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【妻に殺される】
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このところ、体調が優れない。
寝ても疲れが取れない。一ヶ月前、胃腸炎になった。激しい痛みで寝ても起きても苦しい日々がまだ鮮明に思い出せる。そして退院してそのほんの三週間後に食中毒になって再び入院する。
決して病院が好きとかではない。
あの殺風景な場所に何日もいてたまるか。
なのにこうして病院の医者や看護師に面倒をかけられこちらとして、足を向けれない。なぜこうも体調が優れないのか。医者に以前、こう言われた。「呪いがかかっているようだ」と。あながち自分自身もそうだと思い、笑いながらジョークも混ぜて花を咲かせたものだ。
面倒をかけているのは、何も医者だけじゃない。家内にもそりゃたくさん迷惑と心配をかけた。今回また病院で寝ているとある不可解なことに気づいた。
眠りかけて階段から滑り落ちたこと。幸い、軽傷であるが、医者から顔見知りであり何より〝呪いの患者〟扱いされてる為、大事を持って入院している。そのベットで気づいたのだ。
昨日夜の九時には寝た。
それから朝の五時に起床し、最低八時間以上は眠っているんだ。それなのに、眠りかけることあり得るのだろうか。そういえば寝る前もいきなり睡魔が襲ってきて早くに寝床に行った。睡眠薬でも盛られたか? いやそんなわけない。どこにそんな薬を盛るていうんだ。
「あなた、大丈夫?」
病室にやってきた家内が顔を覗かせた。
「ああ。すまない」
「ふふふ。いつものことよ」
いつものこと、家内にも言われると申し訳無さでさっきの思考は頭を降って、捨て去った。退院して束の間の三日後、事故にあった。これは本当に呪われてる。自分でも苦笑するほどにな。
「すぐに処置してなかったらしんでたよ」
医者が言う。
なんと災難な、と哀れみな目を向けて。そんな医者に頭を下げる。そして今回ので確信した。誰かが俺を殺しに来ていると。そんなの1人しかいなかった。悲しいかな家内だ。
今回事故にあった原因はブレーキ事故だ。車を運転中、いきなりブレーキがかからなかった。メンテナンスは1ヶ月前にしたばかりだ。それなのに、この事故はおかしい。誰かが――家内が車のタイヤに細工したんだ。
思い切って家内に聞いてみる。すると、家内は見たことない顔させた。
「あなた本当にゴキブリ並にしつこい。早く死んでくれ」
なんと。否定もしなかった。今までの事全て家内がやったこと。胃腸炎になったことも、食中毒だって。睡眠薬を盛ったことも。
何故殺されなきゃいけないのか。理由を聞くと家内は財産目当てらしい。ならば、こちらは生命を陥れた罰として俺も全力で家内を殺そう。
その日から家内と殺しあいを始めた。
家に帰ったらナイフが飛んできてそれを避ける。今度は家内が風呂に入っているときに家電製品を投げるもそれを避けられる。作ってくれた料理には手を出さない。それは相手も同じ。でも買ってきたものなら食べる。会社帰りに買ってきた寿司に毒をもる。だが、運良くそれを回避される。家内との殺しあいが続き、しぶとく生き永らえているお互いに吐き気と嘲笑が含む。
いつでも殺せるようにと外出中もそばを離れなかった。スキを作るつもりもお互いない。そんな日々が続き最終段階に入った。
家中にガソリンをまき、火をつけた。
「どちらか逃げたらそこで負けだ」
「ふふふ。ここまできて逃げるわけないじゃない」
お互い睨み合って炎の中、一歩も動かなかった。タンスや上の階のものが炎のホコリと一緒にパラパラ落ちていく。息もできない、燃え盛る炎の中、どちらが命尽きようが格闘技をする。家内は昔柔道をやっていた。そのため、力で押し倒される。熱のこもった床に叩き付ければ背中が燃え、皮膚が焼け息が苦しい。まともな思考ができない。でも「家内に負けたくない」その意地だけあった。
こちらも負けじと妻を押し倒し、足を踏みつけ動けないように固定した。絶叫が響き渡る。肉が焼ける臭いが微かにする。家内も「夫には負けたくない」その意地だけがあった。
そのため、両手で夫の首を絞めた。
消防車が来たのはそれから10分後。それから消火し家は全焼。焼け跡から2人の遺体が見つかった。遺体は抱きしめるような形で寄り添っていたらしい。近隣住民から「仲がいい夫婦だった」と噂さていたことから誤って火の取扱が悪く火災になったと事後処理される。
本当は夫妻ともにガソリンをまき、最後まで意地とプライドによりお互い離さなかったこと、この世で知る由もない。
寝ても疲れが取れない。一ヶ月前、胃腸炎になった。激しい痛みで寝ても起きても苦しい日々がまだ鮮明に思い出せる。そして退院してそのほんの三週間後に食中毒になって再び入院する。
決して病院が好きとかではない。
あの殺風景な場所に何日もいてたまるか。
なのにこうして病院の医者や看護師に面倒をかけられこちらとして、足を向けれない。なぜこうも体調が優れないのか。医者に以前、こう言われた。「呪いがかかっているようだ」と。あながち自分自身もそうだと思い、笑いながらジョークも混ぜて花を咲かせたものだ。
面倒をかけているのは、何も医者だけじゃない。家内にもそりゃたくさん迷惑と心配をかけた。今回また病院で寝ているとある不可解なことに気づいた。
眠りかけて階段から滑り落ちたこと。幸い、軽傷であるが、医者から顔見知りであり何より〝呪いの患者〟扱いされてる為、大事を持って入院している。そのベットで気づいたのだ。
昨日夜の九時には寝た。
それから朝の五時に起床し、最低八時間以上は眠っているんだ。それなのに、眠りかけることあり得るのだろうか。そういえば寝る前もいきなり睡魔が襲ってきて早くに寝床に行った。睡眠薬でも盛られたか? いやそんなわけない。どこにそんな薬を盛るていうんだ。
「あなた、大丈夫?」
病室にやってきた家内が顔を覗かせた。
「ああ。すまない」
「ふふふ。いつものことよ」
いつものこと、家内にも言われると申し訳無さでさっきの思考は頭を降って、捨て去った。退院して束の間の三日後、事故にあった。これは本当に呪われてる。自分でも苦笑するほどにな。
「すぐに処置してなかったらしんでたよ」
医者が言う。
なんと災難な、と哀れみな目を向けて。そんな医者に頭を下げる。そして今回ので確信した。誰かが俺を殺しに来ていると。そんなの1人しかいなかった。悲しいかな家内だ。
今回事故にあった原因はブレーキ事故だ。車を運転中、いきなりブレーキがかからなかった。メンテナンスは1ヶ月前にしたばかりだ。それなのに、この事故はおかしい。誰かが――家内が車のタイヤに細工したんだ。
思い切って家内に聞いてみる。すると、家内は見たことない顔させた。
「あなた本当にゴキブリ並にしつこい。早く死んでくれ」
なんと。否定もしなかった。今までの事全て家内がやったこと。胃腸炎になったことも、食中毒だって。睡眠薬を盛ったことも。
何故殺されなきゃいけないのか。理由を聞くと家内は財産目当てらしい。ならば、こちらは生命を陥れた罰として俺も全力で家内を殺そう。
その日から家内と殺しあいを始めた。
家に帰ったらナイフが飛んできてそれを避ける。今度は家内が風呂に入っているときに家電製品を投げるもそれを避けられる。作ってくれた料理には手を出さない。それは相手も同じ。でも買ってきたものなら食べる。会社帰りに買ってきた寿司に毒をもる。だが、運良くそれを回避される。家内との殺しあいが続き、しぶとく生き永らえているお互いに吐き気と嘲笑が含む。
いつでも殺せるようにと外出中もそばを離れなかった。スキを作るつもりもお互いない。そんな日々が続き最終段階に入った。
家中にガソリンをまき、火をつけた。
「どちらか逃げたらそこで負けだ」
「ふふふ。ここまできて逃げるわけないじゃない」
お互い睨み合って炎の中、一歩も動かなかった。タンスや上の階のものが炎のホコリと一緒にパラパラ落ちていく。息もできない、燃え盛る炎の中、どちらが命尽きようが格闘技をする。家内は昔柔道をやっていた。そのため、力で押し倒される。熱のこもった床に叩き付ければ背中が燃え、皮膚が焼け息が苦しい。まともな思考ができない。でも「家内に負けたくない」その意地だけあった。
こちらも負けじと妻を押し倒し、足を踏みつけ動けないように固定した。絶叫が響き渡る。肉が焼ける臭いが微かにする。家内も「夫には負けたくない」その意地だけがあった。
そのため、両手で夫の首を絞めた。
消防車が来たのはそれから10分後。それから消火し家は全焼。焼け跡から2人の遺体が見つかった。遺体は抱きしめるような形で寄り添っていたらしい。近隣住民から「仲がいい夫婦だった」と噂さていたことから誤って火の取扱が悪く火災になったと事後処理される。
本当は夫妻ともにガソリンをまき、最後まで意地とプライドによりお互い離さなかったこと、この世で知る由もない。
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