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ワルプルギスの夜 Ⅰ
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血溜まりのような真っ赤な満月。満月の中にはうさぎ二匹が仲良くうさぎを殺している。
ブロッケン山では濃霧が立ち込め、辺りが真っ白。遠くの景色が見えないほど濃ゆい。
まるで、巨大冷蔵庫を開けた時にでる白い煙みたいだ。触ってみるとひんやりとしている。冷却シールみたい。
ブロッケン山では濃霧がはる中、ポツンと煉瓦の建物が浮いていた。
中世ヨーロッパで見る館のようで、壁が分厚く高く聳えている。その建物の中には魔女がいる。
今宵、4月30日、ワルプルギスの夜というお祭りに集まった魔女たち。
お酒や美味しいディナーなどを含み、カラオケ大会やドレスコードなど楽しむのが行事。
お祭りは5月1日の朝まで。この夜の間を思いっきり騒ぐのが魔女たちの一服である。
ブロッケン山で集まったのは各地域のリーダ的魔女、いうなれば、上級魔女たち。
メモリー・アラクニダも南を占める上級魔女。人々からは【記憶の魔女】と言われてる。
「うわぁ、見て見て! リプロ、月が真っ赤!」
窓の外の空にポツンと一つだけ浮いている満月を人差し指で指差すメモリー。八重歯が特徴的な天然ウェーブが入った女の子。
「当たり前すぎて笑えない」
リプロ、と言われた少女は本を片手に、窓の外を見向きもしない。メモリーと違い、南西を占める上級魔女。リプロダクション・リバース、通称、リプロ。人々からは【再生の魔女】と言われてる。
二人は幼い頃から顔見知りで今年からこのお祭りに参加するようになったのだ。
「どんなことが起きるのかな?」
「知らない」
「タワーカクテルあるかな?」
「見てくれば」
素っ気ない親友の応えに、メモリーは自然と頬を膨らませた。
そんな二人の間に、影がひっそりと近寄ってきた。
「初めまして。記憶の魔女、メモリーと再生の魔女、リプロダクションね。わたしは誕生の魔女、バースデー・ヴイン」
狐色の髪の毛に左右瞳の色が違うアイシャドウの持ち主。二人を温かい眼差しで見つめてくる。バースデー・ヴイン。北を占める上級魔女。人々からも魔女たちからも【誕生の魔女】と言われてる。
「そんな硬くならないで。みんないい人たちだから。まだ来てないけど」
ニッコリと温かく包むように笑いかけてきた。金色の瞳と青色の瞳が細める。
今年からこのお祭りに参加するメモリーたちのぎこちない態度を見て、毎年参加している魔女先輩が声をかけてくれたのだ。
それを知り、二人もつい、ほくそ笑む。
何分かすると、祭りが始まった。集まったのは七人。
お酒やカクテル、海の祥やらが豪華。それだけじゃない。ちょっぴり難しいミニゲームや、競い合うカラオケ大会など…このお祭りは本当に大騒ぎで暴れました。
ワルプルギスの夜が始まり、約五時間後…――事件は起きた。
生まれて始めて飲むお酒に酔いつぶれ、溝の中に沈むように眠った。最中、誰かの悲鳴が微かに聞こえた。
実際は轟くような金切り声なのに、耳にして体が動いたのはその数分後だった。
悲鳴のした場所へと、みな急いで向かう。
休眠室の扉が開いていた。そこに行ってみると、地べたに尻をつけ、チワワのように震えている【力の魔女】パワー・グレージュがいた。
「パワー、どうしたの?」
バースデーが仰け反りながらもパワーに近づいた。化物でも現れたようにパワーは酷く震えている。
ゆっくりと小刻みに腕を伸ばした。人差し指を突き出し、あるものを指差す。
みな、恐る恐るその方向に目を配った。
そこには、首から夥しい血をだしている親友がいた。くの字に膝を曲げ、胎児のように丸くなって倒れている。
「リプロ? そんな……いやああああ!!」
わたしはそこから、気を失ってしまった。それから、どうなってしまったのか分からない。
リプロの死体はそのまま。休眠室にまだ、残っている。異臭はバースデーによって、無臭のまま。
円型のテーブルに丁度良い高さの椅子。そこに集まったのはリプロなしの魔女たち。
顔を蒼白させた魔女や怒りを顕している魔女など、ただ寄らぬ空気が纏っている。まるで、円卓会議だ。
起きたわたしはバースデーによってここに誘導された。
「さて。全員集まったことだし、話し合いを始めましょう」
