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第三章 ファイルステージ
第37話 大好きでした
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これは夢であってほしいと何度も願った。
何度も願い、その願いは誰にも向けられず、ただ無情にも壊され、今度は何を願うのか。
呼びよせるという三月の提案により、颯負、玲緒に和奈と三月、葵、雪戸、明と別れて外に向かった。
三月ら一同は外に一度も行った事がなかった為、亜里たちのようにはしゃいでいた。ちなみに言うと、ナイトはまた面倒臭いと言い一人残っている。
―――
別れた三月たちは舗装されてない道を歩いていた。会話の中は全部、現実世界。闇の中に染まりつつも希望の話しだった。
「き、昨日のこ、告白、なかった事にしたから…その」
いつもの強気な葵がもじもじと身体をくねらせ、ジッと雪戸を見つめる。雪戸はその視線を交えるのが恥ずかしく、パッと逸らした。
その不意に、大柄な影が二人の間に入る。その時、葵の小さな悲鳴が聞こえたきがした。
雪戸は思わず、振り返ると隣には葵の影も形もいなかった。
葵は大柄な影にかつがされていた。しかも、その先は道も作られてない空洞の穴がある。
「葵…? やめろおおお!」
「雪戸ぉ! 助けて!!雪…とぉ…」
掻き消える小さな悲鳴が残り、葵と大柄の影は一緒に真っ暗な闇へと落ちていく。
すぐさま、雪戸は駆け寄ったが、時既に遅し。もう、二人の姿は闇に溶け込んで闇しか写し出されない。葵の悲痛な叫び声だけが空洞の中でいくつも反響している。
「葵…? そ、そんな、そんなあ、あ、ああああ!!」
無気力な声が辺りに響き、悲痛な叫びが続く。濁流にも似た涙を流し、仲間の声にも聞こえていない。
顔を地面につけ、啜り泣くその背後から、忍び寄る影が。いつの間にか、三月たちは敵に囲まれていた。袋叩きするように大勢の人たちが。
「危ない!!」
雪戸を庇うように三月が前にでた。それと同じく、三月の身体に鋭い刃物が振り下ろされた。
「み、三月ちゃん…」
「ゴフッ…―!!」
血を噴き出し、後ろに倒れかかってきた。それを、雪戸はしっかりと受け止めた。肩から横腹まで斜め一本の血の線が入っている。
「そんな、僕なんかを庇って…」
「逃、げて…お、願い…」
涙と血でグシャグシャになりながらも微かに消える声で言う。
まるで、遺言のように。それから、力つきたように目の光が消え、フッと顔の表情が消えた。もう、ピクリとも動かない。
「う、うぅ、ごめん…ごめんなさ…グッ」
「逃げろ、雪戸だけでも!!」
大勢に囲まられ、明の切羽詰った怒声を耳にする。
―――
雪戸たちが襲撃にあっている事はつゆ知らず、颯負たちは一行は学校やオフィスビルが建て並ぶ道を歩いていた。
「み、皆さんゆっくり歩いて下さい~」
「はぁ、もうだらしないわね。さっさと歩く!!」
一番後ろをノロノロ歩いてた和奈に玲緒がお叱り。うぇーんと子供のように泣き言を次から次に出る口振りは凄いと思う。
しかも、かなり反響してるし。
「うっうっ…帰りたい~」
「私だって…」
和奈につられて、玲緒も肩を落とす。おいおい、なんだよこのムード。
「大丈夫だ、この先行けば…―」
ハッと周りに意識を集中させた。この空気、何故かあの時と同じ。誰かの視線が感じる。
「ど、どうしたの?」
玲緒がまた心配面してくる。これはまさにデジャブだ。また、起きようとしている。それはさせない。何があっても。
身体の中の血が沸騰する気配がした。
「二人とも、今日はこのへんで一旦帰ろう…」
