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Ⅰ 若き過ち~12歳~
第6話 忘却
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この悲鳴は同じクラスの女の子の悲鳴だ。その女の子はどういう訳か、真っ裸で廊下に出て、複数の先生たちに囲まれている。
「いやあああああ! 放して! 処分しないでぇぇぇぇ!!」
ズルズルと髪の毛や腕を無造作に引っ張られ、複数の先生たちと一緒にどこかに向かっていく。その女子生徒の悲鳴がだんだんと遠くなっていった。
「今のは何だったんだ……?」
廊下の壁から様子を見てたオレは一緒にいる二人に訊ねてみた。二人も信じられないものを見て体が石のように硬直している。
「今の……ヒース?」
アカネが小声で言った。
あの暗闇の中、誰が誰なのか判別するなんてすごいな。ヒースって委員長じゃないか。今回の呪怨テストでも制限時間内に課題をぶっちぎりでやり遂げたやつ。
みんなも先生も圧倒したその力は【破壊の呪怨】きっと、今さっきの爆発はヒースがやったんだろう。でも、なんで部屋を丸ごと破壊して先生たちに連れ去られていったのか。しかも、処分て。よく分からない、それよりオレたちは一刻もはやく部屋に戻らないと。
先生たちに見つかる前に。
§
少女は体の自由を奪われ、複数の教師たちとある部屋と向かっていく。その教師の中に少女は青年を見つけた。
「リゼ、私のこと覚えているでしょ!? ヴィクトリアよ、ヴィクトリア・ヒース! 覚えているでしょ!? 散々好きだって言ったじゃない! あんな女には負けてないわ、ねぇ、そうでしょう? あんな女より、私のこと、好きでしょう?」
少女は助けてと懇願する眼差し。しかし、それさえも許されず、少女の口に白い布が放り込まれた。
モゴモゴとまだなにかを喋っている。そのまま、大きな扉の向こうに連れ去られていった。青年は少女のことなど、覚えていない。きっと、どこかの授業で会ったんだ。あれは、生徒か。外に出ている。脱走なんて良くないことを。ここは見てみぬふりをしとこう。
そう青年は黙ってその場をあとにした。
§
部屋に戻ると、あんな爆発が起きたというのに、みんな寝ている。すやすやと気持ち良さそうに寝て、良かったと反面、呆気に思った。
はやく寝ないといけないのに、まだ心臓がバクバクしている。ちょっと外に出ただけなのに興奮している。
はやく寝ないと明日は疲れる。心の中で必死に眠れ眠れと呪文を唱える。でも、やっぱり眠れない。
仕方がないので、ルイからもらった図書館の本を読む。ルイは本を読むのが好きで図書館の本を一から全部読みきろうと頑張っている。
友達と外で遊ぶことより屋内でひっそりと一人で何かをするタイプだ。
そんなルイからもらった本は、国語辞典みたいに分厚い。世界各地の童話だったり、偉人のエピソードだったり、もういろいろ小さい文字でびっしりと書き込んでいる。
五ページに行くにつれて、疲れて飽きてしまった。ベットに横になり、天井を見つめる。
「そういえば……ヒース、どこに連れていかれたんだろ」
心配になり、壁に耳をあてた。あんな爆発があったのに、みんなすやすやと寝ているのか。奇妙だなと思いつつ、微かな微量の音を感じた。
足音だ。鹿のような軽快な歩きかた。先生たちだ。きっと見廻りに来たんだ。やばい寝ないと。
§
気がつくと、朝になっていた。あんなに興奮していたことが恐ろしいほど嘘みたいに爆睡。起きた途端、ある一室でみんなが群がっていた。
壁とか床とか粉々。ベットなんか中身がでて、グロテスクだ。その部屋にいた三人はなにより驚いたらしい。室内は焼け焦げた木材の臭いが嫌でも染み付いている。
