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第壱章 日常
第2話 鶴姫
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あんな野蛮な姫でもなんと、友達がいます。名は鶴姫。今日は遠路遥々この地にやってきたのです。
「鶴姫!」
「蓮姫! 久方ぶり」
整えられた目と鼻、瞼がパッチリしている可愛い系美少女だ。蓮姫と並ぶと一層、美しさが引きだつ。まぁ、黙ってれば蓮姫もいいのだ…黙ってれば…。
「今日は何して遊ぶ?」
蓮姫が屈託のない笑みを見せ、大部屋へと足を運ぶ。歳相応に見えて実は鶴姫のほうが1つも年上なお姉さんなのである。二人は屈託のない笑い話しに花を咲かせてる。その部屋にはいくら従者でも入れないのだ。
「ハァハァ…いつも可愛いのがハァ…ハァ…一層、引きだっておりますハァハァ…」
「変態か」
鶴姫のほうの従者、タクに鋭いツッコミ。タクは目だけを襖に入れ、部屋を覗いていたのだ。
「失礼な、あの可愛いさは罪だろ覗かないのも罪だ!」
「ロリコン的な思考ですね」
襖付近で二人は逆の方向を見ながら言う。丸斑眼鏡をかけた長身の男。ヒビと顔見知りである。それは、蓮姫の友達、鶴姫の従者として以外も。
「それより、あの姫の最近の行動範囲は?」
「………ボチボチっすね、好き勝手やってるけど、大規模といえる力は出さない、あるいは…」
「出せない、のか…」
タクがスッと襖を閉じ、指先で指さした。
「裏に行こう、なぁに、姫たちは話しに盛り上がって気づてない。この話しは裏でした方が話しやすい」
「………カツのアゲなら、ここありませんよ?」
「カツアゲじゃねぇし! 早く来い!」
仕方なしとヒビはさきに歩いてるタクの後ろをついて歩く。向かったのは城の外。城の庭といえる所だが、城の者でも踏み入らない場所だ。
「機関の奴らが悟ったらしい」
「何を?」
「大きな波動だ…あの姫がまた、あの儀式をやる揺れだ…」
二人の間に沈黙が生まれた。ただでさえ、ヒビの表情筋は動かないのに、全く反応がわからないとこの状況は困る。タクは眼鏡を人差し指で上に向かせ、鋭い目つきに変わった。
「あの姫が近々動く、監視しろ」
ヒビの眉がピクリと動いた。
「俺、従者であって監視役じゃないっすよね」
頭を後ろに回し、ニコリと不敵に笑った。〝それ以上は喋るな〟と目で訴えてる。暫く、両者は睨み合い。数分後、タクから目線を外した。
「……そうだな、悪い」
「ヒビぃ!! タクぅ!! 何処いるのじゃーー!!」
城から蓮姫の声が。話しが途切れて暇なのだろう。二人の間にあった険悪のムードが蓮姫の声だけで掻き消える。二人はそれだけでフッと笑いが込上がってくる。
「タク! 暇じゃお得意のダンスというのを踊れ」
鶴姫が上目遣いかつ、甘え声で言った。蓮姫は「だんす?」と見知らぬ単語を口ずさむ。
「鶴姫の為なら!」
といきがってタクはダンスというのにノリノリに踊った。
§
タクがダンスというのをやり終わった後、二人はまた笑い話に花を咲かせた。
「なぁ、蓮姫…言っておきたい事がある」
鶴姫がいつもと違う声色でポツリと喋り出した。いつもうるうるしてる瞳が一層、うるうるし水が溢れる勢い。そんな様子に何を察知したのか蓮姫はそっと鶴姫の手を握った。
「……もうすぐ、13になる。父上が…見合いの話しを持ってきたのだ」
「え」
