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第4章:地球での戦い
第63話 魔法剣士と魔法使いの戦い
しおりを挟む「手合わせって。こっちでは能力が制限されてるんじゃないのか?」
「確かにそうだけど、こっちでも訓練できるように、魔法もスキルも使える場所があるのよ。こっちでも勘が鈍らないようにって目的の練習場所ね。そこなら安全だし、他の人にも見られることはないわ。それに、私がどれだけ成長したか、サトルさんに見てもらいたい」
サトルは想定外の展開に驚きを隠せなかった。正直のところ、体がウズウズして仕方がなかったのである。
魔法戦士として縦横無尽に駆け巡った感覚が忘れられず、すぐにでもエヌに戻りたいと思っていたからだ。
(確かにそれは魅力的な話だな)
サトルは喜びを表情に出さないように言葉を選んだ。
「話を聞いた感じではサクラの方が俺より先にクリアして、レベルも上なんじゃないか。まぁ、勝負にならない気もするけどな」
「あら、それはどっちの意味かしらね。あえてレベルは言わないけど、サトルさんより私の方が早くクリアして、一歩進んでいるのは確かよ。それでもサトルさんのセンスはよく知っているつもり。たぶんサトルさんにはレベルの差なんて関係ない気がする」
「サクラは魔法使いだろ、俺は魔法剣士。一対一ならサクラがきついんじゃないか」
「サトルさん嬉しそうね。ゲームで無双していた時を思い出すわ。どうせエヌに戻るんでしょ。それに、体を動かしたくてウズウズしてるんじゃないかしら。言っておくけど、私はこの手合わせで勝っても負けてもエヌには行くわ。サトルさんがいくら止めてもダメ、あなたは私が守るから。そもそも私があのゲームを始めたのも、クリアしたのも、サトルさんと会うためだったのだから。ここで止められるわけないじゃない」
「サクラ、エヌで何があったかわからないが、すごい積極的になったな」
「そうね。引っ込み思案で人見知りだった私が変われたのは、サトルさんと知り合えたから。サトルさんが私を変えたのよ。この際言っておくけど、私はサトルさんのことが好きよ。薄々気づいていたでしょ?」
「なんとなくわかっていたけど。10秒前にそう確信した」
「あらそれは良かったわ」
「俺の気持ちは聞かなくていいのか?」
「もちろん気になるけど、今は遠慮しておくわ。次の戦いが終わってから聞くことにする。じゃあ、これから移動しましょう」
「おいおい、先生の挨拶は?久しぶりの学校なんだけど」
「そんなの後ででいいわよ。この気持ちを抱えた状態で授業なんてできないわ」
「どっちにしても、私たちの件は学校に話は通ってるから。とりあえずあとで顔でも出せばいいわよ」
「そうか、ならやるか。場所はどこなんだ?」
「フフフ、目が輝いているわよ。私も嬉しいわ。場所は意外なところよ」
その後、二人が向かったのは東京にある某プロ野球チームの本拠地、ビッグエッグドームであった。
「こんなところに?」
「そう、ここの地下に昔偉い人が作った闘技場があるのよ。今から許可を取るからちょっと待ってね」
「山田さん、サクラです。今からドームの地下を使うわ。手配をよろしくね。そうそう、医療班もよろしく」
「はいオッケー。入口は23番ゲートを入って左ね。今日はプロ野球の試合があるみたいだけど、このパスポートを見せれば普通に入れるの。サトルさんも持っているでしょう。その後は、奥のエレベーターで地下6階よ」
「ドームに、地下6階なんて場所があるのか?」
「初めて見た時、私も驚いたわ。よほどの道楽か物好きよね」
湘南某所。
「マサノリさん。予想通りサクラさんはサトルさんと手合わせをするみたいですね」
「転移者同士の貴重なバトルだ。データをしっかりチェックしておけよ」
「交錯する思い」へつづく
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
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