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Ⅲ 戦場に咲く可憐な花たち~16歳~
第58話 闇
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シモン先輩からの一個の質問を少女は素直に返した。
「わしはアルカ。この学園の理事長じゃ」
シモン先輩と俺、四つの目玉が白黒させた。俺たちと歳変わらなさそうな子が理事長だと!? ドッキリなら早くきてくれ。
アルカ理事長は、俺たちの反応にムフフ、と自慢げに微笑んだ。子どものような無邪気な微笑みかた。
ゆっくり視線を俺に傾けた。まるで会ったことのあるような、懐かしむ眼差し。
「懐かしいのぉ。あれから大きくなって、ワシじゃ、光の玉じゃ」
「光の……玉?」
記憶の中の〝光の玉〟を手探りで探した。
瞼の上に、幼いころの記憶が走っていく。
頭の中で、光の玉を無機質でふよふよ宙に浮いているイメージをした。そのイメージ通り、記憶の奥底に〝光の玉〟を見つける。
「あっ! あああのときの!?」
叫んで立ち上がった。
シモン先輩がびっくりして、何事かと目を見開いている。それをつゆ知らず、俺は興奮気味に叫んだ。
「あのときの、脱走しようとした俺たちの前に現れた謎の光!? あれは、お前だったのか!」
「むっ。お前じゃない。アルカ理事長様と呼ぶのじゃ」
アルカ理事長は、腕を組み、自分で自分のことを〝様〟呼びしたことに、ご満悦した。自身の頭の上にパッとお花が咲いている。
だが、どう見ても同い年ぐらいの子に様呼びは絶対にしない俺たち。
俺の頭はさっきから、グルングルンとかき乱れてる。
頭が追いついていけない。一旦整理しよう。この人はアルカ理事長。そして、四年前脱走の前に現れた謎の光の正体。
俺のことは、四年前から知っている。むろん、そこにいたアカネやルイ、ジンまでも。
話に置いてけぼりで、蚊帳の外状態だったシモン先輩が小さく挙手して中に入ってきた。
「えと、貴方がアルカ理事長なのは分かりました。でも、私たちはどうしてここにいるのかわからないわ。ここは何処なの? あの場所は本当に地獄だったの?」
早口で質問するシモン先輩に、アルカ理事長はすっ、と手を伸ばした。シモン先輩の顔付近に手のひらを掲げる。
シモン先輩は突然おりてきた手に、口を半開きにして手とアルカ理事長を交互に見比べた。
「質問は一個、と言うたはずじゃ。お前さんの質問に答える前に、ワシが全てを話そう」
手を戻し、アルカ理事長は、淡々と喋った。次から次へと信じられない言葉を飄々と語る。
「この学園は、ワシが創り出した。お主たちが訓練室の地下で見つけた壁画は、ワシをさしている。主たちは凄いのぉ。学園の真実を殆ど知っておる。だが、ちょっとばかり深入りしすぎじゃ。あの底にいるのは、本物の悪魔じゃ。二度と近寄ることはしないと誓え」
後半、声が恐ろしく低くなった。
本物の悪魔!?
さっき会ったばかりの人物だが、心の何処かで嘘を言っていないと厚い信頼を寄せている。謎の感情が湧いてくる。
シモン先輩も俺も、アルカ理事長の話に黙って耳を傾けた。全身の神経が聴覚にいき、他のことは考えられない。
アルカ理事長が喋っているときは、空気が深海のようにひんやりしていた。
「ワシが生を受けたのは、今から千年前。命をつくり、命を育み、世界をつくった。全ての始まりはこのワシじゃ。学園を覆う結界と幻覚も全てつくっている。ここまで聞いて、お前さん方は最初に何を思ったのじゃ?」
いつの間にか、アルカ理事長が後ろに回っていた。さっきまでそこで喋っていたはず、なのに、瞬間移動した如く背後に回ってシモン先輩の頭上にいる。
バッ、と後ろに顔を向けた。
「ふむ。デイマアァイズ発動した生徒はどうなるか、答えは思っているとおり、邪鬼になる」
心の中をのぞき込まれ、シモン先輩の切れ長の目が大きく見開いた。
心を視ることにぞうさもない感じ、いいや、当たり前のように視てきた。
アルカ理事長は、俺たちの背後を行ったり来たりしている。コツコツ、と重く響く靴音。すると、ピタッ、と立ち止まった。俺たちの背後から離れた窓際。
天井から床まである窓。遠くの景色をよく見渡せる。その窓際近くに立っていた。よく見渡せる絶景のポイント。
切なそうに窓の外を見ていた。
真っ暗な闇に染まった外の世界。幻想的な星が見えない。黒いせいで空と海が一体化して、黒い板が世界を覆っている。
「今夜は海が荒れそうじゃ」
ポツリと言った。
その言葉の意味はわからない。呆然と眺め、暫く経ったある日、くるりと振り向いた。ニコリと不気味に嗤う。
「さて。お前さんがたはそろそろ時間じゃ。頑張ってのぉ」
意味不明のことを語った途端、突如、視界が縦横に揺れた。咄嗟に机にしがみついた。目眩が襲ってきたのだと思ったが、机に置いてあるハーブティーの飲み物がカップから溢れ、まだ半々残っている飲み物が、目眩と同じように縦横に揺れている。
地震だ。
混乱と不安が心中を渦巻いた。
ガサガサ、と音をたて棚から崩れ落ちる本。ドアがキシキシいっている。その揺れは、最初縦横に激しい揺れ、次第に激しさを吸収されたように、小さくなっていった。小さくなるまで長く感じた。
机にしがみついてから一分弱過ぎだとき、ようやく揺れがおさまった。まだ視界がクラクラする。
カップの中の飲み物は、ちょっぴりしか残っていない。おしゃれにデザインされたティーカップがテカテカに濡れていた。
「い、今のは……?」
恐る恐る訊くと、シモン先輩の顔色がさぁ、と青くなった。血の気を引かれたように青白い。
「すぐにここから出るぞ!」
立ち上がり、有無を言わさず、コツコツと歩き出した。状況に混乱する俺は、オロオロするばかり。
そんな俺に、アルカ理事長は近寄り、まるで、ダンスを踊るようにして引っ張り寄せた。シモン先輩ほどじゃないが、整っている目鼻立ち。唇と唇が近い。
「お主には、残酷な現実が待っておる、じゃが、これもまた運命じゃ」
優しい眼差し。ひだまりのよう、でも、微かに氷のように冷たい。
彼女の瞳の中、金色の瞳に映し出されたのは、間違いなく俺だった。クリっ、とビーズのような、小さな瞳の中に、丸レンズにして映っている。その二つの瞳にの中に、映像があった。
崩れかけた建物。瓦礫が地面いっぱいに散乱している。そんな地面に、横たわったアカネ。そして――映像は全てゴォゴォと赤い炎に包まれた。
いきなり、手を握っていたほうをパッ、と放れた。視界が地面いっぱいに。あ、落ちる。身構えてぎゅ、と目を閉じた。
「あれ? カイ君早いね」
美樹の声がした。
ざわざわと群れの雑音がする。それに、肌に触っているこの感触は、冷たい地べたじゃない。なんか、ふわふわして抱き心地いい。それに、頭を動かすと、ポヨンポヨンと跳ね返ってくる。ふっと目を開けてみると、黒いお山。目の端に、見たことあるバッチ。
恐る恐る頭をあげると、雨と目が合った。「あ」と自然と言葉が漏れる。
雨は、顔を真っ赤にし、機関車のようにピューと頭から煙を出して倒れた。頭から倒れるものだから、地面ギリギリのところをなんとか支えた。
「カイ君、そういうことは、公共の場じゃなくて二人っきりでしなよぉ」
後ろで美樹がくすくす笑い、からかうように言った。
笑ってないで介抱してくれ。うぐっ。腕が痛い。
すると、前方からタッタタと駆け足でシモン先輩が廊下を走ってきた。
「あれ? いつの間に前にいたの? 早いわね」
「え、えと……」
自分でも理由はわからない。目を閉じてみたら、突然あの室内から広場に変わっていた。瞬間移動の如く。
さっきから鳴り響く赤い警報。向こうの廊下から複数の足音がドタバタ、と慌ただしく戦闘員が広場に向かってくる。
シモン先輩が信じられない表情で、空を見上げていた。
「信じられない。今夜二体の邪鬼が現れるなんて」
美樹が続きを言った。
「しかも、その邪鬼がリゼ先生なんてね」
美樹の言葉に、思考が停止した。
「え? 美樹、誰が、邪鬼になったて?」
恐る恐る訊く。滑舌が合わない。美樹は、複雑な表情で空にいる、黒い生命体と化した相手を見上げた。
「リゼ先生。校内でいきなりデイマアァイズ発動。核は頭」
美樹の言葉に「嘘だろ?」と驚愕の台詞。だけど「やっぱり邪鬼になるのか」と安堵の感想を頭の隅にしていた。
いつの間にか、美樹班が集合してすぐに鐘がなった。
みんな、空に向かって飛行する。しかし、一人だけポツンと地面にくっついて、飛行もしない人物が。
「何してるんだ! ルイっ!」
反応がない。
いつもなら、顔をあげてニッコリ笑うのに。聞こえてない? 美樹たちもそのことに気がついて、上空で止まる。リーダーの美樹がゆっくり上空を降り、ルイのもとに駆け寄った。
ルイは一人でブツブツと喋っている。こちらに気づいていない。そのボソボソ声は、近くにいても聞き取れない囁き声。突然、地面に膝をうち、頭を項垂れ何度も振る。
「私のせいだ。私があのとき、時間なんて戻さなければリゼ先生は……私が、私がリゼ先生を邪鬼にさせたんだ」
わあぁん、と子どものように泣き出した。
「わしはアルカ。この学園の理事長じゃ」
シモン先輩と俺、四つの目玉が白黒させた。俺たちと歳変わらなさそうな子が理事長だと!? ドッキリなら早くきてくれ。
アルカ理事長は、俺たちの反応にムフフ、と自慢げに微笑んだ。子どものような無邪気な微笑みかた。
ゆっくり視線を俺に傾けた。まるで会ったことのあるような、懐かしむ眼差し。
「懐かしいのぉ。あれから大きくなって、ワシじゃ、光の玉じゃ」
「光の……玉?」
記憶の中の〝光の玉〟を手探りで探した。
瞼の上に、幼いころの記憶が走っていく。
頭の中で、光の玉を無機質でふよふよ宙に浮いているイメージをした。そのイメージ通り、記憶の奥底に〝光の玉〟を見つける。
「あっ! あああのときの!?」
叫んで立ち上がった。
シモン先輩がびっくりして、何事かと目を見開いている。それをつゆ知らず、俺は興奮気味に叫んだ。
「あのときの、脱走しようとした俺たちの前に現れた謎の光!? あれは、お前だったのか!」
「むっ。お前じゃない。アルカ理事長様と呼ぶのじゃ」
アルカ理事長は、腕を組み、自分で自分のことを〝様〟呼びしたことに、ご満悦した。自身の頭の上にパッとお花が咲いている。
だが、どう見ても同い年ぐらいの子に様呼びは絶対にしない俺たち。
俺の頭はさっきから、グルングルンとかき乱れてる。
頭が追いついていけない。一旦整理しよう。この人はアルカ理事長。そして、四年前脱走の前に現れた謎の光の正体。
俺のことは、四年前から知っている。むろん、そこにいたアカネやルイ、ジンまでも。
話に置いてけぼりで、蚊帳の外状態だったシモン先輩が小さく挙手して中に入ってきた。
「えと、貴方がアルカ理事長なのは分かりました。でも、私たちはどうしてここにいるのかわからないわ。ここは何処なの? あの場所は本当に地獄だったの?」
早口で質問するシモン先輩に、アルカ理事長はすっ、と手を伸ばした。シモン先輩の顔付近に手のひらを掲げる。
シモン先輩は突然おりてきた手に、口を半開きにして手とアルカ理事長を交互に見比べた。
「質問は一個、と言うたはずじゃ。お前さんの質問に答える前に、ワシが全てを話そう」
手を戻し、アルカ理事長は、淡々と喋った。次から次へと信じられない言葉を飄々と語る。
「この学園は、ワシが創り出した。お主たちが訓練室の地下で見つけた壁画は、ワシをさしている。主たちは凄いのぉ。学園の真実を殆ど知っておる。だが、ちょっとばかり深入りしすぎじゃ。あの底にいるのは、本物の悪魔じゃ。二度と近寄ることはしないと誓え」
後半、声が恐ろしく低くなった。
本物の悪魔!?
