―ミオンを求めて―スピンオフ世界

ハコニワ

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第一章 カイト側

第4話 銀杏

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 不敵な笑みを漂わせ、次のゲームへとのろうとした。よし、きた! 次はどんな刺激がくるのか楽しみだ……。
 と思っている束の間、周りが騒ぎだした。開放しろだの、何人死んだと思うだの犬の遠吠えにもにた怒声をカイトに攻撃。
 映像に写っている小学生の少年にみな、気が狂ったように声を荒げた。
 カイトは一つ溜息をこぼした。

『うっさい』

 カイトが真顔で男性を指差した。

 その指先から光線のようなものが出てきた。それは男性の身体を直撃。その男性は頭から倒れていった。喉から心臓部分に大きな空洞が出来ている。
 その空洞から湯気が立ち込めた。男性の場所だけ、美術の赤いアートが彩られた。
「きゃあぁ!!」
「うわぁ!」
 その周りにいた者たちがゴキブリでもいるかのようにその男から離れる。
「ヒュゥー」
 帝斗は関心した顔でニタニタ笑っている。カイトは何食わぬ顔。次にニコッと不敵な笑みを漂わした。
『レッスン2は神の選別です。銀杏、杏子、紅葉に別れてもらいます』
 指をパチンとならした。その直後、意識が遠くなる。目を閉じ、深い闇に入る。


 目が覚める。
 はっきりとしない意識のまま、上体を起こす。風通しが良い田舎で見る昔の建物にいた。木材と畳の匂いがする。
 その部屋の中に25人ほどの人がいた。見知らぬ者もいれば、帝斗や幸がいる。パッとテレビがついた。畳の部屋でポツンと一台のテレビがおいてある。

『えーえー、皆さん、起きましたか? 今、自分の周りにいるのはこれから共にする仲間です。仲良くして下さいね』

 ふと壁を見た。小さい額縁で銀杏の木の絵が飾られてた。選別で俺は「銀杏」になったのか。カイトが画面奥からフッと消えた。数秒後、ヒョコッと画面下から現れた。手に持ってるのは鋭く尖った刀。
『レッスン3は首撃ちゲームです。首撃ちゲームとはそれぞれ別れた銀杏、杏子、紅葉の何処かのキングの首をとる安易なゲームです』
 手に持っていた刀を首に、思いっきり横にスライドさせた。ブシャと画面に赤黒いのが噴射した。ざわつきはじめる。みな、赤く染まったテレビ画面に釘付けになった。
『皆さん、焦らないでください』
 画面奥でカイトの声が聞こえた。が、画面は赤く染まって全く見えない。自分から首に刀を持って行き、目の前でやってみせたのだ。
 画面上が綺麗になった。キュキュとハンカチで拭いてる。首を改めて見ると、全くといっていいほど傷跡も血痕もない。普段の肌色。
 片手に持っているのは、なんと血糊だった。まだほんの少し残っている。今さっきの血はカイトのではなく、血糊だったわけだ。それじゃあ、スライドさせたのはショーという事か。

『まずは、キングを紹介しますね、それぞれのキングはこいつらだ!』
 バンとテレビ画面上に顔写真と性格、行動などが詳細に書かれていた。
『クレイジーキング銀杏…久保心也 おっとり杏子…平 奈津子ひら なつこ 性悪女紅葉…大迫 凪おおさこ なぎ

「え……俺がキング?」
 そう言うと一斉の視線が俺に集中した。
『キングの首を撃つ方法は様々です。殺したあとでも構いませんし、勿論、キング同士が撃つのも構いませんが…』
 スッと手の平を敬礼の構えをし、小さい首にトントンとやる。
『キングが撃たれた場合、分かりますよね? キングが撃たれたら自分たちも死です』
 ざわと冷たい空気になった。俺でさえも、ソッと首に触れた。身体と頭がまだ繋がっている、それが今や危機になっている。
『武器は倉庫にあります。あと、銀杏は銀杏、杏子は杏子の服がありますのでこのあと着て下さい。レッスン3は明日からなので、今日はしっかりと休んで下さいね、ではまた』

 ブッときれた。
 残ったのは淀んでいる空気。が、対して、俺の心の中は踊っていた。この空気に。
 それぞれの個室で用意された服を着、家の中を探索した。本当にテレビでしか見たことのない古風な家だった。そして、最も驚いたのは多種多様な武器が図書館みたく棚に並べてあった部屋を見つけたのだ。
 それからは疲れをとるために皆、自分の部屋に移った。
 残ったのは帝斗と俺。帝斗は部屋の隅の壁に身体を預けてる。
「お前の言うとおり、サイコパスかもしれない…」
ふと、そんなことをいう。昔から嘘をつくのも平気でやってのけ、この現状を楽しんでいる。何故かこの男の前で言ってしまった。が、この男の前だからこそ言えるのかもしれない。
「へぇ、そうなん」
「……次のゲーム…楽しみなんだ」
真正面に腰掛け、そう言った。自分はサイコパスという事を初めて知った。
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