バースデーが緊張な面持ちで言った。
どうやら、円卓の場で犯人を見つけるらしい。
先に言っておくわ……と前置きして、リプロの現場状況や死亡推定時刻。他のみんなのアリバイなどを淡々と喋るバースデー。
円卓の指揮は全て彼女に流されてる。
すると、白い腕が伸びてきた。
「バースデーもしかして、この中に犯人がいると思ってんの?」
尖った目尻に尖った口調、北東を占める上級魔女。ビギニング・ヴァンツァー。バースデーと同じ人々からも魔女たちからも【始まりの魔女】と言われてる。
彼女の言い分は話し合いで犯人を決めるよりも拷問などを使って犯人を締めたいらしい。
しかし、バースデーは即座にその言い分を断った。
「いくらワルプルギスの夜で、魔法の力が強まっても魔女の理は貫く。だからこそ、円卓があるのよ」
冷静な物言いにビギニングは口を閉じた。
再び、話し合いが始まる。
お互いの意見と尊重、対立。
「【残虐の魔女】としての意見。彼女の死体は首にカッターナイフを人刺しして咽を引っ掻いていた。この中に犯人がいるのなら、甘い単純な怨念ね。死体の酷さも軽め。怨念なら、もっと酷くするわ。それと、死んだのは再生の魔女。犯人の隙を見て、自分の体を何度も再生させたんじゃない? けど、彼女の範囲には彼女の魔法力がなかった。私はこの意見を言う。彼女は自殺」
南東を占める【残虐の魔女】クルーアル・テナの意見はごもっともだった。
けど、メモリーは簡単にその意見に動じない。
だって、たった一人の親友が私になんの言葉もかけず、自殺を図るなんてそんなの絶対ない!
「リプロは……再生の魔女は自殺なんてしません! 私の記憶が正しければ再生の魔女は冷たい面もありましたが情が厚い子です」
「個人の意見はどうでもいい」
ビギニングが鼻で笑い、言った。
猛獣の目つきでビギニングを睨む。話し合いはまだ続く。
「わたしはその、眠たかったから休眠室に行ったの。でも、室内の隅のほうで黒いものを見つけて……」
北西を占める力の魔女、パワーが口をもごもごさせながら、その状況を話した。まだ、唇が幽霊のように蒼白している。
すると、バースデーが鋭い針のような目つきで、ある魔女を睨む。まるで、誰かの口を割りたい目つきだ。
「ずっと黙ってるけど、分かっているじゃない? トゥルース」
西を占める上級魔女【真実の魔女】トゥルース・ルート。この状況下でも眠っていた変な魔女だ。
ブロッケン山では濃霧が立ち込め、辺りが真っ白。遠くの景色が見えないほど濃ゆい。
まるで、巨大冷蔵庫を開けた時にでる白い煙みたいだ。触ってみるとひんやりとしている。冷却シールみたい。
ブロッケン山では濃霧がはる中、ポツンと煉瓦の建物が浮いていた。
中世ヨーロッパで見る館のようで、壁が分厚く高く聳えている。その建物の中には魔女がいる。
今宵、4月30日、ワルプルギスの夜というお祭りに集まった魔女たち。
お酒や美味しいディナーなどを含み、カラオケ大会やドレスコードなど楽しむのが行事。
お祭りは5月1日の朝まで。この夜の間を思いっきり騒ぐのが魔女たちの一服である。
ブロッケン山で集まったのは各地域のリーダ的魔女、いうなれば、上級魔女たち。
メモリー・アラクニダも南を占める上級魔女。人々からは【記憶の魔女】と言われてる。
「うわぁ、見て見て! リプロ、月が真っ赤!」
窓の外の空にポツンと一つだけ浮いている満月を人差し指で指差すメモリー。八重歯が特徴的な天然ウェーブが入った女の子。
「当たり前すぎて笑えない」
リプロ、と言われた少女は本を片手に、窓の外を見向きもしない。メモリーと違い、南西を占める上級魔女。リプロダクション・リバース、通称、リプロ。人々からは【再生の魔女】と言われてる。
二人は幼い頃から顔見知りで今年からこのお祭りに参加するようになったのだ。
「どんなことが起きるのかな?」
「知らない」
「タワーカクテルあるかな?」
「見てくれば」
素っ気ない親友の応えに、メモリーは自然と頬を膨らませた。
そんな二人の間に、影がひっそりと近寄ってきた。
「初めまして。記憶の魔女、メモリーと再生の魔女、リプロダクションね。わたしは誕生の魔女、バースデー・ヴイン」
狐色の髪の毛に左右瞳の色が違うアイシャドウの持ち主。二人を温かい眼差しで見つめてくる。バースデー・ヴイン。北を占める上級魔女。人々からも魔女たちからも【誕生の魔女】と言われてる。