さっき会ったばかりの人物だが、心の何処かで嘘を言っていないと厚い信頼を寄せている。謎の感情が湧いてくる。
シモン先輩も俺も、アルカ理事長の話に黙って耳を傾けた。全身の神経が聴覚にいき、他のことは考えられない。
アルカ理事長が喋っているときは、空気が深海のようにひんやりしていた。
「ワシが生を受けたのは、今から千年前。命をつくり、命を育み、世界をつくった。全ての始まりはこのワシじゃ。学園を覆う結界と幻覚も全てつくっている。ここまで聞いて、お前さん方は最初に何を思ったのじゃ?」
いつの間にか、アルカ理事長が後ろに回っていた。さっきまでそこで喋っていたはず、なのに、瞬間移動した如く背後に回ってシモン先輩の頭上にいる。
バッ、と後ろに顔を向けた。
「ふむ。デイマアァイズ発動した生徒はどうなるか、答えは思っているとおり、邪鬼になる」
心の中をのぞき込まれ、シモン先輩の切れ長の目が大きく見開いた。
心を視ることにぞうさもない感じ、いいや、当たり前のように視てきた。
アルカ理事長は、俺たちの背後を行ったり来たりしている。コツコツ、と重く響く靴音。すると、ピタッ、と立ち止まった。俺たちの背後から離れた窓際。
天井から床まである窓。遠くの景色をよく見渡せる。その窓際近くに立っていた。よく見渡せる絶景のポイント。
切なそうに窓の外を見ていた。
真っ暗な闇に染まった外の世界。幻想的な星が見えない。黒いせいで空と海が一体化して、黒い板が世界を覆っている。
「今夜は海が荒れそうじゃ」
ポツリと言った。
その言葉の意味はわからない。呆然と眺め、暫く経ったある日、くるりと振り向いた。ニコリと不気味に嗤う。
「さて。お前さんがたはそろそろ時間じゃ。頑張ってのぉ」
意味不明のことを語った途端、突如、視界が縦横に揺れた。咄嗟に机にしがみついた。目眩が襲ってきたのだと思ったが、机に置いてあるハーブティーの飲み物がカップから溢れ、まだ半々残っている飲み物が、目眩と同じように縦横に揺れている。
地震だ。
混乱と不安が心中を渦巻いた。
ガサガサ、と音をたて棚から崩れ落ちる本。ドアがキシキシいっている。その揺れは、最初縦横に激しい揺れ、次第に激しさを吸収されたように、小さくなっていった。小さくなるまで長く感じた。
机にしがみついてから一分弱過ぎだとき、ようやく揺れがおさまった。まだ視界がクラクラする。
カップの中の飲み物は、ちょっぴりしか残っていない。おしゃれにデザインされたティーカップがテカテカに濡れていた。
「い、今のは……?」
恐る恐る訊くと、シモン先輩の顔色がさぁ、と青くなった。血の気を引かれたように青白い。
「すぐにここから出るぞ!」
立ち上がり、有無を言わさず、コツコツと歩き出した。状況に混乱する俺は、オロオロするばかり。
そんな俺に、アルカ理事長は近寄り、まるで、ダンスを踊るようにして引っ張り寄せた。シモン先輩ほどじゃないが、整っている目鼻立ち。唇と唇が近い。
「お主には、残酷な現実が待っておる、じゃが、これもまた運命じゃ」
優しい眼差し。ひだまりのよう、でも、微かに氷のように冷たい。
彼女の瞳の中、金色の瞳に映し出されたのは、間違いなく俺だった。クリっ、とビーズのような、小さな瞳の中に、丸レンズにして映っている。その二つの瞳にの中に、映像があった。
崩れかけた建物。瓦礫が地面いっぱいに散乱している。そんな地面に、横たわったアカネ。そして――映像は全てゴォゴォと赤い炎に包まれた。
いきなり、手を握っていたほうをパッ、と放れた。視界が地面いっぱいに。あ、落ちる。身構えてぎゅ、と目を閉じた。
「あれ? カイ君早いね」
美樹の声がした。
ざわざわと群れの雑音がする。それに、肌に触っているこの感触は、冷たい地べたじゃない。なんか、ふわふわして抱き心地いい。それに、頭を動かすと、ポヨンポヨンと跳ね返ってくる。ふっと目を開けてみると、黒いお山。目の端に、見たことあるバッチ。
恐る恐る頭をあげると、雨と目が合った。「あ」と自然と言葉が漏れる。
雨は、顔を真っ赤にし、機関車のようにピューと頭から煙を出して倒れた。頭から倒れるものだから、地面ギリギリのところをなんとか支えた。
「カイ君、そういうことは、公共の場じゃなくて二人っきりでしなよぉ」
後ろで美樹がくすくす笑い、からかうように言った。
笑ってないで介抱してくれ。うぐっ。腕が痛い。
すると、前方からタッタタと駆け足でシモン先輩が廊下を走ってきた。
「あれ? いつの間に前にいたの? 早いわね」
「え、えと……」
自分でも理由はわからない。目を閉じてみたら、突然あの室内から広場に変わっていた。瞬間移動の如く。
さっきから鳴り響く赤い警報。向こうの廊下から複数の足音がドタバタ、と慌ただしく戦闘員が広場に向かってくる。
シモン先輩が信じられない表情で、空を見上げていた。
「信じられない。今夜二体の邪鬼が現れるなんて」
美樹が続きを言った。
「しかも、その邪鬼がリゼ先生なんてね」
美樹の言葉に、思考が停止した。
「え? 美樹、誰が、邪鬼になったて?」
恐る恐る訊く。滑舌が合わない。美樹は、複雑な表情で空にいる、黒い生命体と化した相手を見上げた。
「リゼ先生。校内でいきなりデイマアァイズ発動。核は頭」
美樹の言葉に「嘘だろ?」と驚愕の台詞。だけど「やっぱり邪鬼になるのか」と安堵の感想を頭の隅にしていた。
いつの間にか、美樹班が集合してすぐに鐘がなった。
みんな、空に向かって飛行する。しかし、一人だけポツンと地面にくっついて、飛行もしない人物が。
「何してるんだ! ルイっ!」
反応がない。
いつもなら、顔をあげてニッコリ笑うのに。聞こえてない? 美樹たちもそのことに気がついて、上空で止まる。リーダーの美樹がゆっくり上空を降り、ルイのもとに駆け寄った。
ルイは一人でブツブツと喋っている。こちらに気づいていない。そのボソボソ声は、近くにいても聞き取れない囁き声。突然、地面に膝をうち、頭を項垂れ何度も振る。
「私のせいだ。私があのとき、時間なんて戻さなければリゼ先生は……私が、私がリゼ先生を邪鬼にさせたんだ」
わあぁん、と子どものように泣き出した。
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