4 / 70
第一章:はじまりの物語
第4話 衝撃の事実、日本へ戻る方法とは?
しおりを挟む
『サトル様。ソーマジック・サーガのクリアおめでとうございます。そしてようこそイスタ王国へ』
チュートリアルステージから転移した俺を待っていたのは、いかにも王女という雰囲気がピッタリの女性。
見た目はメチャクチャ美人。アイドルというか歴史上の人物というか、華やかさと威厳を感じる。でもどこか日本人っぽい印象も感じる。
そして横には役人といった印象の付き人達もズラッと並んでいる。
『私は惑星エヌ、イスタ王国の女王スカーレットと申します。はじめましてサトル様。
サトル様には、この世界を救ってもらうため、そしてこの世界を過ごすために我々がサポートいたします。
まず今後の方針、そしてレベルの上げ方などについて説明いたしますがよろしいでしょうか?』
これは助かるね。説明書なんてほとんど読まなかったし、セーブの仕方もログアウトの仕方もわからないからな。
「わかりました。わからないことばかりなので、よろしくお願いいたします」
『この星エヌは他の惑星からの侵略者と魔物に脅かされており、現在も各地で戦いが起こっております。
一刻も早くその者たちを駆逐し、この星に平和を取り戻したいと考えています。そのために、サトル様にはぜひお力をいただきたいと思います。
しかし現在サトル様はレベル1であり、おひとりでございます。その段階では、魔物と戦っても危険が伴いますので、まずはこの国にあるダンジョンでレベル上げをするのがベストでしょう。
そして効率よくレベルを上げるためにも、同じ志を持つゲームクリア者と合流なさるのが最適かと思います。まずはその仲間を見つけ、ダンジョンで力を付けていただきたいと思います』
なるほど。基本的にはゲームと同じ設定だ。相手はやけにリアルだけど。でもわからないことが多すぎる。
「いくつか質問していいかな」
『はいどうぞ』
「まず、一人でやるのはダメなのか、その魔物と戦わないとダメなのか、そちらのサポートって何ができるのか、最後にログアウト、というか現実世界に戻る方法は?」
正直のところ、のんびりゲームを楽しみたいところもあり、あんまりガツガツやりたいとは思っていなかった。
それに一度ログアウトして、掲示板とかで情報を集めてから進めたいという考えもあった。なのであの質問になったのだが、帰ってきた答えに俺は絶句した。
『お一人でレベル上げに挑むというお考えでしょうか。
その場合、サトル様が仮に瀕死の状態に陥ってしまうと、助からない可能性があります。
この世界はゲームの世界ではなく、実在する惑星エヌ、ゲームのようにやり直しはできません。ゲームオーバーはそのまま肉体的にも死ぬことを意味します。
ですから、ここで生き抜くためにも、ともにレベル上げを目指す仲間を探すのが賢明かと申し上げておきます。
また、魔物以外で得られる経験値は低く、レベル上げを前提とするのであれば、魔物を倒すのが効率的なのは間違いございません。まずは自分のレベルにあった相手と戦うことを推奨します』
ゲームの世界ではないという言葉があまり理解できなかったが、よくよく考えればやはり不自然なのだ。とにかくこの世界はリアル過ぎる。人も、建物も、床を触った感触も、そして自分の呼吸や心臓の鼓動が早まっていくことも感じる。
(実際に死ぬ?どういうこと?いったい何が起きた…)
自分の混乱を諭すように、先ほどの王女ではなく、隣に控えていた役人が説明を続けた。
『サポートに関しては後ほど説明しますが、先に重要なことをお伝えしておきましょう。
現段階で、サトル様が地球や日本に戻る方法はありません。
ただし、レベル100に達し、中央大陸にある黒き山へ行き、そこを拠点とする深紅の竜を倒せば、世界への扉が開かれると聞いております』
えっ、ログアウトでき(帰れ)ないの?