「そんな硬くならないで。みんないい人たちだから。まだ来てないけど」
ニッコリと温かく包むように笑いかけてきた。金色の瞳と青色の瞳が細める。
今年からこのお祭りに参加するメモリーたちのぎこちない態度を見て、毎年参加している魔女先輩が声をかけてくれたのだ。
それを知り、二人もつい、ほくそ笑む。
何分かすると、祭りが始まった。集まったのは七人。
お酒やカクテル、海の祥やらが豪華。それだけじゃない。ちょっぴり難しいミニゲームや、競い合うカラオケ大会など…このお祭りは本当に大騒ぎで暴れました。
ワルプルギスの夜が始まり、約五時間後…――事件は起きた。
生まれて始めて飲むお酒に酔いつぶれ、溝の中に沈むように眠った。最中、誰かの悲鳴が微かに聞こえた。
実際は轟くような金切り声なのに、耳にして体が動いたのはその数分後だった。
悲鳴のした場所へと、みな急いで向かう。
休眠室の扉が開いていた。そこに行ってみると、地べたに尻をつけ、チワワのように震えている【力の魔女】パワー・グレージュがいた。
「パワー、どうしたの?」
バースデーが仰け反りながらもパワーに近づいた。化物でも現れたようにパワーは酷く震えている。
ゆっくりと小刻みに腕を伸ばした。人差し指を突き出し、あるものを指差す。
みな、恐る恐るその方向に目を配った。
そこには、首から夥しい血をだしている親友がいた。くの字に膝を曲げ、胎児のように丸くなって倒れている。
「リプロ? そんな……いやああああ!!」
わたしはそこから、気を失ってしまった。それから、どうなってしまったのか分からない。
リプロの死体はそのまま。休眠室にまだ、残っている。異臭はバースデーによって、無臭のまま。
円型のテーブルに丁度良い高さの椅子。そこに集まったのはリプロなしの魔女たち。
顔を蒼白させた魔女や怒りを顕している魔女など、ただ寄らぬ空気が纏っている。まるで、円卓会議だ。
起きたわたしはバースデーによってここに誘導された。
「さて。全員集まったことだし、話し合いを始めましょう」
バースデーが緊張な面持ちで言った。
どうやら、円卓の場で犯人を見つけるらしい。
先に言っておくわ……と前置きして、リプロの現場状況や死亡推定時刻。他のみんなのアリバイなどを淡々と喋るバースデー。
円卓の指揮は全て彼女に流されてる。
すると、白い腕が伸びてきた。
「バースデーもしかして、この中に犯人がいると思ってんの?」
尖った目尻に尖った口調、北東を占める上級魔女。ビギニング・ヴァンツァー。バースデーと同じ人々からも魔女たちからも【始まりの魔女】と言われてる。
彼女の言い分は話し合いで犯人を決めるよりも拷問などを使って犯人を締めたいらしい。
しかし、バースデーは即座にその言い分を断った。
「いくらワルプルギスの夜で、魔法の力が強まっても魔女の理は貫く。だからこそ、円卓があるのよ」
冷静な物言いにビギニングは口を閉じた。
再び、話し合いが始まる。
お互いの意見と尊重、対立。
「【残虐の魔女】としての意見。彼女の死体は首にカッターナイフを人刺しして咽を引っ掻いていた。この中に犯人がいるのなら、甘い単純な怨念ね。死体の酷さも軽め。怨念なら、もっと酷くするわ。それと、死んだのは再生の魔女。犯人の隙を見て、自分の体を何度も再生させたんじゃない? けど、彼女の範囲には彼女の魔法力がなかった。私はこの意見を言う。彼女は自殺」
南東を占める【残虐の魔女】クルーアル・テナの意見はごもっともだった。
けど、メモリーは簡単にその意見に動じない。
だって、たった一人の親友が私になんの言葉もかけず、自殺を図るなんてそんなの絶対ない!
「リプロは……再生の魔女は自殺なんてしません! 私の記憶が正しければ再生の魔女は冷たい面もありましたが情が厚い子です」
「個人の意見はどうでもいい」
ビギニングが鼻で笑い、言った。
猛獣の目つきでビギニングを睨む。話し合いはまだ続く。
「わたしはその、眠たかったから休眠室に行ったの。でも、室内の隅のほうで黒いものを見つけて……」
北西を占める力の魔女、パワーが口をもごもごさせながら、その状況を話した。まだ、唇が幽霊のように蒼白している。
すると、バースデーが鋭い針のような目つきで、ある魔女を睨む。まるで、誰かの口を割りたい目つきだ。
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