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第三章 ファイルステージ
第44話 器という偽の質
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『それは器としての能力よ』
なにを言いだすのかと思ったらまたしても「器」という変な言葉を口にする。颯負と心也が抱いている疑問にナミはそれでも話しを続けた。
『この世でたった一人…ゲームを始める前、そう、解説したよね?』
確かに言ってはいたが、ゲームが始める前ではない。ようやくすると、レッスン1終了の時だ。
『貧しい人…お金持ちの人…超人的な力を持っている人…この世を飽き飽きと思っている人…犯罪行為に手を染める人…そんなのは世界中、探したらおよそ何億人いると思っている? その中でたった一人を探すのにこのゲームは仕組まられた。でも、その中でやっぱり力の強い者がゲームに勝つの。ナミたちが探し求めているのは神と崇められる存在の器を探しているのに。だから、あんたたちは数々の恐怖、日常ではやれない困難をこのゲームで乗り越えさせ、最適な器としての人材を磨かせたの。そして、その灼熱の武闘会の上で立っている事こそが器の最後の磨き。なんか、頭の中で武器になるようなものを浮かんでちょうだい』
言われるがままに頭の中に小型ナイフの構造を思い浮かんだ。すると、カランと乾いた音が足元からした。思わず見ると、頭に思い浮かんだ銀色に光った小型ナイフ。
目を見開き、思わず、対面する男のほうにも顔を向けると男が両手で抱えているのは厚く鉄でつくられたサブマシンガン。
これは、まさかと思い、語り手のナミに近寄るもマグマがあった事に思いだす。一歩いけばマグマの池に落ちる寸前だった。マグマから台は高さ2メートルあるが、マグマの熱がこんなにも近くに感じられる。
「これはまさか…」
動揺し、訊ねると応えたのはカイト。
『空想上を具現化する能力です。ですが…』
そこまで聞くと、頭の中にいきなりノイズの音と除夜の鐘の音がサイレンのようにかけまわった。それはけたましく。だんだんと激しくなる。ノイズの音は脳みそがグチャグチャなるぐらい、かきまぜていくような強烈な痛みと湿疹が体に回った。
その痛みに耐えきれなく、大声で叫んだ。
『求めている器は人を超える存在です。たかが、人間如きがその力に耐えられるかどうか最後のレッスンです』
不気味な笑みを絶やし、冷たく言い放たれた。
カイトの声とノイズの音がけたましく鳴り響き、一行に止むことはない。
『どちらが器として最適なのか、レッスン、灼熱の武闘会! 制限時間は2分!』
「なっ…!二分…っ!?」
止まる事のないノイズに脂汗が体中にかき、服にひっついている。耐えながらも口を動かしただけで脳からピリピリと電撃が足のつま先まで伝ってくる。
時間に追われるとはこの事か。でも、何故、最後の最後のレッスンで時間制をつくるんだ。
ノイズの音で体が動けない中、しゃがみこんでいると、だしぬけに鋭い音と乾いた音が近くから。その弾は颯負を狙ってきた。狙いが憶測なのか、颯負がしゃがみこんでいる場所の右足近くのコンクリートが弾によって黒く焦げている。
恐る恐る乾いた音がした方向を見ると、心也がサブマシンガンを向け、ニタァと不敵に嗤っている。
相手もまだ、ノイズのせいで体が麻痺しているにもにも関わらず、ゆっくりと小刻みに動いている。颯負は頭からつま先までこだましているノイズの音とピリピリと電撃を撃たれた衝動を振り下ろし、小型ナイフを手に取った。
「なんのまねだ…」
「神になるのはこの俺だぁ!!」
気が狂ったようにサブマシンガンを打ち始めた。しかし、どれも、狙いは憶測。
『さぁ、始まりました!! 先手を打ったのは久保選手です! が、坂瀬選手も負けてはおりません!!』
カイトが声を奮いたたせ、実況した。
「神…? なにか誤解しているんじゃ」
颯負は引きっった顔で相手に詰め寄る。心也が言った、神というのはまさか、器という事ではないだろうか。それだったら、誤解だ。器というのは、神ではない。
〝あなたたちには器になってもらう。あの方の為に〟
いつの日か、ナミに言われた言葉が脳裏を過ぎる。
〝神と崇められる存在の器〟
また、ナミの声が脳裏によぎっていく。ここで、考えられるのは器というのは中身だけを入れる大きな壺だけにすぎない。
たとえば、梅干しを大量に買ったとする。そこで、ふと、大量に買っても家にはそれを全部入れる箱がない事に気づく。買って、家に帰っても困ってしまう。そこで、二つの器にわけて梅干しを入れる。そうなると、食べやすく便利で困らない。しかし、掃除中に大きな壺を見つけた。当然、二つに分けた梅干しを入れる。そのあと、この壺が違うものに使う壺だとわかったら?壺が梅干しの両に耐え切れなく、割れたら?
