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Ⅲ 戦場に咲く可憐な花たち~16歳~
第38話 心の相愛図
しおりを挟む友情は、何よりもかけがえのないものだ。誰かが言った。
それは誰か。
ルイがいつも借りてる図書館の本の著者か、あるいは、命短い生徒が遺したものか。誰にも分からない。
しかし、はたしてこの言葉は本当にそうだろうか。友情に、恋が入ったら……。
どうして哲学的なこといってるのか、詳しく話そう。
アカネを探していたところ、ジンに遭遇。――ここまでは良かったんだ。
顔を見て、何気ない会話でもするのかと最初は思ったが俺にはそんな余裕がない。挨拶だけでも交えてあとにしよう。でも、それは、ジンも同じだったみたい。
ジンは、何を思ったのか目を細めた。怪し見るではなく、睨んでいるに近い。すると、突然胸シャツを掴み壁に体を押し当てた。
突然のことに、何が起きたのか一瞬わからなかった。だが、背中の痛みが大きくなり、全身に脈うっていくと、次第に物事がトントンと分かってきた。
胸シャツを握っている力は、喉を抑え、喋れないように締め付けてくる。
痛い。強い。
こいつ、本気だ。
「分かってるなら、アカネちゃん困らせるようなことするなよ! 分かってるだろ? 大切なら、大事しろ」
俺を見下ろして、そう叫んだ。
叫んでいたが、ジンの声は震えていた。寒帯にずっと置いてけぼりにされたように、震えていた。
ジンが強く押し付けているせいで、喋ることも、僅かな範囲で息を吸うこともできない。酸欠状態。
金魚みたいに口をパクパクして、網に引っかかった魚のようなあり様だ。
暫くしてから、ジンの手の力が緩め、解けた。ズルズルと体が地につく。
「げほ」
苦しい。
喉をおさえ、ゆるゆると顔を上げた。ジンは、こちらを無表情で見下ろしていた。
腕を解いたらもう、何もしてこない。あれだけしておいて、静かに時間が進んだ。
やがて、呼吸が落ち着いてきた。
冷水を浴びたように、頭も冷静に。アカネを困らせてしまったせいで、ジンは怒っている。それは何故か。簡単だ。
ジンはアカネのことを好きなのだ。
小等部のころから、何かと喧嘩する仲の二人。良くも悪くも仲が良いと思っていたが、次第に、二人を見ていると好意のような甘い匂いが漂っている。
だから、こんなとき必死になっているのか。チクッと胸に何かが刺さった。ナイフのような尖ったもので刺された瞬間、心の内にふつふつと、憤りのような、炎が燃えたきがした。
「分かってるよ」
炎を抑制して喋る。
「でも、アカネのこと、お前には関係ないだろ?」
素っ気なく、突き放すように喋る。しまった、と思ったがもう遅かった。
ジンは目の色を変え、寂しい表情をした。刹那、さっきまでの殺意じみた雰囲気ほ何処へやら、パッと笑みをこぼした。
「そうだよな。わりぃ」
その笑顔に、罪悪感が心中をかけ巡った。だが、これでいいんだ、という思いもあり、後悔と言いしれぬ感情が心の中で闘っていた。
ジンの気持ちに気づいていながら、何も知らない素振りを見せ、尚且つ無視をした。ジンのあの寂しい表情見てもなお、これでいいんだ、という感情は何処から湧いてくるのだろう。
アカネは何処にいるのかを教え、ジンは去っていった。普段通り〝友人〟として。恋敵ではなく。
やがて一人になると、禍々しい黒い罪悪感が言ったときよりも重くなっていった。足取りは重く、大きな岩を背中で背負っている感じ。
友人であっても、許されない行為。
大人になったらきっと、こんなことを馬鹿みたいに大笑いで語る日がくるとしたら、許してくれるだろうか。
そんな想いがひた巡り、ある人物の顔を見ると、そんな重い感情は綺麗さっぱり消えていった。
黒い泥を洗っていく水のように、さぁ、と。
「アカネ」
彼女の名前を呼んだ。食堂で俺の声がこだました。窓を向いていた顔がくるりと振り向く。あぁ、彼女だ。丸顔で、ややツリ目の。
その狐のようなツリ目が、カッと見開いている。アカネは、俺をひと目見て最初に放った言葉がこれ。
「カイ!? どうして……ジンね。まさか喋るなんて」
アカネの口から奴の名前がでてきた。
再び言いしれぬ感情が頭を巡る。
「さっきそこですれ違ったんだ。こんなとこにいたのか」
アカネがいる席に駆け寄った。アカネの席には、グラスが二つ置いてある。向かいの席に、飲みかけの透明な水が。
俺が来る前に、ここには誰かがいた。想定できる人物は一人しかいない。ジンだ。ジンは、アカネがここにいることを何故か知っていた。しかも、アカネもさっきの口ぶりからして、ジンとアカネは接触していた。
深夜の食堂で。誰もいないこの場所で、だ。
ムカムカしてきた。
言葉にならないほどの怒りが芽ばえた。
「な、何?」
アカネは、黙ったまま突っ立ている俺にたじろいた。俺は顔を伏せて、こう言った。
「ごめん」
「は?」
アカネの瞳孔がまた見開いた。
「その、困らせるようなことして……すいません、でした」
暫く沈黙が流れた。グラスの中の氷が身じろき始め、カラン、と音を立てて互いの氷から離れた。パチパチと炭酸水素のように弾けている。
「あぁ、そのこと? 別にもう怒ってないわよ」
アカネはさらりと流した。
大勢の生徒がいた広場で怒っていた女とは到底思えないケロリとした態度。
でも、怒ってないと返事を訊いてまず安心した。
ムカムカしていた感情が、別のに塗り替えられた。
まだアカネの横には、俺がいる。ジンじゃない。そう安堵の息がこぼれた。
緊張の糸が解れ、俺は、隣の席に座った。そして、アカネにジリジリ詰め寄る。
「ちょっと! ヤるの?」
詰め寄る俺を制止しようと、胸の前に手を掲げる。
処女でもないくせにあわあわ驚いて。食堂でそういうコトをするのは、初めてで恥ずかしいのかもしれない。
「こ、こんなとこ、誰かに見られたら……」
挙動不審にキョロキョロと辺りを見渡す。
誰もいない食堂。廊下にも誰もいない。
極めて近いのは寮。小中児童がいる棟は、当然暗くて明かり一つついていない。だが、高等棟は疎らに明かりが灯っている。窓から確認できた。
その棟からは、猫たちの戯れ合う声が。その棟だけが、静寂な夜に甘い歌声を響かせ合っていた。
声が隣に聞こえようが、相手が誰であろうが、場所がどうであれ関係ない。呪怨を使ったのだから、摂取する。
ごく自然なことだ。
誰かに見られても、これは補わないといけない自然の摂取。恥ずかしがることなんて、何一つない。それに、遠慮なんていらない。
アカネはまだ、頑なに頭を振って拒む。
「誰かにって、誰もいないぞ。もしかて……そこにいた奴が帰ってくるとか?」
脅かしで言ったつもりが、アカネは不意を突かれ、驚いて硬くなった。
図星か。
肩を軽く叩いただけでそのまま横に。細くて滑らかな髪の毛が、ソファーに広がっている。でも、彼女の目は捨てられた子犬のように怯えていて、俺を暴力的な看守のような眼差しで見上げていた。
それから、行為に至るまでは簡単作業だった。まず、服の上から胸を弄る。いつまで経ってもここは成長しない。揉んでるのにな。
二つのおわんの周囲をゆっくり撫でた。すると、まだ触れてもいないのにおわんにある、小さな蕾が現れた。
服の上からでもその蕾は盛っていて、硬そう。
俺はニヤついて、意地悪くこう言った。
「もう乳首たって、興奮してるのか?」
「ち、違うっ!!」
カァ、と赤くなった顔を俺に向けた。俺だけが知っている甘えた猫の顔。ジンは知らない。
ジンの知らない顔を俺は知っている。それだけが、何故か誇りに思った。
人差し指と親指をつかって、その蕾を挟んだ。電撃をくらったかのようにビクンと反応する。
クリクリと、水道管を回すように蕾を弄った。真上から微かに発情した雌猫の声が。服の上からだというのに、もうこんなになって。
蕾を弄りながら、薄い布切れを気づかれないように剥がしていった。
アカネが気づいたころには、上半身裸になって、ビンビンに硬くなったピンク色の乳首が露になっていた。
あの小さな蕾は、開花し綺麗なピンク色の花へと咲き誇っていた。
まだ、欲しそうに乳首がビクンと波うっている。
そこに唾液を含ませ、舌を這った。
真上の雌猫が、さらに発情した声をあげた。
キャンディーを舐めるのと一緒で、舌先で転がし、口の中に頬張り、赤ちゃんみたいに吸ってみせた。
そして、次は下半身へと手を伸ばした。もう既に足を開いて、パンティには大きなシミができている。
これは脱がせたほうがいいな、と思いパンティを脱がした。すると、トロンとした目がカッと見開き、膝まで脱がしていたパンティを抑える。
「ちょ、ちょっとまだ早いでしょ!?」
早くない。
わなわな驚くアカネを無視して、強制的にパンティを下ろした。パンティを下ろされたアカネの「あう」という虚しい声が残る。
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