2 / 6
2 直也
しおりを挟む
12月。風が冷たい深夜。窓が全て開いてる室内。手が凍るほどの寒さだった。
「う……寒ぃ」
倒れた机を起こして、その上にのって横になる赤井。が、その机はキンキンに冷えて冷たい。氷の上を横になっているのと同じ。赤井はその冷たさに耐えきれなくて床に座る。
――ガンガン!
ドアを無理やりこじ開ける音が、異常な事態に堕ちた僕らの耳にやけに響いた。直也がドアをこじ開けようと体当たりしているんだ。
「くっそ!! 開かねぇ!」
ガンガンと扉を蹴破る。
直也はこう見えても、柔道三段を持っている。大きな体に強い力を持ってしても、頑なに開かない扉。
だんだん、その音が大きくなるにつれ、赤井が苛立ってきた。
「さっきからうるさい! 寝れやしない」
すると、直也は蹴るのをやめ赤井を睨みつけた。その表情は、頭に血が昇り、完全に周りが見えなくなった獰猛な獣。
「お前は、よくこんなときに落ち着いてられるな! 閉じ込められたんだぞ! あれから何時間も経ってるのに救助が来ない! 誰が落ち着けるか!」
直也の言いたいことは分かる。
僕も正直、困惑してるし怖い。情報が全く分からない状況、そして、扉も窓からも脱出できない場所にいる。今自分たちは世界から置いてけぼりにされたような暗い感覚に堕ちた。
科学室は三階。カーテンを外してつなぎ合わせても地上から若干遠い。扉はなにかの重さにふさぎこんで開かない。
絶対絶命。その言葉が脳裏に浮かんだ。直也はじっとすることに不信感を抱き、行動するがおもにそれは、体力が削るだけ。実際、もう息が切れていた。この真冬、この状況で一番最悪なのは体力だ。
赤井が温存しようと声をかけたのは何分前か――。
「とりあえず、体力の消耗になる。やめとけ」
「うるせっー! クソクソクソ!!」
直也は逆上して、扉を力任せに蹴破る。赤井は言っても無駄だ、とお手上げのポーズをして再び、目をつぶった。それから、直也は獰猛の獣のように壁や扉を蹴破った。
苛々している。ひしひしと僕らにも分かった。その矛先は夏木ゆきに理不尽に向かう。
夏木ゆきはそれまで、黙って死体の近くでしゃがんでいた。痛々しい死体を間近で見ても表情も態度も変わらない。ただ、眼鏡の奥から見える黒い瞳は、生気を失った真っ黒闇だった。
直也は夏木ゆきのボサボサの髪の毛を掴んで、窓のほうへと引っ張った。まだ、破片がチリチリに残る枠に頭を押し付ける。
「こいつのせいだ! こいつのせいで俺らはこんなとこに閉じ込められたんだ! こいつのせいでこいつのせいでっ!」
「う……あぅ…やめて」
首筋にツゥと線が入った。それから丸い血の玉が顔をだす。直也はそれでもグイグイと頭を押しつけた。その顔は完全に怒りに満ちている。誰も止められない。いいや、これはいつものことだ。いつもいつも、直也が怒ったとき夏木ゆきが理不尽な目に合うことなど日常茶飯事。だから、誰も止めない。
利根川はネイルアートを施した爪を綺麗に磨いて、真澄は倒れた机や椅子をなおして自分だけの領域をつくっている。僕もいつもの通り見てみぬふりをした。簡単だ。耳をおさえて聞こえなくすれば全て、そんなの目の当たりにしない。
でも、今回は違った。赤井がそれを止めたのだ。死ぬぞ、とたった一言。僕ももちろん、夏木ゆきも腰を抜かすほど驚いたはずだ。だって、今の今さら心配されるなんて思ってもみなかった。それに、地震が起きる前、僕らは処刑遊戯をしていた。夏木ゆきのあの首に縄をくくろうとしていたのに、それが今さら死ぬぞ、なんて笑いのへったくりもない。
直也は赤井を睨みつけた。充血したように赤い目玉。
「今……なんつった?」
「死・ぬ・ぞ、て言ったの。もうそんな奴ほっといて体力温存のためにゆっくりしよう」
