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第一章 出会い
第2話 合間見れない日常へ
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朝の出来事をスッパリ忘れるようにし、教室に入った。
「おはよう、れっちゃん!」
教室に入った途端、朝一早く声をかけてきたのは親友、美穂だ。
笑顔が可愛いくて整った顔たちから男子からも女子からも人気の子。幼稚園から幼馴染なので、れっちゃんと言われてる。
因みにあたしは美穂をみっちゃんと呼んでいる。
「おはようなのです」
次に声をかけてきたのは高校から仲良しになった、同じく親友の奈美。
なっちゃんって呼んでいる。ゆるふわ巻きの金髪で蒼い目が特徴的なハーフ。生まれも育ちも日本で、家が大企業の社長の娘なんだ。
「二人とも、おはよう~」
ぐったりと疲れた訳でもないのに、机に寝そべった。
「どうしたの?」と美穂。
「今日、お母さんにすっごい怒られてさぁ~」
「れっちゃんのお母さん、キツイもんね」
二人が深刻そうな顔たちで悩んできた。あたしの問題なのに、二人は優しいなぁと常々、思う。
授業の鐘がなるまで、あたし達は、授業の話しや朝の出来事、テレビの話しで盛り上がった。
「今日の数学の宿題、やってきた?」
「もちのろん!」
「うぅ、数字とかむずいからやってきてないんだよなー」
などなど……
玲奈と美穂、奈美の屈託のないいつもの会話は鐘がなるまで、終わらなかった。
朝のホームルームの鐘が鳴った直後、担任の先生が扉を開けた途端、それぞれ散らばった生徒たちが早足で自分の席に戻っていく。
同じく、玲奈の席にいた二人も自分の席に戻っていく。
朝のホームルームもなんら変わらない。
先生の話しと教室の中にある静寂の渦。
そして、親友との他愛もない話し。
その中で、やはり頭の隅にあるのは朝、母と交わした口喧と祠から現れた自称〝神〟の存在。
玲奈は頬杖をつき、窓の外を見上げた。澄み切った青空にふわふわといろんな形した雲が浮いている。
朝に降りしきる太陽の光は眩しい。
そんな事を悶々と考えている間に朝のホームルームは終わってしまった。
結局、先生の話しは面白みも欠片もなかったな。呆然と頬杖をつき、窓の外を見上げてみる。
ふと、玲奈の席に人影が。そちらに視線を送ると、その人物は腕の中に教科書と筆箱を持ち、にこやかに笑った。
「れっちゃん、次、移動教室だよ! 早く!」
太陽のような温かいひだまりの笑顔はあたしの悩みなんて、すぐに吹っ飛ばしそう。
「うん。すぐ行く!」
「何処に行くのだ?」
席を立ち上がった寸前、思わぬ声がかかった。
恐る恐る、振り向くとそこには朝出会った自称〝神〟の女が。
「な……なっ!?」
腰が抜ける程、驚いたあたしは悲鳴のような声を教室中に響き渡らせた。
「なんでここにいるのぉぉ!!」
「れ、れっちゃん!?」
美穂は目を庵ぐり丸くし、あたしをまじまじ見つめている。教室中はざわつき、視線はあたしのほうに痛いほど注いでいる。
みんなには悲鳴を上げたあたししか映って
いない。教室のど真ん中には羽衣と神社の服着た妖しい女がいるのに。
誰も、不法侵入者だ! と叫ばない。
これは間違いなく、この神はあたししか認識されていない。
「叫ぶとは失敬な。我がわざわざ、こうして迎いにきたのではないか」
「迎え……誰を!? なんの為に!?」
女から離れ、教室の隅の壁に身を潜める。
教室中の男女、美穂や奈美までもあたしの行動に挙動不審を抱いた。
「それより、ここは人がいる。人気がいない場所に行こう」
神がズケズケと歩み寄り、あたしの手を握った。ヒンヤリとして指先が女性らしく細長い。それに日焼けを全くしていない白さ。
「は? ちょっ!」
導かれるように光が現れ、目を瞑ると、目の前が学校の屋上に変わった。当然、びっくりする。が、朝っぱから神やら奇想展開過ぎて頭がついていけない。もはや、反応するのも疲れる。
「ここは?」
「人気がいないだろう。さて、本題だ」
コホンと真面目に神は一つ、咳払いすると、陽光な笑みで言った。
「我はヘベ。あの祠でずっと人を待っていたのだ。そして、今日、お前が現れた。お前の願いは少し矛盾していてどうやって叶えさせるか難しくてな。そこで、願いを一つにしてくれないか?」
突然の物言いに驚きが沸き起こった。
「願いを一つに?」
自称〝神〟、ヘベの顔をじっと見つめる。ヘベは金色の瞳を細め、ニコリと笑った。
「我はたくさんの願いを叶える大層な力なんぞ、ない。だから、願いが一つになるまでお前のそばにいる事になった」
「え……」
はぁ!? と口が金魚のようにパクパクし、庵ぐり状態。
「だめか……?」
金色の瞳をうるうると潤し、捨てられた犬のように上目遣いで見上げてきた。そんな、眼差しに玲奈は耐えきれず首を縦に振ってしまった。
「わかったから……その、眼差しやめて」
ヘベはぱあと子どものように笑みを綻び、がしと手を握りしめた。
「良かった良かったぁ!」
と、こんなのがきっかけで神、ヘベと過ごす事になった。自分の願いを一つにすれば、さっさと消えてくれるだろうと当初、玲奈は思った。
「おはよう、れっちゃん!」
教室に入った途端、朝一早く声をかけてきたのは親友、美穂だ。
笑顔が可愛いくて整った顔たちから男子からも女子からも人気の子。幼稚園から幼馴染なので、れっちゃんと言われてる。
因みにあたしは美穂をみっちゃんと呼んでいる。
「おはようなのです」
次に声をかけてきたのは高校から仲良しになった、同じく親友の奈美。
なっちゃんって呼んでいる。ゆるふわ巻きの金髪で蒼い目が特徴的なハーフ。生まれも育ちも日本で、家が大企業の社長の娘なんだ。
「二人とも、おはよう~」
ぐったりと疲れた訳でもないのに、机に寝そべった。
「どうしたの?」と美穂。
「今日、お母さんにすっごい怒られてさぁ~」
「れっちゃんのお母さん、キツイもんね」
二人が深刻そうな顔たちで悩んできた。あたしの問題なのに、二人は優しいなぁと常々、思う。
授業の鐘がなるまで、あたし達は、授業の話しや朝の出来事、テレビの話しで盛り上がった。
「今日の数学の宿題、やってきた?」
「もちのろん!」
「うぅ、数字とかむずいからやってきてないんだよなー」
などなど……
玲奈と美穂、奈美の屈託のないいつもの会話は鐘がなるまで、終わらなかった。
朝のホームルームの鐘が鳴った直後、担任の先生が扉を開けた途端、それぞれ散らばった生徒たちが早足で自分の席に戻っていく。
同じく、玲奈の席にいた二人も自分の席に戻っていく。
朝のホームルームもなんら変わらない。
先生の話しと教室の中にある静寂の渦。
そして、親友との他愛もない話し。
その中で、やはり頭の隅にあるのは朝、母と交わした口喧と祠から現れた自称〝神〟の存在。
玲奈は頬杖をつき、窓の外を見上げた。澄み切った青空にふわふわといろんな形した雲が浮いている。
朝に降りしきる太陽の光は眩しい。
そんな事を悶々と考えている間に朝のホームルームは終わってしまった。
結局、先生の話しは面白みも欠片もなかったな。呆然と頬杖をつき、窓の外を見上げてみる。
ふと、玲奈の席に人影が。そちらに視線を送ると、その人物は腕の中に教科書と筆箱を持ち、にこやかに笑った。
「れっちゃん、次、移動教室だよ! 早く!」
太陽のような温かいひだまりの笑顔はあたしの悩みなんて、すぐに吹っ飛ばしそう。
「うん。すぐ行く!」
「何処に行くのだ?」
席を立ち上がった寸前、思わぬ声がかかった。
恐る恐る、振り向くとそこには朝出会った自称〝神〟の女が。
「な……なっ!?」
腰が抜ける程、驚いたあたしは悲鳴のような声を教室中に響き渡らせた。
「なんでここにいるのぉぉ!!」
「れ、れっちゃん!?」
美穂は目を庵ぐり丸くし、あたしをまじまじ見つめている。教室中はざわつき、視線はあたしのほうに痛いほど注いでいる。
みんなには悲鳴を上げたあたししか映って
いない。教室のど真ん中には羽衣と神社の服着た妖しい女がいるのに。
誰も、不法侵入者だ! と叫ばない。
これは間違いなく、この神はあたししか認識されていない。
「叫ぶとは失敬な。我がわざわざ、こうして迎いにきたのではないか」
「迎え……誰を!? なんの為に!?」
女から離れ、教室の隅の壁に身を潜める。
教室中の男女、美穂や奈美までもあたしの行動に挙動不審を抱いた。
「それより、ここは人がいる。人気がいない場所に行こう」
神がズケズケと歩み寄り、あたしの手を握った。ヒンヤリとして指先が女性らしく細長い。それに日焼けを全くしていない白さ。
「は? ちょっ!」
導かれるように光が現れ、目を瞑ると、目の前が学校の屋上に変わった。当然、びっくりする。が、朝っぱから神やら奇想展開過ぎて頭がついていけない。もはや、反応するのも疲れる。
「ここは?」
「人気がいないだろう。さて、本題だ」
コホンと真面目に神は一つ、咳払いすると、陽光な笑みで言った。
「我はヘベ。あの祠でずっと人を待っていたのだ。そして、今日、お前が現れた。お前の願いは少し矛盾していてどうやって叶えさせるか難しくてな。そこで、願いを一つにしてくれないか?」
突然の物言いに驚きが沸き起こった。
「願いを一つに?」
自称〝神〟、ヘベの顔をじっと見つめる。ヘベは金色の瞳を細め、ニコリと笑った。
「我はたくさんの願いを叶える大層な力なんぞ、ない。だから、願いが一つになるまでお前のそばにいる事になった」
「え……」
はぁ!? と口が金魚のようにパクパクし、庵ぐり状態。
「だめか……?」
金色の瞳をうるうると潤し、捨てられた犬のように上目遣いで見上げてきた。そんな、眼差しに玲奈は耐えきれず首を縦に振ってしまった。
「わかったから……その、眼差しやめて」
ヘベはぱあと子どものように笑みを綻び、がしと手を握りしめた。
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