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第三章 ファイルステージ
第31話 男の暴走
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人数減りゲーム…1日目
ある人物の一言でその場は恐怖に固まった。その人物とは偽りの仮面で支配しようとしてた人物。心也だ。
「ほ、本気で言ってんの?」
心也が放った言葉に凪が顔面蒼白で問いかける。強気な態度が今や弱々しい負け犬にも見える。
「本気だ、皆には頑張ってほしいんだ」
そう言った心也の作戦は身も毛もよだつ人を人として見ない作戦だった。その作戦とは仲間の命を犠牲にし、あっちの即戦力を減らすという、自分の味方までもを犠牲にした作戦。
それをさらっと平気な顔して述べた。
「あ、ありえない断固反対!! 無理に決まってるでしょ!?」
凪が声を上げ、心也に掴みかかった。
「自分の味方削るモンと同じじゃん! そう言うなら自分、一人がやりな!!」
声を高らかに上げ、顔を見上げ心也を見下ろすように見てきた。凪の声に誰もが賛同する声が漏れた。
心也はどうしようもなくなった捨て駒を見て呆れで溜息が漏れた。
その溜息は第三者から見たらどう写るだろうか。
「僕もこんな事言うのは心苦しいんだ、分かってくれ、けどこれが最善なんだ」
「さ、最善!? ……馬鹿にすんな!! 私らはあんたの思ってる『捨て駒』じゃないんだよ!!」
チっ、やはり早めに殺しとくべきだったか。口は悪いのに、その思考どっか置けよ。しかし、この作戦はこの女が最適だ。
天才少女として活躍してるこの女の顔を知らない者は誰もいない。こいつには餌として利用できる。
「僕が考えた作戦では第一に凪ちゃんがあっちのエリアに行って敵を来させ、こっちに戻ってくるっていう簡単な事、あとは皆がパパッとやっつければ終わりだよ」
不敵に笑った。ここで第一印象が崩れる。作戦を聞いた一同は固まった。もはや絶句。
不謹慎に笑う心也に凪さえも思考がストップする。
ずっと黙ってた帝斗が呆れた口調で口を開いた。
「作戦とかどうでもいいけどさぁ、あっちから数人こっちに来てるよ」
窓付近に腰掛け、皆の顔を伺いながら窓と交互に見る。
一同の空気はガラッと変わった。ナミ側も本気らしいという事を改めて知る。帝斗の口振りがやけに強くなった。
「…終わりに犠牲はつきもの。だったら今やる時じゃない?」
心也の目をチラッと見てフッと笑った。一瞬の目の合図だったがはっきりと〝盛りすぎ〟という目の訴えが分かった。
それまで、断固拒否だった全員の顔から恐ろしい血相が出てきた。死にたくない、ならば殺せという思考が撒き散らす。
いとも簡単に捨て駒を操れた。
―――
亜里、矢野、明、玲緒、雫、南城と加えた颯負たちは敵の本拠地に向かっていた。というか、周辺の探索だ。事の始まりは20分前。
窓の外は一つの街の夜を再現した『静寂な世界』だ。
人の影も形もない。それなのに、駐車場に止めてある数台の車や封鎖されてない学校、高層ビルやタワー、何処か現実世界とマッチしすぎでいても立ってもいられず探索に伺った、とここら辺は理解してくれ。
けど…
「……何故、こんな大人数なんだ?」
人数的には2人か3人が良かった筈が、数えてみれば5~6人もついてきてる。
「仕方ないじゃない! 私だって知りたいし!」
玲緒がさも当たり前といったふうに言う。
「亜里も亜里も! 亜里の会社あるかな~?」
「こう、人がいない街ってうずうずしない?」
「するするする!!」
遠足気分な喋りが続く。
もっとマシな奴ら連れてくれば良かった…。三月とか。いいや、マシか? 雪戸…はいいか。ナイトはダルいと言ってついてこなかったし。マシな奴って…いないな…。
高層ビルと並ぶファション系の建物を横切った。束の間、人の気配がし思わず振り向く。
が、人の気配がしたものの影すらも見えない。物音がしてもいいのに、何も聞こえない。
「颯負、どうしたの?」
玲緒が立ち止まって問いかけてくる。他の皆も、立ち止まった颯負たちに気づき、足を止めてる。
颯負は再度、後ろを振り向いた。誰もいない。気のせいか…と思い、また足を動かした。束の間、
パァン!!
