―ミオンを求めて―スピンオフ世界

ハコニワ

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第一章 カイト側

第6話 大驚失色

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  昼

 誰もいないのを確認し、裏口から出て行った。朝のように杏子や紅葉が仕掛けてくるかもしれない。
 警戒しながら前に進む。
 幸たちには出て行くという事を伝えないまま来てしまった。キングがいないという事がわかると探しにくるかもしれない、だとしたら、計画の邪魔だ。
 知られないうちにとっとと、杏子の首を取らないと。
と、思って早足になる。が、帝斗だけはのそのそフラフラ、酔っぱらいのような足取りで歩いている。
「帝斗……急げ」
「分かってる分かってる、んな慌てんなさんなって」
 帝斗を置いて行こうかなと思った矢先、茂みから人影が現れた。黒い影が目の前にやってきた。咄嗟に持っていた銃を相手に向ける。

「あれ? お二人さんじゃないですか?」

 聞き覚えのあるか細い声、金髪に染めた頭は見慣れた顔の持ち主、ささだった。ささは俺と目が合うと微笑んだ。
 俺は緊迫した空気の中、見知った人物を見て、安堵したのか銃口を下に向ける。
「ささちゃん……久し振り」
「お久し振りですぅーあ! 帝斗さまも!」
 ささが次に目に入ったのは帝斗。胸の前で手を合わせ恍惚の笑みを宿してる。俺と全く違う反応、余程、こいつの肉棒が好きらしい。帝斗はささを見るとヒラヒラと手を振った。
「嬢ちゃんじゃん~お久~」
「あれ? でも何でお二人がここに……しかも、心也くんって…」
 みるみるうちに顔が青ざめてく。俺を指差し大声をあげようと口を開けた。途端、その口を帝斗が手で封じた。
「~~~~っ!!」
「嬢ちゃん、今は間が悪い」
 ぐぐと封じてる手に力がこもる。鼻と口を塞がれ、涙目で何かを訴えてる。そこで、ハッと気づく。ここは敵のエリアだという事に。

「帝斗! もういい、早く作戦を……―」
「その必要はない」
 身体が硬直した。ヒヤリと汗が浮き出る。この場の誰でもない男の声。恐る恐る、声のした方向を見た。いつの間にか男五人らが俺らを囲んでいた。全員、服の校章が紅葉。
 途端、ささの服が光った。帝斗の手が離れていく。光ったのを機に服が変わった。胸の校章が紅葉に。まさか!
「すみません。死んでください」
 俺を見て、冷たく言い放った。
 まさか……仕組まれてた!?
 男五人が一斉に銃口を俺に向けた。心也から向いて、真ん中の男が銃口を向けて一歩前に踏み出し近づいてきた。
「初めまして銀杏のキング、久保心也殿、そして、さようなら…」
 ニッと笑ったのを最後に五人の銃声が響いた。


 私は牟田ささ。高校生。一日性行為やらないと気がすまない女です。神の選別で私は紅葉になった。知りあった人と別れ、少々、心細かったけど、何とかやれそうな気がする。
 私よりも小柄な子がキングになった。でも、そのキングは凄かった。巧妙に罠や作戦を考え、このゲームを終わりへと先指す人物だった。そんな強い子が言った。
「男のキングは何かあったら力で負ける。だったら、今殺らないと」
 キングが怯えて言った。でも、それは演技だって後に知った。
 その演技に騙され私はキングの力になりたくて手をあげた。
「銀杏のキングとは知り合いなの。何とか釣れそうな気がする」
 そう言うと、私と男五人を餌にしたて計画をねった。それから、現在に至る。
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