上 下
3 / 11

第3話 怪奇現象

しおりを挟む
 佐江ちゃんにこの街について詳しく聞いた。人がすぐ死ぬ街、と恐れられている。その日の講習は終わり、家に帰宅。

 玄関の鍵を鍵穴に差し込むと、違和感を感じた。
「開いてる? わたし、閉め忘れちゃったけ?」
 朝忙しくて覚えていない。そそっかしい自分だからあるのだろう、とそのときは思った。

 玄関を開け、家に入った。一人暮らしだと朝起きるのが大変だし、お弁当だって作らないといけないし、親の有難味が今更に分かってきた。家帰ったら一人だし、一人で「ただいま」と呟いた。


「おかえり」

 奥の部屋から誰もいないはずの声が聞こえた。女性の声だ。お隣さんかな。ここ、壁が薄いし。お隣のお家もこの時間帯に帰ってくるサラリーマンの人だから。

 ほんと、壁が薄いと困るなぁ。


 荷物を下ろして夕飯の準備をするために台所に向った。
「今日の夕飯は何しようかな」
 帰り際にスーパーに寄って買ってきた食材を見下ろして、カレーにしようと考えた。すると、廊下の電気がついていることに気がついた。

 わたし、電気消し忘れてたっけ。

 電気を消しに行くと、今度は台所の蛇口がひねって水が出てきた。


 わたし、水を出し放しにしてたっけ。

 
 こんなに自分がそそっかしいとは思わなかった。これからひとり暮らしなんだ。しっかりしろ、と両頬をパンと弾いた。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ホラー掲示板の体験談

神埼魔剤
ホラー
とあるサイトに投稿された体験談。 様々な人のホラーな体験談を読んでいきましょう!

サクッと読める♪短めの意味がわかると怖い話

レオン
ホラー
サクッとお手軽に読めちゃう意味がわかると怖い話集です! 前作オリジナル!(な、はず!) 思い付いたらどんどん更新します!

廃墟の呪い

O.K
ホラー
主人公が電子書籍サイトで見つけた遺書には、禁じられた場所への警告が書かれていた。それを無視し、廃墟に近づいた主人公は不気味な声に誘われるが、その声の主は廃墟に住む男性だった。主人公は襲われるが、無事に逃げ出す。数日後、主人公は悪夢にうなされ、廃墟のことが頭から離れなくなる。廃墟がなくなった現在も、主人公はその場所を避けている。

サハツキ ―死への案内人―

まっど↑きみはる
ホラー
 人生を諦めた男『松雪総多(マツユキ ソウタ)』はある日夢を見る。  死への案内人を名乗る女『サハツキ』は松雪と同じく死を望む者5人を殺す事を条件に、痛みも苦しみもなく松雪を死なせると約束をする。  苦悩と葛藤の末に松雪が出した答えは……。

短な恐怖(怖い話 短編集)

邪神 白猫
ホラー
怪談・怖い話・不思議な話のオムニバス。 ゾクッと怖い話から、ちょっぴり切ない話まで。 なかには意味怖的なお話も。 ※追加次第更新中※ YouTubeにて、怪談・怖い話の朗読公開中📕 https://youtube.com/@yuachanRio

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

ホラーの詰め合わせ

斧鳴燈火
ホラー
怖い話の短編集です

猫の部屋ฅ^•ω•^ฅ

テキトーセイバー
ホラー
僕の部屋の続編ですニャーฅ^•ω•^ฅ 猫の部屋で起きる恐ろしい恐怖体験する猫さん達。 この作品は猫さん自体は残酷な目だったり、エッチな描写はありませぬ。全年齢対象です。 基本は猫視点で送りますニャン♪

処理中です...