でも知ってますね。」
ルーラは嬉しそうに笑っていた。
「ところで、母さんは魔力結晶の属性は何なんですか?回復魔法をいうもの興味があって。」
「どうしたの?どこか痛い所でもあるの?」
「いえ、魔法に興味があって自分にも何かできないかと思いまして。」
「そうなの。そうねぇ、私の属性は光よ。魔力を魔力結晶に集めるといろいろな魔法が使えるんだけど、今の私にはあまり使うことができないわね。」
悲しい顔をしていた。
「魔力を込めて結果を想像すれば、魔法が発現したから、使い方をあなたに教えることは難しいわ。」
「風の属性でも回復の魔法が使えるのですか?」
「よく知ってるわね。風の属性でも回復の魔法が使えるけど、光の属性に比べて習得が少し難しいはずよ。それに風の属性を持つものはあまり回復の魔法は習得しないわ。」
「どうしてですか?」
「回復魔法はあまり竜族にとって必要ではないからかしら。竜族の皮膚はそんなに傷つくことが少ないから、あまり使われることがないのよ。傷ついたとしてもかなりすぐに回復するしね。」
なるほど、回復魔法の需要がないから、風属性のものはあえて苦手な回復魔法を覚えることはないのか。『じゃあ、ウェンディーも覚えず違う魔法を習得した方が効率的なのでは………』そんなことを考えていると、
「誰か気になる子でもいるの?」
好奇心のある顔で問いかけてくる。
「いえ、そんなことは………」
「その子風属性を持ってるの?」
どうやら、風属性持ちの誰かのために聞いてると勘ぐっているようだった。
『話の流れとしては強引すぎたか………』
「本当に魔法に興味があっただけですよ。今日は遅いのでこれで、おやすみなさい。」
質問から回避するために、2階にある自分のベッドへと移動した。
「あら、そう。おやすみなさい。」
ルーラはちょっと残念そうにしていた。
こうして、また月日が流れた
そして、期待と不安の入り混じった学校入学の日がやってきた。
初日は入学式というものはなく、クラス分けが発表されただけだった。人数はあまり多くなく同じ学年は40人しかいなかった。しかし、クラスは10人で1クラスに分けられた。
できれば同じクラスにウェンディーかイグニスがいてくれることを願ったがそれは叶わなかった。
代わりにこれからの学園生活を不安にさせるフレイの名前が同じクラスにあった………
0
お気に入りに追加
1,921
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
魔王復活!
大好き丸
ファンタジー
世界を恐怖に陥れた最悪の魔王ヴァルタゼア。
勇者一行は魔王城ヘルキャッスルの罠を掻い潜り、
遂に魔王との戦いの火蓋が切って落とされた。
長き戦いの末、辛くも勝利した勇者一行に魔王は言い放つ。
「この体が滅びようと我が魂は不滅!」
魔王は復活を誓い、人類に恐怖を与え消滅したのだった。
それから時は流れ―。
【異世界ショップ】無双 ~廃絶直前の貴族からの成り上がり~
クロン
ファンタジー
転生したら貴族の長男だった。
ラッキーと思いきや、未開地の領地で貧乏生活。
下手すれば飢死するレベル……毎日食べることすら危ういほどだ。
幸いにも転生特典で地球の物を手に入れる力を得ているので、何とかするしかない!
「大変です! 魔物が大暴れしています! 兵士では歯が立ちません!」
「兵士の武器の質を向上させる!」
「まだ勝てません!」
「ならば兵士に薬物投与するしか」
「いけません! 他の案を!」
くっ、貴族には制約が多すぎる!
貴族の制約に縛られ悪戦苦闘しつつ、領地を開発していくのだ!
「薬物投与は貴族関係なく、人道的にどうかと思います」
「勝てば正義。死ななきゃ安い」
これは地球の物を駆使して、領内を発展させる物語である。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)
mizumori
ファンタジー
転移したのはざまあ~された後にあぽ~んした王子のなか、神様ひどくない「君が気の毒だから」って転移させてくれたんだよね、今の俺も気の毒だと思う。どうせなら村人Aがよかったよ。
王子はこの世界でどのようにして幸せを掴むのか?
元28歳、財閥の御曹司の古代と中世の入り混じった異世界での物語り。
これはピカレスク小説、主人公が悪漢です。苦手な方はご注意ください。
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる