―ミオンを求めて―スピンオフ世界

ハコニワ

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第二章 ナミ側

第13話 突然に

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坂瀬 颯負(22)原田 菜穂(17)ナイト(19)
宇月 玲緒(17)

 それは同時刻に始まった。
 何の前触れもなく突拍子に突然と世界の歴史を0にする。

 その日は丁度5時に目が覚めた。セットしてた時間よりも1 時間早い。
 二度寝という気分ではなかったので、早々に身支度を行なった。
 俺の名は坂瀬 颯負さかせ そうま。有名人らを護衛するspの仕事をしてる。最近は階級が上がり国のタップの男を一日つきっきりで護衛してる。

 苦痛とは思ってない。寧ろ、自分の持っている身体能力をここでいかせる事は喜びだった。ネクタイを緩く結び、シャツを入れないままスーツを着た。そして、玄関を出た。
 まだ、外は薄暗く電灯が灯っている。犬の散歩中のおじさんしか通りかからない。
 皆が寝静まったこの雰囲気の道路を歩くとポケットにいれてた携帯がけたましく鳴り響いた。お気に入りの着信音か静かな空間によく響く。

 こんな時間に送ってくる輩は誰だ? と不審に思い、勢いよく携帯に手を伸ばした。

『あなたはどちらですか? ナミorカイト』

 二択の選択がのってあった。しかも、開いたはいいが電源オフをタップしても閉じれない。今日ついてないな、携帯が壊れるなんて。ハァと溜息を吐き、仕方なく選択をタップした。

『あなたはどちらですか? ナミ』

 すると、携帯からグラリと視界が横転した。同時に鼓膜が破れそうな爆発音と熱い突風が自分に舞った。
 再び目を開けるとそこは業火の炎に燃えた建物と亀裂が入った道路。俺は道路の真ん中で横になっていた。突風で弾け飛んだんだ。奇跡なのか運が強いのか。
 目の前で広がっている光景に頭が追いついていけない。今まで普通の建物が戦火のように燃えてる。

 辺りは耳を塞ぎそうになる悲痛の叫び声。俺はヨロリと起き上がった。服が汚れてるだけで身体には傷一つもついてない。
 一歩踏み出そうと足を動かした。その瞬間、目の前で広がっている風景が違う風景に変わった。
 頭が益々、追いついていけない。
 そこは白い壁。360度見渡しても真っ白。
 天井が高く、真正面に一つの扉があるだけで物すらも置いていない。
 その部屋の中に俺を含めて9人の人間がいた。俺と同じように見渡してる人や部屋を調べてる人、壁に向かって叫ぶ人もいる。
頭の中が整理できない。
 一体ここは何処なのだろう。その前にあの場から一瞬で移動した事に不思議に思った。
 数分後、栗色のショートカットした女の子が何もない空間から現れた。これで10人。

「これで全員揃ったな」
 男が言った。私服を着て頭にはグラサンがのってあるいかにも今風した男。
「全員って、私が最後…?」
 茶髪の少女が男に言うと、男は扉を指差した。扉にスーパーの貼り紙が貼られてある。
「見えるか? 『レッスン1死×脱出ゲームの開始! この部屋を出たければ10人集え』だとよ」
男が鼻で溜息を吐いた。
「ちょ、何ここ!? 確か…店にいた筈」
「爆発に巻き込まれて……」
「おい、どうなってんだよ!!」

 周りの面々がパニック状態。無理もない。俺も正直言って混乱してる。数分前、突風で飛ばされ目の前は業火の炎が広がっていた。

 そして、それを最後にこの部屋に移った。平常な思考なんて出来ない。
「一体どうなっている」頭を押さえた。周りも酷く混乱してる中、平常な思考を保つ存在がいた。

「落ち着け、皆!」
 男が騒いでる人たちよりも声を上げた。騒いでた空間が静かになる。
「パニクるのも当然だけど今は出る事が可能になったし、さっさとこの部屋から出よう」
 男が扉を顎で指差した。