狩人が森にいる野生の動物を躊躇もなく撃つ銃声が轟いた。
それと、一緒に矢野が地面に吸い込まれる勢いで倒れた。倒れた所では血が濁流のように流れてる。
「いやああああ!」
「矢野っ!!」
亜里の甲高い悲鳴。颯負がすぐさま駆けつけるが、ピクリとも微かな心臓の音はしない。
「そんな…」
銃声がした方向は分からない。空気に反響してて何処で狙い撃ってるのか、相手は何処にいる。
「逃げなきゃ…逃げなきゃ!!」
南城が冷や汗を額に掻かせながら、叫び、背を向き走り出した。それを合図とし、亜里も雫も四方八方に逃げていく。
「待て、皆! くっ…!」
叫んでみても全然響かない。ここに残ってる明と玲緒たちを置いて雫たちを捕まえるのは無理がある。
3人はすれ違ったファション系の建物の中に息を潜めた。
「ねぇ、亜里たち何処行ったの!?」
強気な口調で玲緒が言うが、顔が蒼白しきってる。隣にいる明も放心状態。
「…分からない…逃げた場所が安全だと良いけど」
息を殺し、モール内を見渡した。人影も気配もない。だが、心臓が緊迫感に押しつぶされそうで呼吸困難になる。
ある人物の一言でその場は恐怖に固まった。その人物とは偽りの仮面で支配しようとしてた人物。心也だ。
「ほ、本気で言ってんの?」
心也が放った言葉に凪が顔面蒼白で問いかける。強気な態度が今や弱々しい負け犬にも見える。
「本気だ、皆には頑張ってほしいんだ」
そう言った心也の作戦は身も毛もよだつ人を人として見ない作戦だった。その作戦とは仲間の命を犠牲にし、あっちの即戦力を減らすという、自分の味方までもを犠牲にした作戦。
それをさらっと平気な顔して述べた。
「あ、ありえない断固反対!! 無理に決まってるでしょ!?」
凪が声を上げ、心也に掴みかかった。
「自分の味方削るモンと同じじゃん! そう言うなら自分、一人がやりな!!」
声を高らかに上げ、顔を見上げ心也を見下ろすように見てきた。凪の声に誰もが賛同する声が漏れた。
心也はどうしようもなくなった捨て駒を見て呆れで溜息が漏れた。
その溜息は第三者から見たらどう写るだろうか。
「僕もこんな事言うのは心苦しいんだ、分かってくれ、けどこれが最善なんだ」
「さ、最善!? ……馬鹿にすんな!! 私らはあんたの思ってる『捨て駒』じゃないんだよ!!」
チっ、やはり早めに殺しとくべきだったか。口は悪いのに、その思考どっか置けよ。しかし、この作戦はこの女が最適だ。
天才少女として活躍してるこの女の顔を知らない者は誰もいない。こいつには餌として利用できる。
「僕が考えた作戦では第一に凪ちゃんがあっちのエリアに行って敵を来させ、こっちに戻ってくるっていう簡単な事、あとは皆がパパッとやっつければ終わりだよ」
不敵に笑った。ここで第一印象が崩れる。作戦を聞いた一同は固まった。もはや絶句。
不謹慎に笑う心也に凪さえも思考がストップする。
ずっと黙ってた帝斗が呆れた口調で口を開いた。
「作戦とかどうでもいいけどさぁ、あっちから数人こっちに来てるよ」
窓付近に腰掛け、皆の顔を伺いながら窓と交互に見る。
一同の空気はガラッと変わった。ナミ側も本気らしいという事を改めて知る。帝斗の口振りがやけに強くなった。
「…終わりに犠牲はつきもの。だったら今やる時じゃない?」
心也の目をチラッと見てフッと笑った。一瞬の目の合図だったがはっきりと〝盛りすぎ〟という目の訴えが分かった。
それまで、断固拒否だった全員の顔から恐ろしい血相が出てきた。死にたくない、ならば殺せという思考が撒き散らす。
いとも簡単に捨て駒を操れた。
―――
亜里、矢野、明、玲緒、雫、南城と加えた颯負たちは敵の本拠地に向かっていた。というか、周辺の探索だ。事の始まりは20分前。
窓の外は一つの街の夜を再現した『静寂な世界』だ。
人の影も形もない。それなのに、駐車場に止めてある数台の車や封鎖されてない学校、高層ビルやタワー、何処か現実世界とマッチしすぎでいても立ってもいられず探索に伺った、とここら辺は理解してくれ。
けど…
「……何故、こんな大人数なんだ?」
人数的には2人か3人が良かった筈が、数えてみれば5~6人もついてきてる。
「仕方ないじゃない! 私だって知りたいし!」
玲緒がさも当たり前といったふうに言う。
「亜里も亜里も! 亜里の会社あるかな~?」
「こう、人がいない街ってうずうずしない?」
「するするする!!」
遠足気分な喋りが続く。
もっとマシな奴ら連れてくれば良かった…。三月とか。いいや、マシか? 雪戸…はいいか。ナイトはダルいと言ってついてこなかったし。マシな奴って…いないな…。
高層ビルと並ぶファション系の建物を横切った。束の間、人の気配がし思わず振り向く。
が、人の気配がしたものの影すらも見えない。物音がしてもいいのに、何も聞こえない。
「颯負、どうしたの?」
玲緒が立ち止まって問いかけてくる。他の皆も、立ち止まった颯負たちに気づき、足を止めてる。
颯負は再度、後ろを振り向いた。誰もいない。気のせいか…と思い、また足を動かした。束の間、
パァン!!
狩人が森にいる野生の動物を躊躇もなく撃つ銃声が轟いた。
それと、一緒に矢野が地面に吸い込まれる勢いで倒れた。倒れた所では血が濁流のように流れてる。
「いやああああ!」
「矢野っ!!」
亜里の甲高い悲鳴。颯負がすぐさま駆けつけるが、ピクリとも微かな心臓の音はしない。
「そんな…」
銃声がした方向は分からない。空気に反響してて何処で狙い撃ってるのか、相手は何処にいる。
「逃げなきゃ…逃げなきゃ!!」
南城が冷や汗を額に掻かせながら、叫び、背を向き走り出した。それを合図とし、亜里も雫も四方八方に逃げていく。
「待て、皆! くっ…!」
叫んでみても全然響かない。ここに残ってる明と玲緒たちを置いて雫たちを捕まえるのは無理がある。
3人はすれ違ったファション系の建物の中に息を潜めた。
「ねぇ、亜里たち何処行ったの!?」
強気な口調で玲緒が言うが、顔が蒼白しきってる。隣にいる明も放心状態。
「…分からない…逃げた場所が安全だと良いけど」
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