―ミオンを求めて―スピンオフ世界

ハコニワ

文字の大きさ
上 下
17 / 50
第二章 ナミ側

第17話 桜

しおりを挟む
 調べゆくに分かったのは2 つ。一つは、この家は2階立てアパート。二つ、地下に隠れ通路がある。その先には…
 赤い蛍光灯がチカチカなってる地下の廊下を颯負たち一行は歩いた。薄気味悪く、ヒンヤリとした空間はゾッとくる。
 地下の長い廊下を歩いた先に一つしかない部屋に辿り着いた。
 その部屋には多種多様な武器が本棚に並んでた。日本刀や獅子舞、戯画、手乗りサイズの箱。どう考えても武器にはならない物まで。

 地下から出て、また最初の部屋に移った。時計回りに自己紹介を行う。
三月みつきです、一応漫画家です」
フフと笑いながら言った。その次、目の下にクマがある青年。
伊糊いのりです……」

…………
 菜穂と颯負が最後に自己紹介したあと、テレビの電源がまたついた。画面奥に映ってるのはナミ。顔の毛穴が見えるんじゃないかぐらいドアップに映りこんでる。

『お久~、それぞれ自己紹介終わったとこでナミが話すね。レッスン3は旗+旗ゲーム! ルールは超簡単、何処に隠しているのか何処に存在しているのかわからない黄金の旗を三つに別れたチームで奪い合う戦いだよ!!』

 両手に持っているのは手乗りサイズの旗。よくおこちゃまランチのメニューで見かける小さな旗だ。
 それを両手に持ち、ひらひらと揺らした。旗の色は黄色でもないきらびやかな黄金色。

『旗は一つだけで桜、藤、椿に別れたチームにはエリアがあって、何処かのエリアに隠れているの。まず外に出られる時間は朝、昼、夜の各3時間だよ!!』
 ニコニコとした面持ちで腰に手をあて、喋る。
『分かったぁ~? 外に出られる人数は3人で因みに武器は一人一個限定ね。この舞台を作ったのはナミだから! 何でもアリアリだぉ!』
 フフとご満悦に笑うナミをよそに、テレビを前に置かれた颯負たちの雰囲気は目の前に置かれた死という絶望に打ちひしがれる。
『一つの旗をかけた戦いが今、始まったあぁぁぁ!!』
 ナミがスポーツ実況アナみたく声を上げ、奮いたたせた。それでも、空気は重い。
 この時点で誰もが気づいたのだ。次のゲームの恐ろしさに。それは、チームは三つ。旗は一本しかないという事は誰か一つのチームが奪ったらあとの二つのチームは死。
 一つのチームしか生き残れない巧妙なゲームとなる。
 辺りは血の気が引いたように冷たい。
 それを分かったのか、ナミはごほんと咳込みし、可愛い顔が恍惚した表情に変わった。
『因みにレッスン3は明日から、今日はゆっくりしてね』
 プッと落ちた。それぞれ各部屋に戻り、休憩となった。
 菜穂とも別れ、一人残った颯負は屋上に向かい、空を見上げる。
 黒い渦に吸い込まれそうな真っ黒な夜空。
 光となる月も星も見えない。
 ただ、今は夜かと考える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旧校舎のシミ

宮田 歩
ホラー
中学校の旧校舎の2階と3階の間にある踊り場には、不気味な人の顔をした様なシミが浮き出ていた。それは昔いじめを苦に亡くなった生徒の怨念が浮き出たものだとされていた。いじめられている生徒がそのシミに祈りを捧げると——。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ゴーストバスター幽野怜

蜂峰 文助
ホラー
ゴーストバスターとは、霊を倒す者達を指す言葉である。 山奥の廃校舎に住む、おかしな男子高校生――幽野怜はゴーストバスターだった。 そんな彼の元に今日も依頼が舞い込む。 肝試しにて悪霊に取り憑かれた女性―― 悲しい呪いをかけられている同級生―― 一県全体を恐怖に陥れる、最凶の悪霊―― そして、その先に待ち受けているのは、十体の霊王! ゴーストバスターVS悪霊達 笑いあり、涙あり、怒りありの、壮絶な戦いが幕を開ける! 現代ホラーバトル、いざ開幕!! 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...