―ミオンを求めて―スピンオフ世界

ハコニワ

文字の大きさ
上 下
21 / 50
第二章 ナミ側

第21話 起こすべき行動

しおりを挟む
 十二支の動物と激しい攻防戦の中、藤も参加する。
「佳奈、私、旗のとこ行ってくるね」
 玲緒がこの終止符をうつ為に一人、行動する事を決意。それを聞いた佳奈は緊迫した顔でコクリと頷く。
「……道はあたしが開くから」
 その言葉は仲間として何とも頼もしかった。
「そ、それならぼ、僕も…」
 伊糊という男も玲緒に続く。
 涙目で戦前で戦ってる女よりも弱々しい声。佳奈と玲緒は顔を見合わせ、コクリと頷いた。一人一人がようやくここで終止符をうつ行動に出る。目標は当然、黄金の旗。
 旗を奪えばこれは終わると少なからず、信じていたのだ。佳奈が道を開かし二人は走って黄金の旗に向かう。
 そんな時、伊糊はある人物を見つけた。同じ桜に所属してる男。フラフラした足取りで森から姿を現してくる。
「坂瀬くん、こんな所で何してるの?」
 声をかけた。束の間、おぞましい冷たい風が男から吹く。
「伊糊か、旗を奪いに行くのか?」
 暗闇で顔が見えない。仲間なのに、声を聞いただけで身体が縮こまる。この殺気たった風はなんだ? 恐怖でガチガチと顎がなった。
「伊糊! 早く行くよ!」
 玲緒が叫ぶ。道草くってる間に玲緒は遠くにいた。
「そ、それじゃ」
 フッと顔を合せないように背を向けた。あの、おぞましい風はなんだったんだろう。

―――

 颯負の殺気立った冷たい風は動物たちの耳や鼻を伝って既にバレている。それだけではなく、逃げていた。颯負は黒いモヤを抑え切れず、暴れ回っている猿と虎を発見した。桜のエリアで少年少女を八つ裂きしてはいろんな殺しでひっかきまわしていた。
 そんな姿を見て、ブチッとなにかの糸がきれる音がした。殺気を消し、歩み寄る。しかし、それでも尚、気づいたのは猿。

「オヤ?」
「ドウ…シタ?」
 虎が喉声から低い唸りを上げた。
「ヘイ!you!ヒサシブリ!」
 さっき別れた友達のように猿が触れ合ってきた。それとは正反対に虎は助走をつけ、警戒してる。
「ニンゲン…ナニモノ」
 虎に問われた事に颯負は黒いモヤが勝手に出てきた。抑えられてた何かが爆発する。

「坂瀬颯負、お前に殺された原田菜穂の仇」

 思えばこの男は生まれてきた時から覚醒していた。車に轢かれそうになった母を助けた際に「周辺視」身につけ、幼い頃から技・体・心を身についていた。その力は人間を遥かに越えたものとなったが、大人になるにつれ自分の身体で力を封じ込めるようになった。しかし、その力は予期せぬ事で開花する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旧校舎のシミ

宮田 歩
ホラー
中学校の旧校舎の2階と3階の間にある踊り場には、不気味な人の顔をした様なシミが浮き出ていた。それは昔いじめを苦に亡くなった生徒の怨念が浮き出たものだとされていた。いじめられている生徒がそのシミに祈りを捧げると——。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ゴーストバスター幽野怜

蜂峰 文助
ホラー
ゴーストバスターとは、霊を倒す者達を指す言葉である。 山奥の廃校舎に住む、おかしな男子高校生――幽野怜はゴーストバスターだった。 そんな彼の元に今日も依頼が舞い込む。 肝試しにて悪霊に取り憑かれた女性―― 悲しい呪いをかけられている同級生―― 一県全体を恐怖に陥れる、最凶の悪霊―― そして、その先に待ち受けているのは、十体の霊王! ゴーストバスターVS悪霊達 笑いあり、涙あり、怒りありの、壮絶な戦いが幕を開ける! 現代ホラーバトル、いざ開幕!! 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...