非常に不穏な空気になった。
今にでも飛びかかりそうな直也。目を疑うほど冷静な赤井。両者の間では亀裂が交えた。まさに、見えない火花が目からバチバチと散っている。
直也は夏木ゆきを離して、一直線に赤井のもとにズカズカ歩みよった。夏木ゆきはバタンと倒れるように腰をおろし、即座に手で首元を覆い被した。
直也は赤井に寄り、胸グラを掴む。
「お前、さっきから何なんだ? 何様だ? この俺さまを置いて何発言してんだよ!」
牙を剥き出しの野生の獣の姿だ。傍から見ていても背筋が凍るほど怖い。あんな表情で近くに来たらと思うと、身の毛もよだつ。対して、赤井の奴は冷めた目で直也のことを見下ろしていた。目の前の獣の姿に、まったく動じていない。
「直也、少し冷静になれよ。今揉めあっても仕方がないだろう? みんな不安なんだ。引っ張ってくれる頼もしいお前がそんなんじゃ心許ないだろ?」
落ち着いた口調で、やんわり煽てる口調でそう言う赤井。直也はその言葉にパッと腕を離し表情が少し楽になった。
「そうだな。あぁ、そうだ! 俺がしっかりしないとお前ら全然だめだな。まったく。早くそう言えよ」
直也の機嫌が一瞬でなおった。
赤井はフッと笑って直也の肩をポンポンと叩く。それから、くるりと後ろを返すとさっきまでの表情を一転させ、生真面目な表情となった。荒々しく捕まれた胸グラを程よくなおす。
それから時は流れた。
時間は一秒一秒過ぎていく。けど、その時間は重みだった。時間は流れているのに現状は変わらない。目を開けて何度も見る非日常。平和だった現実から薄離れた景色が頭をガンガンとうちつける。
腕につけている時計を見下ろしてみた。午後十二時五十二分で止まっている。
「お腹、すいた」
利根川がお腹をおさえてつぶやいた。
「やめて」
真澄が強くその言葉を覆い被す。
「ハンバーガー食べたいなぁ」
「ステーキとかな」
利根川続いて直也も口走る。
「二人ともやめて」
真澄が今までより強く言う。
地震が起きた十二時五十二分から、明らかに夜明けに近い時間帯に二人は食べ物の話しを交した。真澄は赤井と同じように自分のテリトリーをそこら辺の机とかで用いて、横になっている。僕らに背を向けて。
利根川たちがこんな話しを交わす前、意外なほど静かだった。深夜の夜に相応しい静寂。たぶん、寝てたやつもいただろう。けど実際寝れてないよな。目をつぶるたび、まつ毛に霜が張り付いて痛い。だから、容易に寝れるやつなんていないさ。
「いいじゃん。言うだけ」
「言ったら、ますます食べたくなるでしょ」
背を見せながら会話が続く。と、すると直也が何やら不気味な笑みを宿した。目の奥の眼光が鋭く光っている。
内ポケットから何やらいかがわしい玩具を取り出した。色は灰色に近くて、先端は男性用の亀頭をモチーフとされた大きなシリコン製。アメリカでも巨根と支持され、有名なアダルトグッズ製品だ。それを横になっている真澄のお尻に近づけた。バイブ音で気づいたのか、跳ねるように真澄は起き上がた。
直也の持っているソレを凝視して、一歩仰け反る。
「なにやってんの? 悪ふざけは大概にしてよね」
強気に言うが微かに震えている。直也はニヤニヤ気色悪い笑みしてジリジリと真澄に寄る。
「冗談じゃないさ。前からお前のことが気になってたんだ」
「うそー! それ、この前あたしにも言ってた台詞!」
利根川がクスクス笑って楽しそうに目を細める。真澄はビシと夏木ゆきを指差した。
「どうして私なの!? 暇ならあいつが相手してくれるじゃん!」
「あいつもう股ガバガバなんだよ。ユルいから真澄、お願いな」
ニヤニヤ笑って真澄の足を掴んだ。
いやぁぁぁと悲鳴に似た雄叫びが響いた。水面におぼれた虫のようにジタバタと暴れる足。しかし、無慈悲にもその足の間に蛇のように手を突っ込まれる。周りは、誰も助けない。
赤井はこんな緊急時に寝ているし、夏木ゆきは毛頭助ける気なんてないだろうな。いじめられっ子がいじめっ子を助けるなんざ、どの漫画もどんなジャンルもない。
残る僕は助けない選択肢を選んだ。直也に目をつけられたくないからだ。
髪の毛も服装もとりわけ、地味っ子の真澄。しかし、その裏で利根川を操って虐めのターゲットを決めたり学校の支配計画についても巧妙で頭の切れる女。大きな影に隠れて、自分の手は一切汚さない、そんな女が直也の持ってきたバイブで腰をよがっている。
「おっ感じてる? 感じちゃってる?」
ニヤニヤ笑う直也。すると……。
「この、ふっざけんなぁぁぁぁぁっ!!」
真澄が直也の体を足蹴り。
思ってもみなかった抵抗に直也は少し、後ずさった。
「おっととと……このやろ――あ?」
「え?」
直也のお腹に窓硝子の破片が刺さっていた。
「う……寒ぃ」
倒れた机を起こして、その上にのって横になる赤井。が、その机はキンキンに冷えて冷たい。氷の上を横になっているのと同じ。赤井はその冷たさに耐えきれなくて床に座る。
――ガンガン!
ドアを無理やりこじ開ける音が、異常な事態に堕ちた僕らの耳にやけに響いた。直也がドアをこじ開けようと体当たりしているんだ。
「くっそ!! 開かねぇ!」
ガンガンと扉を蹴破る。
直也はこう見えても、柔道三段を持っている。大きな体に強い力を持ってしても、頑なに開かない扉。
だんだん、その音が大きくなるにつれ、赤井が苛立ってきた。
「さっきからうるさい! 寝れやしない」
すると、直也は蹴るのをやめ赤井を睨みつけた。その表情は、頭に血が昇り、完全に周りが見えなくなった獰猛な獣。
「お前は、よくこんなときに落ち着いてられるな! 閉じ込められたんだぞ! あれから何時間も経ってるのに救助が来ない! 誰が落ち着けるか!」
直也の言いたいことは分かる。
僕も正直、困惑してるし怖い。情報が全く分からない状況、そして、扉も窓からも脱出できない場所にいる。今自分たちは世界から置いてけぼりにされたような暗い感覚に堕ちた。
科学室は三階。カーテンを外してつなぎ合わせても地上から若干遠い。扉はなにかの重さにふさぎこんで開かない。
絶対絶命。その言葉が脳裏に浮かんだ。直也はじっとすることに不信感を抱き、行動するがおもにそれは、体力が削るだけ。実際、もう息が切れていた。この真冬、この状況で一番最悪なのは体力だ。
赤井が温存しようと声をかけたのは何分前か――。
「とりあえず、体力の消耗になる。やめとけ」
「うるせっー! クソクソクソ!!」
直也は逆上して、扉を力任せに蹴破る。赤井は言っても無駄だ、とお手上げのポーズをして再び、目をつぶった。それから、直也は獰猛の獣のように壁や扉を蹴破った。
苛々している。ひしひしと僕らにも分かった。その矛先は夏木ゆきに理不尽に向かう。
夏木ゆきはそれまで、黙って死体の近くでしゃがんでいた。痛々しい死体を間近で見ても表情も態度も変わらない。ただ、眼鏡の奥から見える黒い瞳は、生気を失った真っ黒闇だった。
直也は夏木ゆきのボサボサの髪の毛を掴んで、窓のほうへと引っ張った。まだ、破片がチリチリに残る枠に頭を押し付ける。
「こいつのせいだ! こいつのせいで俺らはこんなとこに閉じ込められたんだ! こいつのせいでこいつのせいでっ!」
「う……あぅ…やめて」
首筋にツゥと線が入った。それから丸い血の玉が顔をだす。直也はそれでもグイグイと頭を押しつけた。その顔は完全に怒りに満ちている。誰も止められない。いいや、これはいつものことだ。いつもいつも、直也が怒ったとき夏木ゆきが理不尽な目に合うことなど日常茶飯事。だから、誰も止めない。