そッと悟られないように二人の背中を押し、来た道に戻ろうとする。
しかし、ここで玲緒がくってかかる。
「どうして!? 今はあいつらの戦力を減らす事が出きるかもしれないんだよ!? 逃げるなんて考えられない!!」
クワッと自分の主張を早口で言う。それは確かにと思うが引くわけにはいかない。
「でも、このままじゃ危ない…」
玲緒を説得する間に、玲緒の後ろからキラっと何かが光った。
鋭い刃物の光沢したもの。瞬時に、守らないとと思考が駆け巡った。玲緒を押しのけ、その光沢する物体が闇から現れた。
「ぐっ…っ!!」
「あ…そ、そんな…」
脇に強烈な痛みが駆け巡った。血管をブチブチ引き裂かれる強烈な痛みがかけ走った。
右脇に一本の小型ナイフが奥まで突き刺さっていた。
「颯負っ!」
名を呼び、駆け寄る玲緒の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「あわわ…一体どこから、大丈夫ですかぁ!?」
「大丈夫なわけないでしょ!!」
2人がやり取りしてる間に、脇からかけて腕に一筋の赤い血がポタポタと地面を濡らす。それは止まる事なく湧き出てくる。
痛さと苦しい絶叫が神経を肥らせ、声を抑え、脇に突き刺さったナイフを抜いた。
強烈な痛みで目が冴えてる。抜いた箇所からドッと血が吹き出してきた。
それを見て、ブルブル小動物のように怯える和奈と自分のせいでやられた相手を見て立ち尽くしている玲緒。
ふと、玲緒の頭に〝右斜め上から颯負のいる位置に木の棒が飛んでくる〟という情景が見えた。それは一瞬で、スクリーンでパッパと映像を変えるような速さ。
瞬時に、自分の持っている占い師としての力だった事を理解した。
このままでは危ない、右斜め上をチラッと見上げた。高層ビルが立ち並んでいる。
いつくるか分からない圧迫感と自分の占いの力が当たっているかの不信感が脳裏をよぎり、そのまま呆然と立ち尽くしていた。
が、頭では行動に移していた。
何度も願い、その願いは誰にも向けられず、ただ無情にも壊され、今度は何を願うのか。
呼びよせるという三月の提案により、颯負、玲緒に和奈と三月、葵、雪戸、明と別れて外に向かった。
三月ら一同は外に一度も行った事がなかった為、亜里たちのようにはしゃいでいた。ちなみに言うと、ナイトはまた面倒臭いと言い一人残っている。
―――
別れた三月たちは舗装されてない道を歩いていた。会話の中は全部、現実世界。闇の中に染まりつつも希望の話しだった。
「き、昨日のこ、告白、なかった事にしたから…その」
いつもの強気な葵がもじもじと身体をくねらせ、ジッと雪戸を見つめる。雪戸はその視線を交えるのが恥ずかしく、パッと逸らした。
その不意に、大柄な影が二人の間に入る。その時、葵の小さな悲鳴が聞こえたきがした。
雪戸は思わず、振り返ると隣には葵の影も形もいなかった。
葵は大柄な影にかつがされていた。しかも、その先は道も作られてない空洞の穴がある。
「葵…? やめろおおお!」
「雪戸ぉ! 助けて!!雪…とぉ…」
掻き消える小さな悲鳴が残り、葵と大柄の影は一緒に真っ暗な闇へと落ちていく。
すぐさま、雪戸は駆け寄ったが、時既に遅し。もう、二人の姿は闇に溶け込んで闇しか写し出されない。葵の悲痛な叫び声だけが空洞の中でいくつも反響している。
「葵…? そ、そんな、そんなあ、あ、ああああ!!」
無気力な声が辺りに響き、悲痛な叫びが続く。濁流にも似た涙を流し、仲間の声にも聞こえていない。
顔を地面につけ、啜り泣くその背後から、忍び寄る影が。いつの間にか、三月たちは敵に囲まれていた。袋叩きするように大勢の人たちが。
「危ない!!」