「おはよう。凄いよね、起きた途端部屋がめちゃくちゃになってたなんて」
ルイが何食わぬ顔で駆け寄ってきた。もう、部屋着から制服に着替えている。オレがあんなに眠れなかったのにルイは熟睡したようだ。目の下にクマがない。
「おはよ。だよな、一体誰が」
朝ご飯を食べるチャイムが鳴った。壁についたスピーカーから朝食の音楽が流れる。その音楽を聞いて、みんな、いそいそと自分の部屋に行き制服に着替えて食堂に向かう。
崩壊した部屋を通り抜けるのは妥当だけど、このとき、胸がざわざわした。なにか大事なものを忘れているような胸のざわつき。足を止め、室内を見渡すも、特におかしいところはない。
「なに突っ立ってんのよ」
後ろから慌てて走ってきたアカネとぶつかった。朝っぱから憤然とした態度で睨まれる。
走りながら髪の毛をほぐし、いつものように頭の上にポニーテールをしている。若干、髪の毛が荒れてるのは言わないことにしておこう。
「なあ、ここって三人部屋だっけ?」
「何言ってんの? 朝からボケて突っ立ってないで早く行くよ!」
急かすようにバシバシ背中を叩いてきやがった。女のくせに、異常に強い。逃げるようにその場を去り、食堂に辿り着いた。
既にルイとジンが席をとってくれたようだ。ジンも眠れなかったらしく、大きな欠伸をかいている。話題はもちろん、脱走話し。めげずに今日の夜も脱走しようと話しをもちかけた。
「そういや、あの爆発なんだった?」
ジンがさり気なく訊いてきた。
目をキラキラと少年のように輝かせて。オレら三人アカネとルイはお互いに顔を見合わせた。
お互い、顔を困らせている。オレが知らない、と応えるとジンはキラキラとした好奇心の目を暗くし、唇を尖らせた。
「ちっ。なんだよ」
舌打ちをし、先に席を立ってしまった。彼にとって、目先にあるニュースはなんでも知りたいらしい。
他の生徒の席へと行って楽しそうに雑談している。アカネがやけにふてくされた顔をして、好物の唐揚げをグサとフォークで刺した。
「朝からお前不機嫌だな。どうしたんだ?」
「別に。なんでもないわ」
刺した唐揚げを一口で食べた。怒っている雰囲気からオレも次第にふつふつと怒りが乗り移った。まったくこいつはなにに腹をたてているんだ。
朝食が終わり、一限目が開始。一限目は保健。
「我々、特殊な力を持ったものを〝呪怨者〟と呼ぶ。これは言わなくても分かるが先生含め君たちは選ばれし呪怨者だ」
ヨモツ先生が高い教壇に立ってオレらに向けて授業行う。保健のとき、特に人体の体に関するとやたら教室は黙り込むんだ。
みんな、異性の体や自分の体になると意識して、自然と授業に集中してしまう。
「力を使えば使うほど身体精神体力にも影響がでる。それを補うのが性行為だ。呪怨者にとってそれは普通の摂取であり、必要なこと。君たちはまだ、未知で異性との間柄もないだろう。しかし、力を使うには知らなければいけないことだ」
ヨモツ先生が静かに教壇を降り、テレビのスイッチをつけた。大きな黒板の上から白いスクリーンがおりてくる。どうやら、動画鑑賞するようだ。何の動画だろう。少しワクワクすると、それはいっきに壊された。
アニメーションでもなく洋画でもなく、アダルトビデオだった。授業にアニメーションとか見ないよな、と思いに浸っていると、動画では人が二人現れた。
男女二人。顔にモザイクがかかって誰が誰だか分からない。場所はホテルだろうか。窓から見える空がどす黒い。
室内はややピンクの照明がついている。その二人の影も色ぽい。
男女がゆっくり服を脱ぎ始めた。お互い裸になると、ベットにのる。女が下で男が上。照明がピンクだけに艶やかに光っている。
顔にはモザイクかかっているのに裸のほうには一切モザイクがない。陰部やおっぱいの先端が包みなくして丸見え。赤の他人なのに、思わずごくりと生唾を飲んだ。
「いやあああああ! 放して! 処分しないでぇぇぇぇ!!」
ズルズルと髪の毛や腕を無造作に引っ張られ、複数の先生たちと一緒にどこかに向かっていく。その女子生徒の悲鳴がだんだんと遠くなっていった。
「今のは何だったんだ……?」
廊下の壁から様子を見てたオレは一緒にいる二人に訊ねてみた。二人も信じられないものを見て体が石のように硬直している。
「今の……ヒース?」
アカネが小声で言った。
あの暗闇の中、誰が誰なのか判別するなんてすごいな。ヒースって委員長じゃないか。今回の呪怨テストでも制限時間内に課題をぶっちぎりでやり遂げたやつ。
みんなも先生も圧倒したその力は【破壊の呪怨】きっと、今さっきの爆発はヒースがやったんだろう。でも、なんで部屋を丸ごと破壊して先生たちに連れ去られていったのか。しかも、処分て。よく分からない、それよりオレたちは一刻もはやく部屋に戻らないと。
先生たちに見つかる前に。
§
少女は体の自由を奪われ、複数の教師たちとある部屋と向かっていく。その教師の中に少女は青年を見つけた。
「リゼ、私のこと覚えているでしょ!? ヴィクトリアよ、ヴィクトリア・ヒース! 覚えているでしょ!? 散々好きだって言ったじゃない! あんな女には負けてないわ、ねぇ、そうでしょう? あんな女より、私のこと、好きでしょう?」
少女は助けてと懇願する眼差し。しかし、それさえも許されず、少女の口に白い布が放り込まれた。
モゴモゴとまだなにかを喋っている。そのまま、大きな扉の向こうに連れ去られていった。青年は少女のことなど、覚えていない。きっと、どこかの授業で会ったんだ。あれは、生徒か。外に出ている。脱走なんて良くないことを。ここは見てみぬふりをしとこう。
そう青年は黙ってその場をあとにした。
§
部屋に戻ると、あんな爆発が起きたというのに、みんな寝ている。すやすやと気持ち良さそうに寝て、良かったと反面、呆気に思った。
はやく寝ないといけないのに、まだ心臓がバクバクしている。ちょっと外に出ただけなのに興奮している。
はやく寝ないと明日は疲れる。心の中で必死に眠れ眠れと呪文を唱える。でも、やっぱり眠れない。
仕方がないので、ルイからもらった図書館の本を読む。ルイは本を読むのが好きで図書館の本を一から全部読みきろうと頑張っている。
友達と外で遊ぶことより屋内でひっそりと一人で何かをするタイプだ。
そんなルイからもらった本は、国語辞典みたいに分厚い。世界各地の童話だったり、偉人のエピソードだったり、もういろいろ小さい文字でびっしりと書き込んでいる。
五ページに行くにつれて、疲れて飽きてしまった。ベットに横になり、天井を見つめる。
「そういえば……ヒース、どこに連れていかれたんだろ」
心配になり、壁に耳をあてた。あんな爆発があったのに、みんなすやすやと寝ているのか。奇妙だなと思いつつ、微かな微量の音を感じた。
足音だ。鹿のような軽快な歩きかた。先生たちだ。きっと見廻りに来たんだ。やばい寝ないと。
§
気がつくと、朝になっていた。あんなに興奮していたことが恐ろしいほど嘘みたいに爆睡。起きた途端、ある一室でみんなが群がっていた。
壁とか床とか粉々。ベットなんか中身がでて、グロテスクだ。その部屋にいた三人はなにより驚いたらしい。室内は焼け焦げた木材の臭いが嫌でも染み付いている。
「おはよう。凄いよね、起きた途端部屋がめちゃくちゃになってたなんて」
ルイが何食わぬ顔で駆け寄ってきた。もう、部屋着から制服に着替えている。オレがあんなに眠れなかったのにルイは熟睡したようだ。目の下にクマがない。