 扉はモノクローム色のギンガムチェックで取っての色が地味な白色。この扉を開ければ未来の世界! とかそんな淡い期待はしない。だってそれは、ドラエ○ンしか出来ない技だからだ。かと言って期待してないのも嘘である。
 実際の所、混してる最中、扉が気になって仕方がなかった。扉を開ければ未来ではなく元いた場所に帰れると期待してる。
 男が扉をゆっくり開けた。扉の先に待ち構えてたのはさらに狭い部屋だった。

「どういう事…? さらに部屋」
 小柄な女性が掻き消えるような小さな声で言った。
 狭い部屋に幾つも四角い台が均等に並んでる。台には昔の古風な絵が描かれてる。
それを前にテレビ型モニターが設置してある。
「出られるんじゃないのかよ!」
「何ここー」
 周りの面々が騒ぎ出した。その中で茶髪の少女が「もしかして、これ」と言うがその声は騒いでる奴らの声に掻き消される。
 すると、その時、モニターの電源がパッとついた。一斉にモニターに目を向け騒いでたのが嘘くらい静かになった。

『第一門 月とスッポン』

 文面だけが現れ画面下には数字が刻々と進んでいた。周りは何をするのか分からず、呆然とその場を立ち尽くす。

 しかし、一人だけ違った。茶髪の少女が立ち尽くしてる者らを横から抜き、部屋の一番端っこの台を指差した。
「月とスッポン、ここ、早く!」
 訳わからんが、少女から冗談という顔色が浮かばなかった。周りは少女を見て嘲笑う者もいれば行くか行くまいか迷ってる者もいる。
 俺はモニターの数字を見上げた。あと15秒で0になる。
「よし、皆、あの子の言うとおり行くぞ」
 俺は意を決し、少女の元へと走った。それを機についてくる人も。
「この台に乗るのか?」
 少女に言った、少女は小さく首を振り
「分からない、けど、あの問題に出てるのは間違いない」
 モニターを指差した。数字はもう10秒と経っている。何か悪い予感を感じた。
「よし、乗るぞ」
 言ったと同時に台に乗った。周りは仰天の目だったが、颯負に続き台に乗った。以外にも台の上は狭く数人乗れば満員だ。
確かに台には月とスッポンの絵が描かれてた。
「おい、狭っ…もうちょとそっち行けよ」
「は? これ以上行けねぇから」
「俺ら乗れないんだけど!」
 台の上はおしくらまんじゅう状態。その内、二人が台の上に乗れない。
「あの、ありがとう」
 茶髪の少女が恥ずかしげに俺に言った。視線は下に向いてるが、確実に俺に向けてる。
「ありがとうって?」
「あの時、信じてくれて」
 あの時とは少女の声に耳を傾けたことだろうか。
「別に、そういや俺らまだ名前なのってなかったな」
「俺は坂瀬颯負だ」
「私は宮崎県出身の原田 菜穂はらだ なほです」
 菜穂がやっと視線を向けた。ペコリと会釈するとニコッと笑った。
そのつかの間、数字が0となった。

『タイムアーーップ』

 モニターに赤い血文字でそう描かれてた。次の瞬間、天井から5センチ程の穴が開きそこから鉄パイプが降りてきた。
 向かった先は台外の二人。それは一瞬だった。目を覆う時間さえも惜しい。鉄パイプは予測不可能な速さで二人の身体を貫いた。
 上から降ってくるのは何本も飛び出し、白い壁が鮮血な血へと塗り変わる。
 一瞬で起こった出来事に思考も息も止まってた。数分後、誰かの悲鳴でやっと状況が理解した。
 これは生死をかけたゲームという事に。
漫画やアニメで見かける空想上の話しではなく、今、まさに自分がその出演者になっている。
「待って、待って! 何これ…」
「死、死んだの……?」
周りが呆然とする者や騒ぐ者もいる。
「まだ、ある…」
「え……?」と菜穂。
「まだ、続く! 今のは第一門として次は…―」

『第二門 猫に小判』

 パッとモニターに現れた。

「やっぱり……」
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