握りあってるのが冷たく感じた。空気が一変し、近くの鳥が囀る声がやたらと響いた。蓮姫の思考がストップする。
「とても良い方そうだ、妾もこの見合いを引き受けねばならぬ……そこで問題が一つあるのじゃ」
蓮姫の思考とは逆に鶴姫はポツリポツリと喋り出す。蓮姫の頭の中はぐるぐると言葉が何層も重なり、駆け巡っていく。
蓮姫の思考がやっと動いたのは鶴姫の小さい瞳からポタポタと真珠のような涙が頬を伝い落ちた頃。鶴姫の涙は頬を濡らし、落ちた先の手の甲に儚くも鶴姫を映し出していた。
「鶴姫…」
そっとその涙に触れてみる。
冷たく触れるとあっけなく壊れる。鶴姫は目から溢れる涙を服の裾でゴシゴシ擦った。
「大丈夫だ、こんなの流して申し訳ない」
目には涙を浮かべ、何事もなかったように蓮姫にフッと微笑する。その笑みを見た蓮姫は胸がはちきれそうになった。
胸に手を翳し、鶴姫に問いだした。
「問題って…?」
問うと鶴姫の顔が急に暗くなった。ポツリポツリとまた小声で言う。
「そのお方がいる場所はここから随分遠いらしい。じゃから、もう永久、蓮姫と離ればなれだ」
蓮姫の思考は止まった。鶴姫が言う〝永久〟と〝離ればなれ〟という言葉に頭の中が闇に染まる。
蓮姫のほうにも涙が出そうになった。友の婚約について、嬉しさと悲しみがぐるぐると心中の中を渦巻き、なんとも言えない感情になる。
数分間、二人は黙ったままだった。
一言も放ず、沈黙が部屋を覆っていた。
外で自由に大空を羽ばたいている鳥の音だけがやけに耳に障る。ふと、鶴姫が微笑んだ。そっと頬に手を添える。
「そんな暗い顔するな。離ればなれでもわたしたちには通じあった心がある。だから、大丈夫だ」
フフと気さくな笑み。
蓮姫は添えた手のひらをギュッと握った。真っ直ぐな目を向けた。
「離ればなれでも心はいつでも通じあっている。鶴姫、誕生日と婚約、早いけどおめでと」
「…ありがとう」
鶴姫も真っ直ぐな瞳を向け、言った。決っして放れない糸がある。二人は思った。
空が暁になる前の時刻に鶴姫とタクは帰っていった。
「いいんですか? 贈りものとか」
横からヒビが言う。下町を隅々まで覗ける城の天辺に二人はいた。掃除をしていないのか、埃とカビの匂いが鼻をつんとさす。
小さな下町に何千人の行列をつくっている列を眺めている。その列の真ん中には別れた鶴姫が台車に乗っていた。
「いいんじゃ。われらは贈りものとか物では通じあわん」
蓮姫が心なしか小さい声。しかし、目はしっかりと開いていた。小さくなる大名行列をどこまでも眺めている。
「わがまま言ったら鶴姫が哀しむ。笑って送ってほしいと思うから……我慢じゃ」
ぎゅと着物の袖を掴む。
チラッとヒビは蓮姫の顔を窺った。そして、また前をむく。蓮姫の両目には溜まっていた涙がポロポロと頬を伝っていた。
「大丈夫…大丈夫」
言い聞かせるように胸に手を翳す。絶えず目には透明な涙が頬を濡らしていた。
ふと、そんな時、晴天に晴れていた空に雨が降った。透き通った青空からざぁと降りしきる。下町はざわついた。
通り雨かと思いきや、ざぁざぁと大粒の雫が降ってくる。それはまるで、蓮姫の流した涙のよう。
「ほう。こんな力も出せるのか」
雨を見て関心したふうにタクが言う。降りしきる雨の一滴を手のひらですくう。
「何か言った?」
そばで鶴姫が上目遣いで問いてくる。タクは鶴姫のほうに顔を向け、笑顔で応えた。
「いいえ、何も」
雨に濡れた黒い地面の上を再び歩いた。