雪戸を庇うように三月が前にでた。それと同じく、三月の身体に鋭い刃物が振り下ろされた。
「み、三月ちゃん…」
「ゴフッ…―!!」
血を噴き出し、後ろに倒れかかってきた。それを、雪戸はしっかりと受け止めた。肩から横腹まで斜め一本の血の線が入っている。
「そんな、僕なんかを庇って…」
「逃、げて…お、願い…」
涙と血でグシャグシャになりながらも微かに消える声で言う。
まるで、遺言のように。それから、力つきたように目の光が消え、フッと顔の表情が消えた。もう、ピクリとも動かない。
「う、うぅ、ごめん…ごめんなさ…グッ」
「逃げろ、雪戸だけでも!!」
大勢に囲まられ、明の切羽詰った怒声を耳にする。
―――
雪戸たちが襲撃にあっている事はつゆ知らず、颯負たちは一行は学校やオフィスビルが建て並ぶ道を歩いていた。
「み、皆さんゆっくり歩いて下さい~」
「はぁ、もうだらしないわね。さっさと歩く!!」
一番後ろをノロノロ歩いてた和奈に玲緒がお叱り。うぇーんと子供のように泣き言を次から次に出る口振りは凄いと思う。
しかも、かなり反響してるし。
「うっうっ…帰りたい~」
「私だって…」
和奈につられて、玲緒も肩を落とす。おいおい、なんだよこのムード。
「大丈夫だ、この先行けば…―」
ハッと周りに意識を集中させた。この空気、何故かあの時と同じ。誰かの視線が感じる。
「ど、どうしたの?」
玲緒がまた心配面してくる。これはまさにデジャブだ。また、起きようとしている。それはさせない。何があっても。
身体の中の血が沸騰する気配がした。
「二人とも、今日はこのへんで一旦帰ろう…」
そッと悟られないように二人の背中を押し、来た道に戻ろうとする。
しかし、ここで玲緒がくってかかる。
「どうして!? 今はあいつらの戦力を減らす事が出きるかもしれないんだよ!? 逃げるなんて考えられない!!」
クワッと自分の主張を早口で言う。それは確かにと思うが引くわけにはいかない。
「でも、このままじゃ危ない…」
玲緒を説得する間に、玲緒の後ろからキラっと何かが光った。
鋭い刃物の光沢したもの。瞬時に、守らないとと思考が駆け巡った。玲緒を押しのけ、その光沢する物体が闇から現れた。
「ぐっ…っ!!」
「あ…そ、そんな…」
脇に強烈な痛みが駆け巡った。血管をブチブチ引き裂かれる強烈な痛みがかけ走った。
右脇に一本の小型ナイフが奥まで突き刺さっていた。
「颯負っ!」
名を呼び、駆け寄る玲緒の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「あわわ…一体どこから、大丈夫ですかぁ!?」
「大丈夫なわけないでしょ!!」
2人がやり取りしてる間に、脇からかけて腕に一筋の赤い血がポタポタと地面を濡らす。それは止まる事なく湧き出てくる。
痛さと苦しい絶叫が神経を肥らせ、声を抑え、脇に突き刺さったナイフを抜いた。
強烈な痛みで目が冴えてる。抜いた箇所からドッと血が吹き出してきた。
それを見て、ブルブル小動物のように怯える和奈と自分のせいでやられた相手を見て立ち尽くしている玲緒。
ふと、玲緒の頭に〝右斜め上から颯負のいる位置に木の棒が飛んでくる〟という情景が見えた。それは一瞬で、スクリーンでパッパと映像を変えるような速さ。
瞬時に、自分の持っている占い師としての力だった事を理解した。
このままでは危ない、右斜め上をチラッと見上げた。高層ビルが立ち並んでいる。
いつくるか分からない圧迫感と自分の占いの力が当たっているかの不信感が脳裏をよぎり、そのまま呆然と立ち尽くしていた。
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