今でいうと、人間である颯負たちが器として選ばれても、神という存在の器には決してなれない。容器が余る程たくさんあるけど、中身の質が違えば、それは容器ではいられなくなる。
「…人間は神の領域には入れない」
なにを言いだすのかと思ったらまたしても「器」という変な言葉を口にする。颯負と心也が抱いている疑問にナミはそれでも話しを続けた。
『この世でたった一人…ゲームを始める前、そう、解説したよね?』
確かに言ってはいたが、ゲームが始める前ではない。ようやくすると、レッスン1終了の時だ。
『貧しい人…お金持ちの人…超人的な力を持っている人…この世を飽き飽きと思っている人…犯罪行為に手を染める人…そんなのは世界中、探したらおよそ何億人いると思っている? その中でたった一人を探すのにこのゲームは仕組まられた。でも、その中でやっぱり力の強い者がゲームに勝つの。ナミたちが探し求めているのは神と崇められる存在の器を探しているのに。だから、あんたたちは数々の恐怖、日常ではやれない困難をこのゲームで乗り越えさせ、最適な器としての人材を磨かせたの。そして、その灼熱の武闘会の上で立っている事こそが器の最後の磨き。なんか、頭の中で武器になるようなものを浮かんでちょうだい』
言われるがままに頭の中に小型ナイフの構造を思い浮かんだ。すると、カランと乾いた音が足元からした。思わず見ると、頭に思い浮かんだ銀色に光った小型ナイフ。
目を見開き、思わず、対面する男のほうにも顔を向けると男が両手で抱えているのは厚く鉄でつくられたサブマシンガン。
これは、まさかと思い、語り手のナミに近寄るもマグマがあった事に思いだす。一歩いけばマグマの池に落ちる寸前だった。マグマから台は高さ2メートルあるが、マグマの熱がこんなにも近くに感じられる。
「これはまさか…」
動揺し、訊ねると応えたのはカイト。
『空想上を具現化する能力です。ですが…』
そこまで聞くと、頭の中にいきなりノイズの音と除夜の鐘の音がサイレンのようにかけまわった。それはけたましく。だんだんと激しくなる。ノイズの音は脳みそがグチャグチャなるぐらい、かきまぜていくような強烈な痛みと湿疹が体に回った。
その痛みに耐えきれなく、大声で叫んだ。
『求めている器は人を超える存在です。たかが、人間如きがその力に耐えられるかどうか最後のレッスンです』
不気味な笑みを絶やし、冷たく言い放たれた。
カイトの声とノイズの音がけたましく鳴り響き、一行に止むことはない。
『どちらが器として最適なのか、レッスン、灼熱の武闘会! 制限時間は2分!』
「なっ…!二分…っ!?」
止まる事のないノイズに脂汗が体中にかき、服にひっついている。耐えながらも口を動かしただけで脳からピリピリと電撃が足のつま先まで伝ってくる。
時間に追われるとはこの事か。でも、何故、最後の最後のレッスンで時間制をつくるんだ。
ノイズの音で体が動けない中、しゃがみこんでいると、だしぬけに鋭い音と乾いた音が近くから。その弾は颯負を狙ってきた。狙いが憶測なのか、颯負がしゃがみこんでいる場所の右足近くのコンクリートが弾によって黒く焦げている。
恐る恐る乾いた音がした方向を見ると、心也がサブマシンガンを向け、ニタァと不敵に嗤っている。
相手もまだ、ノイズのせいで体が麻痺しているにもにも関わらず、ゆっくりと小刻みに動いている。颯負は頭からつま先までこだましているノイズの音とピリピリと電撃を撃たれた衝動を振り下ろし、小型ナイフを手に取った。
「なんのまねだ…」
「神になるのはこの俺だぁ!!」
気が狂ったようにサブマシンガンを打ち始めた。しかし、どれも、狙いは憶測。
『さぁ、始まりました!! 先手を打ったのは久保選手です! が、坂瀬選手も負けてはおりません!!』
カイトが声を奮いたたせ、実況した。
「神…? なにか誤解しているんじゃ」
颯負は引きっった顔で相手に詰め寄る。心也が言った、神というのはまさか、器という事ではないだろうか。それだったら、誤解だ。器というのは、神ではない。
〝あなたたちには器になってもらう。あの方の為に〟
いつの日か、ナミに言われた言葉が脳裏を過ぎる。
〝神と崇められる存在の器〟
また、ナミの声が脳裏によぎっていく。ここで、考えられるのは器というのは中身だけを入れる大きな壺だけにすぎない。
たとえば、梅干しを大量に買ったとする。そこで、ふと、大量に買っても家にはそれを全部入れる箱がない事に気づく。買って、家に帰っても困ってしまう。そこで、二つの器にわけて梅干しを入れる。そうなると、食べやすく便利で困らない。しかし、掃除中に大きな壺を見つけた。当然、二つに分けた梅干しを入れる。そのあと、この壺が違うものに使う壺だとわかったら?壺が梅干しの両に耐え切れなく、割れたら?
今でいうと、人間である颯負たちが器として選ばれても、神という存在の器には決してなれない。容器が余る程たくさんあるけど、中身の質が違えば、それは容器ではいられなくなる。
「…人間は神の領域には入れない」
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