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Ⅰ 約束
第7話 彼女の名は
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倒れた明保野さんは数時間眠っていた。せいらのおじいさんから「早く学校にいけ」と急かされたが、心配でたまらず側にいることに。
昼間に学生がこんなところにうろちょろしていると、警備ロボットがくるからおじさんも、置きたくないのは分かっているが、ロボットに見つからないようにすれば大丈夫さ。
彼女が倒れて、時間だけが過ぎていく。明保野さんは死んだように眠っている。微かに身動きして、また深く眠る。
「大丈夫かな?」
せいらが顔を覗きこむ。何度も。
「大丈夫だろ。生きてんだし」
嵐が軽く言った。
「生きてるけど、このまま死ぬこともあるじゃん」
せいらはむっとして、嵐を睨んだ。嵐は知らんぷりして、顔を背ける。顔は窓の外を眺めながらポツリと呟いた。
「また唸ってる」
窓を開けなくても聞こえてきた音。それは、エデンから振ってくる爆発音らしきもの。間髪的に続いているので、鐘が鳴っている音と似ている。ラップ音や鐘の音、動物が呻ってる鳴き声と聞こえるのは人それぞれ。
朝は三回。昼間は二回。
こんな音、初めて聞いた。
そういえば、とせいらが口を開いた。
「そういえばさ、倒れる前に『呼んでる』て言ってなかった?」
「言ってた」
「誰が呼んでるんだろ」
僕たちは頭を悩ませていると、その原因の主がようやく起きたようだ。微かにぱちりと瞬きして、スゥと小さく開けた。僕らは彼女の視界に入り込むように覗き込む。
「明保野さんっ! 大丈夫⁉」
「あーちゃん!」
彼女は目をうっすら開けて、僕らの顔をじっと見ている。ボーとした視界で意識が曖昧。せいらが奥から水を持ってきた。
「ほら、飲んで」
せいらがコップを手渡すと彼女はそのコップをじっと見つめている。少し動いて上体を起き上がらせた。そして、そのコップを受け取る。
「地球の水は飲めないんじゃないの?」
「貯めておいた水を汲んできたから大丈夫だよ。全然毒素はないから」
ニコリとせいらは笑っているけれど、明保野さんは全然ピクリとも表情筋が動かない。
「早よ飲めや」
嵐がギリギリ歯ぎしりさせて言った。
「そこまで無理強いしなくても」
僕は苦笑する。
明保野さんは怪訝な表情をして水面を見下ろす。手に取ったコップを恐る恐る口に運び、口内に流し込んだ。ごくりごくりと味わうようにゆっくり飲む。飲んだら、コップを置いてベットから降りた。その足は窓に向かった。
窓の外を眺め、深く深呼吸した。
「地球に降りてきたんだ」
涙混じりに言った。
明保野さんは記憶を取り戻した。
自分が一体何者なのか。何処から来たのか、そして、彼女こそがまさか、エデンの鍵を握っているとは僕らは思わなかった。
「へぇ。やっとか。それじゃあ聞かせてくれよ」
嵐が不敵に笑った。明保野さんはベットに座り周囲にいる顔ぶれの顔色をうかがった。
「わたしはエデンの北を守護する守人の一人。普段は守人様と呼ばれてて〝明保野〟なんて名前、久しぶりに聞いた」
彼女はふっと寂しそうに微笑んだ。
僕らは口をあんぐりした。あまりにも衝撃的な話で話がついていけない。
「守人てなんだ?」
僕が第一に聞くことはこれ。
「守人ていうのは、エデンを守護する四つのひと柱。このひと柱は、決して欠けてはいけなかった。欠けてしまったら……災いがふりかかる。それなのに、わたしは自由を求めた。ここじゃない別の世界で生きたくて。でもそんな浅はかなもので、使命を、宿命から逃げて、今、エデンが大変なことになっている」
「大変なことって……?」
訊くと彼女は、目をつぶった。
顔を俯き、だんまり。言えない何かがあると察したが、嵐はエデンについて追求した。
「大変なことって、エデンが滅びるのか⁉」
物凄い焦った表情で彼女に食いつく。僕とせいらは止めるも、嵐はエデンについて少しでも知りたい。そのことを理解した上で明保野さんは、話してくれた。
「エデンにひと柱がいるのは、災いから防ぐため。それが一つ欠けたら、その災いがエデンはふりかかる。さっき、西の守人が呼んでくれたおかげで記憶を取り戻した。災い……少し恐怖を知るだけ」
彼女はそれから、本当に口を閉ざした。こちらが何を追及しても何も返事がない。今日はこれで仕方なくお開きすることに。
嵐はまだ名残惜しそうに残ったけど、僕が引っ張って帰路に向かう。
「エデンに守人なんて職業いたんだ」
僕が呟くと、嵐は大きいため息ついた。
「ひと柱を職業なんて言えるのはお前くらいだ」
嵐は大空のエデンを見上げた。
分厚い雲で覆われて惑星や月さえ見えっこない。それでも近くに感じる。彼女が原因かもしれない。エデンの住民が近くにいるせいで、そんな気がしているだけで、実際は遠い。
「明日、エデンはどんな空気か、どんな景色か聞こっかな」
「やめろやめろ。自分たちの目で見たほうが早ぇだろ。そんなの」
「そうだね」
僕は再び歩き出した嵐の隣に歩く。
約束の地、エデン。そのエデンが近くに感じて、もうすぐ手に届くと直感していた。これから――どんな戦いになろうと知らずに。
§
夜、中々寝付けなくて外に出た。ロボットの目が周囲にあるから、自分地の屋根裏に登るしかない。窓を少し開けて、ふわりと外の空気が入ってきた。夜はだいたい毒素が薄まる。
だから異臭もない。少しツンとするけれど。
夜風は涼しい。昼間のムワッとする熱気が少しあるけど。夜になると賑わった声はなくなり、静寂だ。昔はもっと賑わっているのに、十年でほんとに変わる。すると、窓の外に何かがちらりと写った。
恐る恐る見下ろすと、白い人影だ。白いワンピースを着ていて、暗い夜道ではかなり目立つ。しかもあの女性的で丸いシルエットは知っている。
「明保野さん……?」
僕は静かに屋根裏から外に出た。
生温い風が頬を伝う。彼女のあとを追う。病院を抜け出してふらりふらり歩いている感じだったから、不安で仕方ない。
監視ロボットの目から逃げて、彼女の後ろ姿を確認した。夜道では煌めくほど美しい白さ。
「明保野さん!」
小声で叫ぶも振り向かない。前を見て歩いている。その足取りは割としっかりしていて、目的地の場所に向かっている。
何処に行くんだろう。
僕はその後ろ姿をぼんやり眺めながら、ゆっくり近づいた。彼女の肩をトントンと叩くとハッ、と息を吐いてこちらに振り向いた。
「ごめん。驚かすつもりはなかったんだけど、何度も名前呼んだのに止まらないから、心配になって」
僕は苦笑した。
彼女はまるで幽霊でも見たかのような恐ろしい顔していた。僕だと分かると安堵した顔になる。
「何処に行くの?」
好奇心に訊くと、彼女は天を見上げた。
「神様」
「神様ぁ?」
僕はオウム返しに聞き返すと彼女は変な顔をした。
「あなたたちがくだらないと思っているあの像。あれね。実は神様なの。ほんとに願いが叶うのよ」
冗談を言っているのかもしれない。でも彼女は真っ直ぐな瞳で白い像を見上げていた。冗談じゃないと雰囲気でわかる。
あの像はこの地の唯一、崇められるモノだが、流石に神様だと本気で思っていない。思ったこともない。
「ここからよく見えるのね。あれ」
腐った町並みから塔の上にある白い像。
僕の家からもよく見える。
「わざわざ近くに?」
「うん。やっぱり何度見ても変わらない。変わったのは地球だね」
ざぁ、と強い風が吹いた。彼女の白髪が揺らめく。その瞳は零れ落ちそうなほど切なげだった。記憶を取り戻してから少し雰囲気が変わった気がする。前みたいな誰にでもじゃれつくような性格だったのに、今は品のある女性へと。
「ねぇ」
「うん?」
明保野さんは天を見上げてそこからの言葉を出せない。
僕も同じように天を見上げた。真っ暗なせいで、何も見えない。いつしかあの、不気味な音はなくなり静寂だ。ずっと見上げれば吸い込まれそうな漆黒。夜になるとこの景色は見たくない。頭がおかしくなるから。頭を振って、視線を地上に落とした。
彼女はじっと真っ直ぐ天を見上げていた。すると、唐突に言葉をだした。
「約束は絶対。それじゃあわたしとも、約束してくれる?」
こちらに振り向き微笑した。僕はキョトンとしていると彼女は話を続けた。
「『わたしを自由にさせて』」
僕はびっくりして開いた口が塞がらなかった。真っ直ぐな瞳が、僕を映している。
「それは、願いだよね?」
「確かに。でも、誰かに縋りたくなるの。〝自由〟を求めてここまで来た。でも責務と使命を捨てて自由になることはできなかった。結局、こういう運命なんだって。だったら、だからこそ……これを解いてほしい。我儘で勝手だけど……約束してくれる? いつかわたしを世界から助けて自由にさせて」
彼女の大きな目から大粒の涙がポロポロと溢れた。透明な雫が白い肌を伝い、地面にポタポタ滴り落ちる。
「明保野さん!」
僕はしどろもどろになるも、涙は拭えない。
代わりに僕は小指を立てた。彼女はじっ、とその小指を見つめ、涙を拭い、自分の小指と絡めた。
太陽と嵐と違う、約束のとり方。
約束は絶対。僕は絶対に彼女を自由にさせる。どんな代償を支払ってでも。
昼間に学生がこんなところにうろちょろしていると、警備ロボットがくるからおじさんも、置きたくないのは分かっているが、ロボットに見つからないようにすれば大丈夫さ。
彼女が倒れて、時間だけが過ぎていく。明保野さんは死んだように眠っている。微かに身動きして、また深く眠る。
「大丈夫かな?」
せいらが顔を覗きこむ。何度も。
「大丈夫だろ。生きてんだし」
嵐が軽く言った。
「生きてるけど、このまま死ぬこともあるじゃん」
せいらはむっとして、嵐を睨んだ。嵐は知らんぷりして、顔を背ける。顔は窓の外を眺めながらポツリと呟いた。
「また唸ってる」
窓を開けなくても聞こえてきた音。それは、エデンから振ってくる爆発音らしきもの。間髪的に続いているので、鐘が鳴っている音と似ている。ラップ音や鐘の音、動物が呻ってる鳴き声と聞こえるのは人それぞれ。
朝は三回。昼間は二回。
こんな音、初めて聞いた。
そういえば、とせいらが口を開いた。
「そういえばさ、倒れる前に『呼んでる』て言ってなかった?」
「言ってた」
「誰が呼んでるんだろ」
僕たちは頭を悩ませていると、その原因の主がようやく起きたようだ。微かにぱちりと瞬きして、スゥと小さく開けた。僕らは彼女の視界に入り込むように覗き込む。
「明保野さんっ! 大丈夫⁉」
「あーちゃん!」
彼女は目をうっすら開けて、僕らの顔をじっと見ている。ボーとした視界で意識が曖昧。せいらが奥から水を持ってきた。
「ほら、飲んで」
せいらがコップを手渡すと彼女はそのコップをじっと見つめている。少し動いて上体を起き上がらせた。そして、そのコップを受け取る。
「地球の水は飲めないんじゃないの?」
「貯めておいた水を汲んできたから大丈夫だよ。全然毒素はないから」
ニコリとせいらは笑っているけれど、明保野さんは全然ピクリとも表情筋が動かない。
「早よ飲めや」
嵐がギリギリ歯ぎしりさせて言った。
「そこまで無理強いしなくても」
僕は苦笑する。
明保野さんは怪訝な表情をして水面を見下ろす。手に取ったコップを恐る恐る口に運び、口内に流し込んだ。ごくりごくりと味わうようにゆっくり飲む。飲んだら、コップを置いてベットから降りた。その足は窓に向かった。
窓の外を眺め、深く深呼吸した。
「地球に降りてきたんだ」
涙混じりに言った。
明保野さんは記憶を取り戻した。
自分が一体何者なのか。何処から来たのか、そして、彼女こそがまさか、エデンの鍵を握っているとは僕らは思わなかった。
「へぇ。やっとか。それじゃあ聞かせてくれよ」
嵐が不敵に笑った。明保野さんはベットに座り周囲にいる顔ぶれの顔色をうかがった。
「わたしはエデンの北を守護する守人の一人。普段は守人様と呼ばれてて〝明保野〟なんて名前、久しぶりに聞いた」
彼女はふっと寂しそうに微笑んだ。
僕らは口をあんぐりした。あまりにも衝撃的な話で話がついていけない。
「守人てなんだ?」
僕が第一に聞くことはこれ。
「守人ていうのは、エデンを守護する四つのひと柱。このひと柱は、決して欠けてはいけなかった。欠けてしまったら……災いがふりかかる。それなのに、わたしは自由を求めた。ここじゃない別の世界で生きたくて。でもそんな浅はかなもので、使命を、宿命から逃げて、今、エデンが大変なことになっている」
「大変なことって……?」
訊くと彼女は、目をつぶった。
顔を俯き、だんまり。言えない何かがあると察したが、嵐はエデンについて追求した。
「大変なことって、エデンが滅びるのか⁉」
物凄い焦った表情で彼女に食いつく。僕とせいらは止めるも、嵐はエデンについて少しでも知りたい。そのことを理解した上で明保野さんは、話してくれた。
「エデンにひと柱がいるのは、災いから防ぐため。それが一つ欠けたら、その災いがエデンはふりかかる。さっき、西の守人が呼んでくれたおかげで記憶を取り戻した。災い……少し恐怖を知るだけ」
彼女はそれから、本当に口を閉ざした。こちらが何を追及しても何も返事がない。今日はこれで仕方なくお開きすることに。
嵐はまだ名残惜しそうに残ったけど、僕が引っ張って帰路に向かう。
「エデンに守人なんて職業いたんだ」
僕が呟くと、嵐は大きいため息ついた。
「ひと柱を職業なんて言えるのはお前くらいだ」
嵐は大空のエデンを見上げた。
分厚い雲で覆われて惑星や月さえ見えっこない。それでも近くに感じる。彼女が原因かもしれない。エデンの住民が近くにいるせいで、そんな気がしているだけで、実際は遠い。
「明日、エデンはどんな空気か、どんな景色か聞こっかな」
「やめろやめろ。自分たちの目で見たほうが早ぇだろ。そんなの」
「そうだね」
僕は再び歩き出した嵐の隣に歩く。
約束の地、エデン。そのエデンが近くに感じて、もうすぐ手に届くと直感していた。これから――どんな戦いになろうと知らずに。
§
夜、中々寝付けなくて外に出た。ロボットの目が周囲にあるから、自分地の屋根裏に登るしかない。窓を少し開けて、ふわりと外の空気が入ってきた。夜はだいたい毒素が薄まる。
だから異臭もない。少しツンとするけれど。
夜風は涼しい。昼間のムワッとする熱気が少しあるけど。夜になると賑わった声はなくなり、静寂だ。昔はもっと賑わっているのに、十年でほんとに変わる。すると、窓の外に何かがちらりと写った。
恐る恐る見下ろすと、白い人影だ。白いワンピースを着ていて、暗い夜道ではかなり目立つ。しかもあの女性的で丸いシルエットは知っている。
「明保野さん……?」
僕は静かに屋根裏から外に出た。
生温い風が頬を伝う。彼女のあとを追う。病院を抜け出してふらりふらり歩いている感じだったから、不安で仕方ない。
監視ロボットの目から逃げて、彼女の後ろ姿を確認した。夜道では煌めくほど美しい白さ。
「明保野さん!」
小声で叫ぶも振り向かない。前を見て歩いている。その足取りは割としっかりしていて、目的地の場所に向かっている。
何処に行くんだろう。
僕はその後ろ姿をぼんやり眺めながら、ゆっくり近づいた。彼女の肩をトントンと叩くとハッ、と息を吐いてこちらに振り向いた。
「ごめん。驚かすつもりはなかったんだけど、何度も名前呼んだのに止まらないから、心配になって」
僕は苦笑した。
彼女はまるで幽霊でも見たかのような恐ろしい顔していた。僕だと分かると安堵した顔になる。
「何処に行くの?」
好奇心に訊くと、彼女は天を見上げた。
「神様」
「神様ぁ?」
僕はオウム返しに聞き返すと彼女は変な顔をした。
「あなたたちがくだらないと思っているあの像。あれね。実は神様なの。ほんとに願いが叶うのよ」
冗談を言っているのかもしれない。でも彼女は真っ直ぐな瞳で白い像を見上げていた。冗談じゃないと雰囲気でわかる。
あの像はこの地の唯一、崇められるモノだが、流石に神様だと本気で思っていない。思ったこともない。
「ここからよく見えるのね。あれ」
腐った町並みから塔の上にある白い像。
僕の家からもよく見える。
「わざわざ近くに?」
「うん。やっぱり何度見ても変わらない。変わったのは地球だね」
ざぁ、と強い風が吹いた。彼女の白髪が揺らめく。その瞳は零れ落ちそうなほど切なげだった。記憶を取り戻してから少し雰囲気が変わった気がする。前みたいな誰にでもじゃれつくような性格だったのに、今は品のある女性へと。
「ねぇ」
「うん?」
明保野さんは天を見上げてそこからの言葉を出せない。
僕も同じように天を見上げた。真っ暗なせいで、何も見えない。いつしかあの、不気味な音はなくなり静寂だ。ずっと見上げれば吸い込まれそうな漆黒。夜になるとこの景色は見たくない。頭がおかしくなるから。頭を振って、視線を地上に落とした。
彼女はじっと真っ直ぐ天を見上げていた。すると、唐突に言葉をだした。
「約束は絶対。それじゃあわたしとも、約束してくれる?」
こちらに振り向き微笑した。僕はキョトンとしていると彼女は話を続けた。
「『わたしを自由にさせて』」
僕はびっくりして開いた口が塞がらなかった。真っ直ぐな瞳が、僕を映している。
「それは、願いだよね?」
「確かに。でも、誰かに縋りたくなるの。〝自由〟を求めてここまで来た。でも責務と使命を捨てて自由になることはできなかった。結局、こういう運命なんだって。だったら、だからこそ……これを解いてほしい。我儘で勝手だけど……約束してくれる? いつかわたしを世界から助けて自由にさせて」
彼女の大きな目から大粒の涙がポロポロと溢れた。透明な雫が白い肌を伝い、地面にポタポタ滴り落ちる。
「明保野さん!」
僕はしどろもどろになるも、涙は拭えない。
代わりに僕は小指を立てた。彼女はじっ、とその小指を見つめ、涙を拭い、自分の小指と絡めた。
太陽と嵐と違う、約束のとり方。
約束は絶対。僕は絶対に彼女を自由にさせる。どんな代償を支払ってでも。
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