利根川はネイルアートを施した爪を綺麗に磨いて、真澄は倒れた机や椅子をなおして自分だけの領域をつくっている。僕もいつもの通り見てみぬふりをした。簡単だ。耳をおさえて聞こえなくすれば全て、そんなの目の当たりにしない。
でも、今回は違った。赤井がそれを止めたのだ。死ぬぞ、とたった一言。僕ももちろん、夏木ゆきも腰を抜かすほど驚いたはずだ。だって、今の今さら心配されるなんて思ってもみなかった。それに、地震が起きる前、僕らは処刑遊戯をしていた。夏木ゆきのあの首に縄をくくろうとしていたのに、それが今さら死ぬぞ、なんて笑いのへったくりもない。
直也は赤井を睨みつけた。充血したように赤い目玉。
「今……なんつった?」
「死・ぬ・ぞ、て言ったの。もうそんな奴ほっといて体力温存のためにゆっくりしよう」
非常に不穏な空気になった。
今にでも飛びかかりそうな直也。目を疑うほど冷静な赤井。両者の間では亀裂が交えた。まさに、見えない火花が目からバチバチと散っている。
直也は夏木ゆきを離して、一直線に赤井のもとにズカズカ歩みよった。夏木ゆきはバタンと倒れるように腰をおろし、即座に手で首元を覆い被した。
直也は赤井に寄り、胸グラを掴む。
「お前、さっきから何なんだ? 何様だ? この俺さまを置いて何発言してんだよ!」
牙を剥き出しの野生の獣の姿だ。傍から見ていても背筋が凍るほど怖い。あんな表情で近くに来たらと思うと、身の毛もよだつ。対して、赤井の奴は冷めた目で直也のことを見下ろしていた。目の前の獣の姿に、まったく動じていない。
「直也、少し冷静になれよ。今揉めあっても仕方がないだろう? みんな不安なんだ。引っ張ってくれる頼もしいお前がそんなんじゃ心許ないだろ?」
落ち着いた口調で、やんわり煽てる口調でそう言う赤井。直也はその言葉にパッと腕を離し表情が少し楽になった。
「そうだな。あぁ、そうだ! 俺がしっかりしないとお前ら全然だめだな。まったく。早くそう言えよ」
直也の機嫌が一瞬でなおった。
赤井はフッと笑って直也の肩をポンポンと叩く。それから、くるりと後ろを返すとさっきまでの表情を一転させ、生真面目な表情となった。荒々しく捕まれた胸グラを程よくなおす。
それから時は流れた。
時間は一秒一秒過ぎていく。けど、その時間は重みだった。時間は流れているのに現状は変わらない。目を開けて何度も見る非日常。平和だった現実から薄離れた景色が頭をガンガンとうちつける。
腕につけている時計を見下ろしてみた。午後十二時五十二分で止まっている。
「お腹、すいた」
利根川がお腹をおさえてつぶやいた。
「やめて」
真澄が強くその言葉を覆い被す。
「ハンバーガー食べたいなぁ」
「ステーキとかな」
利根川続いて直也も口走る。
「二人ともやめて」
真澄が今までより強く言う。
地震が起きた十二時五十二分から、明らかに夜明けに近い時間帯に二人は食べ物の話しを交した。真澄は赤井と同じように自分のテリトリーをそこら辺の机とかで用いて、横になっている。僕らに背を向けて。
利根川たちがこんな話しを交わす前、意外なほど静かだった。深夜の夜に相応しい静寂。たぶん、寝てたやつもいただろう。けど実際寝れてないよな。目をつぶるたび、まつ毛に霜が張り付いて痛い。だから、容易に寝れるやつなんていないさ。
「いいじゃん。言うだけ」
「言ったら、ますます食べたくなるでしょ」
背を見せながら会話が続く。と、すると直也が何やら不気味な笑みを宿した。目の奥の眼光が鋭く光っている。