俺は役人の言葉がなかなか理解ができず、呆然とするしかなかった。
「サトルの動揺とタラスパ」へつづく
チュートリアルステージから転移した俺を待っていたのは、いかにも王女という雰囲気がピッタリの女性。
見た目はメチャクチャ美人。アイドルというか歴史上の人物というか、華やかさと威厳を感じる。でもどこか日本人っぽい印象も感じる。
そして横には役人といった印象の付き人達もズラッと並んでいる。
『私は惑星エヌ、イスタ王国の女王スカーレットと申します。はじめましてサトル様。
サトル様には、この世界を救ってもらうため、そしてこの世界を過ごすために我々がサポートいたします。
まず今後の方針、そしてレベルの上げ方などについて説明いたしますがよろしいでしょうか?』
これは助かるね。説明書なんてほとんど読まなかったし、セーブの仕方もログアウトの仕方もわからないからな。
「わかりました。わからないことばかりなので、よろしくお願いいたします」
『この星エヌは他の惑星からの侵略者と魔物に脅かされており、現在も各地で戦いが起こっております。
一刻も早くその者たちを駆逐し、この星に平和を取り戻したいと考えています。そのために、サトル様にはぜひお力をいただきたいと思います。
しかし現在サトル様はレベル1であり、おひとりでございます。その段階では、魔物と戦っても危険が伴いますので、まずはこの国にあるダンジョンでレベル上げをするのがベストでしょう。
そして効率よくレベルを上げるためにも、同じ志を持つゲームクリア者と合流なさるのが最適かと思います。まずはその仲間を見つけ、ダンジョンで力を付けていただきたいと思います』
なるほど。基本的にはゲームと同じ設定だ。相手はやけにリアルだけど。でもわからないことが多すぎる。
「いくつか質問していいかな」
『はいどうぞ』
「まず、一人でやるのはダメなのか、その魔物と戦わないとダメなのか、そちらのサポートって何ができるのか、最後にログアウト、というか現実世界に戻る方法は?」
正直のところ、のんびりゲームを楽しみたいところもあり、あんまりガツガツやりたいとは思っていなかった。
それに一度ログアウトして、掲示板とかで情報を集めてから進めたいという考えもあった。なのであの質問になったのだが、帰ってきた答えに俺は絶句した。
『お一人でレベル上げに挑むというお考えでしょうか。
その場合、サトル様が仮に瀕死の状態に陥ってしまうと、助からない可能性があります。
この世界はゲームの世界ではなく、実在する惑星エヌ、ゲームのようにやり直しはできません。ゲームオーバーはそのまま肉体的にも死ぬことを意味します。
ですから、ここで生き抜くためにも、ともにレベル上げを目指す仲間を探すのが賢明かと申し上げておきます。
また、魔物以外で得られる経験値は低く、レベル上げを前提とするのであれば、魔物を倒すのが効率的なのは間違いございません。まずは自分のレベルにあった相手と戦うことを推奨します』
ゲームの世界ではないという言葉があまり理解できなかったが、よくよく考えればやはり不自然なのだ。とにかくこの世界はリアル過ぎる。人も、建物も、床を触った感触も、そして自分の呼吸や心臓の鼓動が早まっていくことも感じる。
(実際に死ぬ?どういうこと?いったい何が起きた…)
自分の混乱を諭すように、先ほどの王女ではなく、隣に控えていた役人が説明を続けた。
『サポートに関しては後ほど説明しますが、先に重要なことをお伝えしておきましょう。
現段階で、サトル様が地球や日本に戻る方法はありません。
ただし、レベル100に達し、中央大陸にある黒き山へ行き、そこを拠点とする深紅の竜を倒せば、世界への扉が開かれると聞いております』
えっ、ログアウトでき(帰れ)ないの?
俺は役人の言葉がなかなか理解ができず、呆然とするしかなかった。
「サトルの動揺とタラスパ」へつづく
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる