―ミオンを求めて―スピンオフ世界

ハコニワ

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第二章 ナミ側

第16話 ゴールへと

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 走ってる最中「また踏みました~」と和奈が涙交じりに言う。
「はぁ!? あんた何やってんの?」
 玲緒が鋭く和奈を睨んだ。すかさず、菜穂がフォローに入る。
「大丈夫! 大丈夫だよ!」
 走りながらそんな会話が続いてる。

 束の間、金属が擦り合わせる音が聞こえてきた。それは近くで徐々にやってくる。薄暗い廊下の先で何かが光った。大型のチェンソーが捻りをあげて向かってくる。進むつれにして、ゴールの光が見えた。一行らはその光めがけて、走る。












 





『もー! 遅ーーーーい!!』

 迷路から抜け出した颯負たちを迎え入れた言葉はそれだった。颯負たちの息は荒く、息を切らしてる。
 迷路を抜けた先は学校の体育館。入り切れない程の人が集まってる。
『こんだけナミを待たせるなんて最低の最低だよ! でも、これで全員揃ったね』
 体育館のステージには映像で映ってた少女が立っていた。マイク片手に颯負たちを一喝。
「……迷路、抜けたのか?」
 訳が分からず、後ろを振り向いた。そこには迷路のような道もない。あったのはただの壁。
『えーテステス』
 マイク越しでも分かる子供の鈍ったるい声。実際、よく見ると可愛らしい少女だ。辺りを一望し、満面の笑みを浮かべてる。
『最初に言ったけど、私はナミ、ま、あんたたちの超監督者だから無謀な行動せずよろっ!』

『あんたたちにはある存在になってほしいの、それはこの世でたった一人・・・・・だけ。これはそれを決めるゲームなの』
 息をつまらせないで淡々と言った。ふつふつと怒りが込上がってきた。
「…けんな…ざけんなっ!! 今まで何人死んだと思ってやがる!!」
 俺は少女に怒声を浴びせた。それがやけに体育館によく響く。
「ちょっ! 颯負くん!」
「ダメやって!」
 暴れる颯負を力づくで押さえる菜穂と佳奈。
 数分後、颯負の行動に賛同しそれと同じく、小学生の少女に怒声や暴れだし、ステージに上がる者も現れた。

 ナミは舌打ちするや、ステージに上がった者らの胴体を素手できった。

 体育館はどよめきが広がった。
腹から見事に下がない。真っ二つに別れた肉はベシャと崩れるようにステージの下に転落。

 ナミにも辺りにも返り血がついてるが、すぅと消えた。パッとナミが振り返った。変わらぬ表情。
『ナミを怒らせたらこうなるから! 以後、よろっ!』
 パチリと可愛くウインクをみせた。しんと静まり返ってる。フツフツと沸騰しそうになった怒りもない。
『んじゃ、レッスン2始めるよ! レッスン2は神の選別、桜、藤、椿に別れてもらうよ』
 ナミが元気よく人差し指をあげた途端にすぐ隣のナイトがひらひらと手をあげた。
「ちょっと質問ー」
 ナミはパァと満面の笑みでナイトに手を振った。
『はい、そこの少年どうぞ!』
「えーと、一人しか決められないのをあんたはゲームで決めるって?」
『そうだよ! あんたじゃよ、ナミだよ!』
「これっていつまで続くの?」
『言ったじゃん一人になるまで』
 その発言に俺はいてもたってもいられずナイトと同じ手をあげた。が、ナミはカッと目を見開き声をあげた。
『黙ってな、これだからあんたは!』
 フンと当然という目を向けられた。ナイトからも顔を放したナミは両手を横に広げ、パンと合わせた。
『神の選別はナミが決めるから異議はないよね?』
 すると、視界がグラと揺れた。意識が徐々に遠のいていく。尚、ステージから離れたナミと目が合う。
 ナミは颯負にフッと不敵な笑みを見せた。その笑みに嫌悪感と鳥肌がたった。
『それぞれ別れたのはこれから仲間になるから喧嘩はなし! 面倒臭いから』
そう言うと瞼が重くなり、ついには意識が途切れてしまった。

 目が覚めた。
 いつから寝てたのか、頭がクラクラする。辺りを見渡すと1ルームの部屋の中にちゃぶ台とテレビが置かれた部屋。それに、20人の男女がいた。勿論、菜穂もナイトもいる。

 全員の目が覚めた時、突然、テレビの電源が勝手についた。何事かとテレビに注目する。液晶画面の背景が黒で白い文字が映ってる。

『桜の諸君! 早速これに着替えてね!』

 テレビの下には人数分の服が置いてあった。右胸には桜の絵が書かれてる。

 取り敢えず、この部屋を調べる前に着替えようと颯負が提案した。黄色い蛍光灯に照らされた長い廊下。それぞれ個室で、扉には名前が彫刻刀で彫られてあった。しかも、アダ名。それぞれ、自分だと思う部屋に入ってく。1番隅っこの端辺りに『女たらし』と彫られてある。

「誰が彫ったんだよ…」
 嫌々その部屋に入る。
 指定された服にさっさと着替えた。用意されてた中の薄ピンクのピンを胸元にさし、そのまま部屋を出た。まるで、学校用の制服を着ているみたいで居心地が悪い。暫くは女性陣の着替えを待つ。

「お待たせ~待った?」
 菜穂が一早く駆けつけた。颯負と同じ服を着てる筈が全く違う雰囲気を漂わせてる。歩くたびに短いスカートが揺れ、白くもっちりした太腿がチラリと見えた。
 そこに瞬時に目がいく。菜穂はその視線に気づき、ニタァと悪戯っ子のように笑った。
「おやおや~、何処みてんのかな?」
 スカートの丈を短く持ち颯負に見せる。もう少し短く持つとパンティが見える角度だ。
「スカートスカート!」
「えへへ、冗談冗談~」

「リア充爆死…」
 颯負と菜穂の間にいつのまにかナイトが入ってた。二人はナイトの存在に気づきササッと離れる。ナイトは溜息をつき、全員が集まっている部屋を指さした。
「もう皆集まってる、この家を調べるって言ったのあんたじゃん」
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