内ポケットから何やらいかがわしい玩具を取り出した。色は灰色に近くて、先端は男性用の亀頭をモチーフとされた大きなシリコン製。アメリカでも巨根と支持され、有名なアダルトグッズ製品だ。それを横になっている真澄のお尻に近づけた。バイブ音で気づいたのか、跳ねるように真澄は起き上がた。
直也の持っているソレを凝視して、一歩仰け反る。
「なにやってんの? 悪ふざけは大概にしてよね」
強気に言うが微かに震えている。直也はニヤニヤ気色悪い笑みしてジリジリと真澄に寄る。
「冗談じゃないさ。前からお前のことが気になってたんだ」
「うそー! それ、この前あたしにも言ってた台詞!」
利根川がクスクス笑って楽しそうに目を細める。真澄はビシと夏木ゆきを指差した。
「どうして私なの!? 暇ならあいつが相手してくれるじゃん!」
「あいつもう股ガバガバなんだよ。ユルいから真澄、お願いな」
ニヤニヤ笑って真澄の足を掴んだ。
いやぁぁぁと悲鳴に似た雄叫びが響いた。水面におぼれた虫のようにジタバタと暴れる足。しかし、無慈悲にもその足の間に蛇のように手を突っ込まれる。周りは、誰も助けない。
赤井はこんな緊急時に寝ているし、夏木ゆきは毛頭助ける気なんてないだろうな。いじめられっ子がいじめっ子を助けるなんざ、どの漫画もどんなジャンルもない。
残る僕は助けない選択肢を選んだ。直也に目をつけられたくないからだ。
髪の毛も服装もとりわけ、地味っ子の真澄。しかし、その裏で利根川を操って虐めのターゲットを決めたり学校の支配計画についても巧妙で頭の切れる女。大きな影に隠れて、自分の手は一切汚さない、そんな女が直也の持ってきたバイブで腰をよがっている。
「おっ感じてる? 感じちゃってる?」
ニヤニヤ笑う直也。すると……。
「この、ふっざけんなぁぁぁぁぁっ!!」
真澄が直也の体を足蹴り。
思ってもみなかった抵抗に直也は少し、後ずさった。
「おっととと……このやろ――あ?」
「え?」
直也のお腹に窓硝子の破片が刺さっていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
熾ーおこりー
ようさん
ホラー
【第8回ホラー・ミステリー小説大賞参加予定作品(リライト)】
幕末一の剣客集団、新撰組。
疾風怒濤の時代、徳川幕府への忠誠を頑なに貫き時に鉄の掟の下同志の粛清も辞さない戦闘派治安組織として、倒幕派から庶民にまで恐れられた。
組織の転機となった初代局長・芹澤鴨暗殺事件を、原田左之助の視点で描く。
志と名誉のためなら死をも厭わず、やがて新政府軍との絶望的な戦争に飲み込まれていった彼らを蝕む闇とはーー
※史実をヒントにしたフィクション(心理ホラー)です
【登場人物】(ネタバレを含みます)
原田左之助(二三歳) 伊代松山藩出身で槍の名手。新撰組隊士(試衛館派)
芹澤鴨(三七歳) 新撰組筆頭局長。文武両道の北辰一刀流師範。刀を抜くまでもない戦闘の際には鉄製の軍扇を武器とする。水戸派のリーダー。
沖田総司(二一歳) 江戸出身。新撰組隊士の中では最年少だが剣の腕前は五本の指に入る(試衛館派)
山南敬助(二七歳) 仙台藩出身。土方と共に新撰組副長を務める。温厚な調整役(試衛館派)
土方歳三(二八歳)武州出身。新撰組副長。冷静沈着で自分にも他人にも厳しい。試衛館の弟子筆頭で一本気な男だが、策士の一面も(試衛館派)
近藤勇(二九歳) 新撰組局長。土方とは同郷。江戸に上り天然理心流の名門道場・試衛館を継ぐ。
井上源三郎(三四歳) 新撰組では一番年長の隊士。近藤とは先代の兄弟弟子にあたり、唯一の相談役でもある。
新見錦 芹沢の腹心。頭脳派で水戸派のブレインでもある
平山五郎 芹澤の腹心。直情的な男(水戸派)
平間(水戸派)
野口(水戸派)
(画像・速水御舟「炎舞」部分)
視える棺―この世とあの世の狭間で起こる12の奇譚
