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第三章 ファイルステージ
第33話 口笛
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「あ、ああああああ!!」
帝斗が腕を押さえ、苦しい悲鳴を上げた。撃たれたのだ、あの距離から。
撃たれた直後は音で硬直してた束の間、帝斗が叫び出したのを必然にやっと思考が動いた。
右腕から指先まで赤い血がポタリと滴してる。流石の心也も慌てた。
「帝斗、もういい! 退くぞ!」
あちらの戦力をゼロにするつもりが、こんな所で計画にもなかったアクシデントが生まれる。
「ぐ…ハァ…クソ……」
腕を回し引っ張る形で屋上から出た。
すぐに止血をした。
ドクドクと血が噴き出し傷が深い。タオルで撃たれた箇所に巻くがすぐに血の色に染まる。
たぶん、体内の中に弾が入っている。
生憎、止血するタオルしかここに持ち合わせていない。
止血してから数分後、帝斗の息がやっと整った。
「ハッ……あのクソガキ……ゼッテーぶっ殺す」
まさか、あの場所から見えたのか?心也は建物でやっとだったのに、帝斗は屋上の人間すらも見えてたらしい。
すると、階段から足音が。ダンダンと焦って登ってくる二人の影。現れたのはささと深井。
「帝斗さま!!」
「おい、何やってんだよ!!」
ささは一目散に帝斗に駆け寄り、深井は俺の胸グラを掴みかかってきた。
「お前が言ったせいで、3人も死んだじゃねぇか!」
やる気を与えたと言ってくれ。それと、お前も十分、やる気だったじゃないか。
階段の渡り廊下では深井の怒声が響き渡る。ささはそんな怒声よりも帝斗を気にし、帝斗の腕を肩に回し、一歩一歩、階段を降りていく。
胸グラを掴んでいる手が強まった。
やめてくれ、汚らわしい。
バッとその手を強く振り払った。
強く押してもいないのに、深井は足を踏み外して、階段に真っ逆さまに落ちていく。
強烈な音が響いたが、誰もやってこない。
心也は落ちていった深井のもとにゆっくりと歩み寄る。
「君がいけないんだよ…」
ピクピク魚のような動きをする深井の目前で見上げて言ってみた。返答はない。ただ、金魚の目をし、ヒューヒューと口笛を吹いている。
帝斗が腕を押さえ、苦しい悲鳴を上げた。撃たれたのだ、あの距離から。
撃たれた直後は音で硬直してた束の間、帝斗が叫び出したのを必然にやっと思考が動いた。
右腕から指先まで赤い血がポタリと滴してる。流石の心也も慌てた。
「帝斗、もういい! 退くぞ!」
あちらの戦力をゼロにするつもりが、こんな所で計画にもなかったアクシデントが生まれる。
「ぐ…ハァ…クソ……」
腕を回し引っ張る形で屋上から出た。
すぐに止血をした。
ドクドクと血が噴き出し傷が深い。タオルで撃たれた箇所に巻くがすぐに血の色に染まる。
たぶん、体内の中に弾が入っている。
生憎、止血するタオルしかここに持ち合わせていない。
止血してから数分後、帝斗の息がやっと整った。
「ハッ……あのクソガキ……ゼッテーぶっ殺す」
まさか、あの場所から見えたのか?心也は建物でやっとだったのに、帝斗は屋上の人間すらも見えてたらしい。
すると、階段から足音が。ダンダンと焦って登ってくる二人の影。現れたのはささと深井。
「帝斗さま!!」
「おい、何やってんだよ!!」
ささは一目散に帝斗に駆け寄り、深井は俺の胸グラを掴みかかってきた。
「お前が言ったせいで、3人も死んだじゃねぇか!」
やる気を与えたと言ってくれ。それと、お前も十分、やる気だったじゃないか。
階段の渡り廊下では深井の怒声が響き渡る。ささはそんな怒声よりも帝斗を気にし、帝斗の腕を肩に回し、一歩一歩、階段を降りていく。
胸グラを掴んでいる手が強まった。
やめてくれ、汚らわしい。
バッとその手を強く振り払った。
強く押してもいないのに、深井は足を踏み外して、階段に真っ逆さまに落ちていく。
強烈な音が響いたが、誰もやってこない。
心也は落ちていった深井のもとにゆっくりと歩み寄る。
「君がいけないんだよ…」
ピクピク魚のような動きをする深井の目前で見上げて言ってみた。返答はない。ただ、金魚の目をし、ヒューヒューと口笛を吹いている。
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