神様記録

ハコニワ

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第一章 出会い

第1話 出会い

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 祠とは神をまつった小さな社。
 神様の居場所とも言う。
 祠は人の願いで作られた建物であり、また崇拝する場所。
 森の奥でひっそりと建てられたり、草が生え、カビだらけの人が管理されてない場所でもある。
 そんな社でも神様は生きている。人の願いで作られたのなら、願いが尽きるまで生きなければならない。
 たとえ、誰からも忘れ去れても……。

§

 皆さんは占いを信じてますか? 前世や未来、過去、手相占いや名前占いそれらを全て占いという、神秘的で魅了するワザですよね。
 平安時代からこの時代まで伝統と血を継続させたあたしの家。そんな占い師家系に生まれたあたし、玲奈れなは占いなんて全くと言って信じてません。

 だって、そんな目に入れない力、超能力で車をふっとばすと同じくらいだよ。人の行く先を占いで勝手にあれやこれや指差す占い師の母も嫌いです。
 たとえ地球が滅んでも絶対に好きにはならない!
 そう、思っていたのに。ある日を堺にあたしの日常は合間見れないものとなってしまった。
 事の発端は、どうでもいい事で母と揉め、早い時刻から家を出た為、学校の門は閉まっており、仕方なく寄り道していると誰も管理していなさそうな、木が鬱蒼としている雑木林に足を踏み入れてしまった。

 そこで、小さな祠を見つけたの。
 誰も管理していないから、草が腰までつかってその祠も草で埋まっていた。
 けれど、導かれたようにその祠を見つけた。
 小さな赤い社は所々、黒くカビと苔になっていて、その奥には小さな家が造られていた。もとは白く造られているのに、茶黒くなって触りたくない。
 そんな祠にあたしはパンと両手を合わせた。
 母と口論になったきっかけは後継者の話し。あたしはまだ、十六だけど、十八歳になった時、家を継がなきゃいけない。
 代々続く家系をあたしの代で壊したくはない。けれど、神秘的て魅了する占いの力なんて、あたしにはもうとうない。
 だったら、神様に祈るしかないじゃない!

「神様神様、あたしのお願い、一生のお願い、聞いてください! あたし、占いの力なんてないんです! けど、家系を壊したくない。どうすればいいんでしょうか」
 言い終わったあと、あたしの声だけが辺りにこだましている。
 暫く両手を合わせた状態で立っていると背中にヒヤリと冷たい風が吹いてきた。ざぁざぁと草同士が幾つも重なりあう音がやけに反響した。風の冷たさに背筋が凍り、背後からなにかが襲ってくるのではないかと不安にかられた。
「はぁ、あたし、何やってんだろ」
「よいぞ」
「え?」
 来た道を帰ろうと踵を返した途端、聞きなれない声がかかった。
 声がしたのはなんと、カビだらけの祠。
 周囲を見渡ても、杉の木がのっぺりと広がっている。
 赤い社の奥の神様の戸口がいきなり、光だした。だんだんと光は強くなり、目が開けない程になる。
 その光の眩しさに目を瞑り、暫く視界が真っ暗だった。そして、目を再び開けると、視界には薄いピンクの羽衣を着たそれは美しい美少女が空から降ってきたのではないですか。
「え? は!?」
「久しぶりに来た客だがら、つい、出てきてしまったわ。それで、主の願い、どちらが本当の願いなのだ?」
 不吉な笑みを浮かべ、細めた金色の瞳の中にあたしが映っている。
「あの……どちら様で」
「神にきまっとるだろうが!」
 当たり前といった感じで応えた自称〝神〟は上からあたしを見上げ、妖しみに目を細める。
 あたしは口を金魚のようにパクパクし、自称〝神〟の頭のてっぺんからつま先までまじまじ見た。
 待って、何この展開。アニメや漫画の見すぎ? 幻聴と幻覚が見える。
「幻なのではない」
 自称〝神〟が頬を膨れ、応えた。
 え。心を読まれた? 口に出してた? というか、このご時世に自分から神とか厨ニ病じゃ。って、ツッコ厶とこ、そこじゃない! 祠から出てきたよね、浮いていたよね。
 ぐるぐると脳内が掻き乱され、今も尚、何やら話しかけてくる〝神〟の言葉を無視した。
「あ! こんな時間だ。学校!」
「…――こら! どこに行く!」
 そそくさと駆け足で草むらを駆けていく。遠くから、神が呼び止める声がしても、一切振り返ろうとはしなかった。

 雑木林を抜け、見えたのは小さな出入り口。木でできたトンネルで、学校の建物と上級生や街の人が行き交う大道路が目についた。
 早足でそこに駆け寄り、太陽の温もりに当たった。

 ガヤガヤと賑わう校庭。いつもは耳障りな上級生たちの笑い声がこんなにも心が休まるなんて、ホッと胸を撫で下ろした。
 玲奈は不意に来た道を振り返った。
 太陽の眩しさが輝いている朝なのに、森の奥はどんよりと黒さがかかっている。

――リィン

 まただ。

 また鈴の音が。風によって運ばれて、あたしの耳だけこだましている。
 あれは一体なんだったんだろうか。
 まぁ、少なくとも、あの祠には今後一切近寄らないけど。
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