中岡 始
ホラー
この短編集に登場するのは、「気づいてしまった者たち」 である。
誰もいないはずの部屋に届く手紙。
鏡の中で先に笑う「もうひとりの自分」。
数え間違えたはずの足音。
夜のバスで揺れる「灰色の手」。
撮ったはずのない「3枚目の写真」。
どの話にも共通するのは、「この世に残るべきでない存在」 の気配。
それは時に、死者の残した痕跡であり、時に、境界を越えてしまった者の行き場のない魂でもある。
だが、"それ"に気づいた者は、もう後戻りができない。
見てはいけないものを見た者は、見られる側に回るのだから。
そして、最終話「最期のページ」。
読み進めることで、読者は気づくことになる。
なぜ、この短編集のタイトルが『視える棺』なのか。
なぜ、彼らは"見えてしまった"のか。
そして、最後のページに書かれていたのは——
「そして、彼が振り返った瞬間——」
その瞬間、あなたは気づくだろう。
この物語の本当の意味に。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
終焉の教室
シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。
そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。
提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。
最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。
しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。
そして、一人目の犠牲者が決まった――。
果たして、このデスゲームの真の目的は?
誰が裏切り者で、誰が生き残るのか?
友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。
音のしない部屋〜怪談・不思議系短編集
ねぎ(ポン酢)
ホラー
短編で書いたものの中で、怪談・不思議・ホラー系のものをまとめました。基本的にはゾッとする様なホラーではなく、不思議系の話です。(たまに増えます)※怖いかなと思うものには「※」をつけてあります
(『stand.fm』にて、AI朗読【自作Net小説朗読CAFE】をやっております。AI朗読を作って欲しい短編がありましたらご連絡下さい。)
視える棺2 ── もう一つの扉
中岡 始
ホラー
この短編集に登場するのは、"視えてしまった"者たちの記録である。
影がずれる。
自分ではない"もう一人"が存在する。
そして、見つけたはずのない"棺"が、自分の名前を刻んで待っている——。
前作 『視える棺』 では、「この世に留まるべきではない存在」を視てしまった者たちの恐怖が描かれた。
だが、"視える者"は、それだけでは終わらない。
"棺"に閉じ込められるべきだった者たちは、まだ完全に封じられてはいなかった。
彼らは、"もう一つの扉"を探している。
影を踏んだ者、"13階"に足を踏み入れた者、消えた友人の遺書を見つけた者——
すべての怪異は、"どこかへ繋がる"ために存在していた。
そして、最後の話 『視える棺──最後の欠片』 では、ついに"棺"の正体が明かされる。
"視える棺"とは何だったのか?
視えてしまった者の運命とは?
この物語を読んだあなたも、すでに"視えている"のかもしれない——。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる