―ミオンを求めて―スピンオフ世界

ハコニワ

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第三章 ファイルステージ

第30話 電球取り替えればいいじゃん

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 黒い扉。周りは茶色の扉なので一層、目立つ。人目でこの部屋だとわかる。颯負がドアノブをガチャガチャ回してみた。本当に開かない。押しても引いても微動だにしない。
「もう、こうなったらぶっ壊すしか!」
玲緒がいつもの冷たい顔で何気なく爆弾を言う。
「いいや、ここは……―」

「ダメダメ~」

 突如、甲高い鈍りのあるナミの声が。一同は、声のした方向を恐る恐る顔を向ける。
黄色い蛍光灯で眩しく廊下が照らしてる筈が、チカチカと点滅しては、灯してる一つの蛍光灯がある。その場所の下にはナミが。
「その扉、ナミが開けないとフフ」
 歩いてきた先から全部の蛍光灯がバチバチ火花を散らし、チカチカと点滅した。足音を立て、颯負たちの前に現れた。
スッと白い手がドアノブを回す。途端、ガチャンと開いた音が。キィと扉を開く。そこには図書館の本棚の棚があり、多種多様の武器が鑑賞用に並べられてる。

「うーわ、何これいつの時代の?」
 雫が一番奥の棚の刀をつんつんと突く。
「獅子舞とか、ないよね?」
「え、もしかしてトラウマ?」
 玲緒が棚の中を物色し、オドオド言う。三月がびっくりした目で玲緒を見る。途端、玲緒は虎の目つきで三月を睨んだ。
「悪い?」
「いいえ…」

「これはナミが考えた特別舞台じゃないから何でもアリっていう訳じゃないんだよね」
 ナミが扉付近で言う。ハァと深い溜息を零し、ブツブツと誰かの文句を言っている。と、パッと顔を普段の可愛い顔に戻す。
「皆、がんばっ! ナミ、今回のこのゲームでカイトと賭けてるから勿論、ナミは超監督者だもん、皆に賭けてるよ!」
 シュンと姿を消した。
賭けてる?なにを勝手なことを…。
―――
 早くゲームをやりたくてウズウズしている。周りは葬式のように悲しみに浸っているけど、心也はゲームをやりたくてウズウズしてる。それは当然、空に身を投げられた時、自分は死ぬ事すらも快感に浸っていたのだ。我ながら、なんと悍ましい感情。

「幸ちゃんがいない…」
ささがポツリと呟いた。確かに、部屋の中にいるのはあの場所から生き延びた17人で、幸の形も影も見つからない。まぁ、あの絶望の状態でここまで生きてても、重荷になる。
「はぁ、せっかくの幼女が」
帝斗が深い溜息を漏らし、椅子に腰掛けた。幼女というのはあの白髪少女をさしている。ここで知ったのはこいつが、年齢も幅広くお構いなく好奇心という事。
「任せて下さい!すぐに元気にしてみせます!!」
 ささが駆け寄り、帝斗のズボンのファスナーを躊躇もなく開けた。ささの行動に驚き、必死に止める胡桃と麻野。それを横目に、心也は部屋の外をでた。扉が幾つもあり、一つの階段が。それに登ってみる。階段が急で異様に長く感じた。やっと登った先は一階と同じく扉が幾つもある。その中で、一つの扉に目がいった。
 白い扉。頑丈に作られてる。
 カシャン
 何もない所から鍵が現れた。
背後や階段の下を見渡しても鍵を投げた人物は見つからない。これで、開けるのか?好奇心で鍵穴にそっと鍵を差し込む。
 ガチャン
 開いた。
 そぉとドアノブを押す。キィィと古びた木の音がやたらと響く。その部屋にあったものは武器だった。多種多様で、図書館にある本棚のように敷き詰まっている。ゾッと快感が背筋を回った。
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