その雨は一日中、降りしきったらしい。しかし、異例なのがずっと、晴天だった事。そして、蓮姫がやっと気持ちを落ち着かせたときに偶然なのかパタリと雨は止んだ。
「鶴姫!」
「蓮姫! 久方ぶり」
整えられた目と鼻、瞼がパッチリしている可愛い系美少女だ。蓮姫と並ぶと一層、美しさが引きだつ。まぁ、黙ってれば蓮姫もいいのだ…黙ってれば…。
「今日は何して遊ぶ?」
蓮姫が屈託のない笑みを見せ、大部屋へと足を運ぶ。歳相応に見えて実は鶴姫のほうが1つも年上なお姉さんなのである。二人は屈託のない笑い話しに花を咲かせてる。その部屋にはいくら従者でも入れないのだ。
「ハァハァ…いつも可愛いのがハァ…ハァ…一層、引きだっておりますハァハァ…」
「変態か」
鶴姫のほうの従者、タクに鋭いツッコミ。タクは目だけを襖に入れ、部屋を覗いていたのだ。
「失礼な、あの可愛いさは罪だろ覗かないのも罪だ!」
「ロリコン的な思考ですね」
襖付近で二人は逆の方向を見ながら言う。丸斑眼鏡をかけた長身の男。ヒビと顔見知りである。それは、蓮姫の友達、鶴姫の従者として以外も。
「それより、あの姫の最近の行動範囲は?」
「………ボチボチっすね、好き勝手やってるけど、大規模といえる力は出さない、あるいは…」
「出せない、のか…」
タクがスッと襖を閉じ、指先で指さした。
「裏に行こう、なぁに、姫たちは話しに盛り上がって気づてない。この話しは裏でした方が話しやすい」
「………カツのアゲなら、ここありませんよ?」
「カツアゲじゃねぇし! 早く来い!」
仕方なしとヒビはさきに歩いてるタクの後ろをついて歩く。向かったのは城の外。城の庭といえる所だが、城の者でも踏み入らない場所だ。
「機関の奴らが悟ったらしい」
「何を?」
「大きな波動だ…あの姫がまた、あの儀式をやる揺れだ…」
二人の間に沈黙が生まれた。ただでさえ、ヒビの表情筋は動かないのに、全く反応がわからないとこの状況は困る。タクは眼鏡を人差し指で上に向かせ、鋭い目つきに変わった。
「あの姫が近々動く、監視しろ」
ヒビの眉がピクリと動いた。
「俺、従者であって監視役じゃないっすよね」
頭を後ろに回し、ニコリと不敵に笑った。〝それ以上は喋るな〟と目で訴えてる。暫く、両者は睨み合い。数分後、タクから目線を外した。
「……そうだな、悪い」
「ヒビぃ!! タクぅ!! 何処いるのじゃーー!!」
城から蓮姫の声が。話しが途切れて暇なのだろう。二人の間にあった険悪のムードが蓮姫の声だけで掻き消える。二人はそれだけでフッと笑いが込上がってくる。
「タク! 暇じゃお得意のダンスというのを踊れ」
鶴姫が上目遣いかつ、甘え声で言った。蓮姫は「だんす?」と見知らぬ単語を口ずさむ。
「鶴姫の為なら!」
といきがってタクはダンスというのにノリノリに踊った。
§
タクがダンスというのをやり終わった後、二人はまた笑い話に花を咲かせた。
「なぁ、蓮姫…言っておきたい事がある」
鶴姫がいつもと違う声色でポツリと喋り出した。いつもうるうるしてる瞳が一層、うるうるし水が溢れる勢い。そんな様子に何を察知したのか蓮姫はそっと鶴姫の手を握った。
「……もうすぐ、13になる。父上が…見合いの話しを持ってきたのだ」
「え」
握りあってるのが冷たく感じた。空気が一変し、近くの鳥が囀る声がやたらと響いた。蓮姫の思考がストップする。
「とても良い方そうだ、妾もこの見合いを引き受けねばならぬ……そこで問題が一つあるのじゃ」
蓮姫の思考とは逆に鶴姫はポツリポツリと喋り出す。蓮姫の頭の中はぐるぐると言葉が何層も重なり、駆け巡っていく。
蓮姫の思考がやっと動いたのは鶴姫の小さい瞳からポタポタと真珠のような涙が頬を伝い落ちた頃。鶴姫の涙は頬を濡らし、落ちた先の手の甲に儚くも鶴姫を映し出していた。
「鶴姫…」
そっとその涙に触れてみる。
冷たく触れるとあっけなく壊れる。鶴姫は目から溢れる涙を服の裾でゴシゴシ擦った。
「大丈夫だ、こんなの流して申し訳ない」
目には涙を浮かべ、何事もなかったように蓮姫にフッと微笑する。その笑みを見た蓮姫は胸がはちきれそうになった。
胸に手を翳し、鶴姫に問いだした。
「問題って…?」
問うと鶴姫の顔が急に暗くなった。ポツリポツリとまた小声で言う。
「そのお方がいる場所はここから随分遠いらしい。じゃから、もう永久、蓮姫と離ればなれだ」
蓮姫の思考は止まった。鶴姫が言う〝永久〟と〝離ればなれ〟という言葉に頭の中が闇に染まる。
蓮姫のほうにも涙が出そうになった。友の婚約について、嬉しさと悲しみがぐるぐると心中の中を渦巻き、なんとも言えない感情になる。
数分間、二人は黙ったままだった。
一言も放ず、沈黙が部屋を覆っていた。
外で自由に大空を羽ばたいている鳥の音だけがやけに耳に障る。ふと、鶴姫が微笑んだ。そっと頬に手を添える。
「そんな暗い顔するな。離ればなれでもわたしたちには通じあった心がある。だから、大丈夫だ」
フフと気さくな笑み。
蓮姫は添えた手のひらをギュッと握った。真っ直ぐな目を向けた。
「離ればなれでも心はいつでも通じあっている。鶴姫、誕生日と婚約、早いけどおめでと」
「…ありがとう」
鶴姫も真っ直ぐな瞳を向け、言った。決っして放れない糸がある。二人は思った。
空が暁になる前の時刻に鶴姫とタクは帰っていった。
「いいんですか? 贈りものとか」
横からヒビが言う。下町を隅々まで覗ける城の天辺に二人はいた。掃除をしていないのか、埃とカビの匂いが鼻をつんとさす。
小さな下町に何千人の行列をつくっている列を眺めている。その列の真ん中には別れた鶴姫が台車に乗っていた。
「いいんじゃ。われらは贈りものとか物では通じあわん」
蓮姫が心なしか小さい声。しかし、目はしっかりと開いていた。小さくなる大名行列をどこまでも眺めている。
「わがまま言ったら鶴姫が哀しむ。笑って送ってほしいと思うから……我慢じゃ」
ぎゅと着物の袖を掴む。
チラッとヒビは蓮姫の顔を窺った。そして、また前をむく。蓮姫の両目には溜まっていた涙がポロポロと頬を伝っていた。
「大丈夫…大丈夫」
言い聞かせるように胸に手を翳す。絶えず目には透明な涙が頬を濡らしていた。
ふと、そんな時、晴天に晴れていた空に雨が降った。透き通った青空からざぁと降りしきる。下町はざわついた。
通り雨かと思いきや、ざぁざぁと大粒の雫が降ってくる。それはまるで、蓮姫の流した涙のよう。
「ほう。こんな力も出せるのか」
雨を見て関心したふうにタクが言う。降りしきる雨の一滴を手のひらですくう。
「何か言った?」
そばで鶴姫が上目遣いで問いてくる。タクは鶴姫のほうに顔を向け、笑顔で応えた。
「いいえ、何も」
雨に濡れた黒い地面の上を再び歩いた。
その雨は一日中、降りしきったらしい。しかし、異例なのがずっと、晴天だった事。そして、蓮姫がやっと気持ちを落ち着かせたときに偶然なのかパタリと雨は止んだ。
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