「おはよ。だよな、一体誰が」
朝ご飯を食べるチャイムが鳴った。壁についたスピーカーから朝食の音楽が流れる。その音楽を聞いて、みんな、いそいそと自分の部屋に行き制服に着替えて食堂に向かう。
崩壊した部屋を通り抜けるのは妥当だけど、このとき、胸がざわざわした。なにか大事なものを忘れているような胸のざわつき。足を止め、室内を見渡すも、特におかしいところはない。
「なに突っ立ってんのよ」
後ろから慌てて走ってきたアカネとぶつかった。朝っぱから憤然とした態度で睨まれる。
走りながら髪の毛をほぐし、いつものように頭の上にポニーテールをしている。若干、髪の毛が荒れてるのは言わないことにしておこう。
「なあ、ここって三人部屋だっけ?」
「何言ってんの? 朝からボケて突っ立ってないで早く行くよ!」
急かすようにバシバシ背中を叩いてきやがった。女のくせに、異常に強い。逃げるようにその場を去り、食堂に辿り着いた。
既にルイとジンが席をとってくれたようだ。ジンも眠れなかったらしく、大きな欠伸をかいている。話題はもちろん、脱走話し。めげずに今日の夜も脱走しようと話しをもちかけた。
「そういや、あの爆発なんだった?」
ジンがさり気なく訊いてきた。
目をキラキラと少年のように輝かせて。オレら三人アカネとルイはお互いに顔を見合わせた。
お互い、顔を困らせている。オレが知らない、と応えるとジンはキラキラとした好奇心の目を暗くし、唇を尖らせた。
「ちっ。なんだよ」
舌打ちをし、先に席を立ってしまった。彼にとって、目先にあるニュースはなんでも知りたいらしい。
他の生徒の席へと行って楽しそうに雑談している。アカネがやけにふてくされた顔をして、好物の唐揚げをグサとフォークで刺した。
「朝からお前不機嫌だな。どうしたんだ?」
「別に。なんでもないわ」
刺した唐揚げを一口で食べた。怒っている雰囲気からオレも次第にふつふつと怒りが乗り移った。まったくこいつはなにに腹をたてているんだ。
朝食が終わり、一限目が開始。一限目は保健。
「我々、特殊な力を持ったものを〝呪怨者〟と呼ぶ。これは言わなくても分かるが先生含め君たちは選ばれし呪怨者だ」
ヨモツ先生が高い教壇に立ってオレらに向けて授業行う。保健のとき、特に人体の体に関するとやたら教室は黙り込むんだ。
みんな、異性の体や自分の体になると意識して、自然と授業に集中してしまう。
「力を使えば使うほど身体精神体力にも影響がでる。それを補うのが性行為だ。呪怨者にとってそれは普通の摂取であり、必要なこと。君たちはまだ、未知で異性との間柄もないだろう。しかし、力を使うには知らなければいけないことだ」
ヨモツ先生が静かに教壇を降り、テレビのスイッチをつけた。大きな黒板の上から白いスクリーンがおりてくる。どうやら、動画鑑賞するようだ。何の動画だろう。少しワクワクすると、それはいっきに壊された。
アニメーションでもなく洋画でもなく、アダルトビデオだった。授業にアニメーションとか見ないよな、と思いに浸っていると、動画では人が二人現れた。
男女二人。顔にモザイクがかかって誰が誰だか分からない。場所はホテルだろうか。窓から見える空がどす黒い。
室内はややピンクの照明がついている。その二人の影も色ぽい。
男女がゆっくり服を脱ぎ始めた。お互い裸になると、ベットにのる。女が下で男が上。照明がピンクだけに艶やかに光っている。
顔にはモザイクかかっているのに裸のほうには一切モザイクがない。陰部やおっぱいの先端が包みなくして丸見え。赤の他人なのに、思わずごくりと生唾を飲んだ。
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