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第4話 出発
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頭は胴から離されても、暫くは生きているみたい。しぶといのが外来種の特徴。ミミズは苦しそうに、藻掻いていた。
人間は怪我すると、たちまち赤い血がでるのに、外来種は青い血が出てきた。どくどくと流れてくる血は、生きている証拠。苦しそうな姿を見ると、少し迷う。このまま、殺すのが怖い。
でも、僕には大切なものがある。里奈を取り戻すため。そのためなら、なんだってやる。ミミズは、僕の質問にポツリポツリ答えてくれた。
『我々は地球を侵略しに、ウラヌスから来た』
「ウラヌス?」
聞いたことがない惑星。
乃愛たちはびっくりしていた。僕は相手の息が絶える前に、話をした。
「どうして地球を侵略に?」
『我々の惑星は、他国から侵略されそうになっている。地球を手に入れれば、大きな水と空気が手に入る』
それで地球侵略か。何処かのSF映画でもあったな。水を目的に宇宙人から侵略される地球。どんなSF映画でも、非現実ではありえないものが出てくる。
今の僕らみたいに。
昨日の僕は思いもしなかっただろう。
映画や漫画に出てくるSF世界が、僕の目の前にやってくるなんて。
「ウラヌス……銀河系では大きな惑星。それが他国から侵略されるなんて」
乃愛が少し青ざめた。
二人とも、ウラヌスという惑星を知っているみたい。そうしているうちに、相手は途絶えサラサラと灰になった。
その体は塵となり、澄み切った青空に登っていく。惑星、ウラヌスに帰るみたいに。
聞きたいことは半々聞けた。二人とも、外来種相手にこんな尋問みたいなことはしないと言ってい。
それは、見つけ次第殺すからだ。
僕らはすぐにアジトに帰り、所長に報せた。所長は、眉間にシワを寄せ真剣な表情で考えた。
「なるほど。外来種はそこから来ているのか」
「これではっきりしましたね! 里奈はそこにいるんですよね!」
僕は興奮した。
里奈がそこにいる。そこにいけば、里奈と会える。所長は冷静に対処した。
「待て。外来種はそこから来ているのは分かった。でも、誘拐された子がそこにいるとは限らない。地球を狙う惑星は、天王星だけじゃない」
僕の滾った興奮が一気に水に流された。
乃愛が胸の前でパン、と手を合わせた。
「でも、少し発展しましたね! 天王星、ウラヌス、そこを討てば、私たちの時代は安全な未来になるんですよね!」
キラキラ輝いている顔。
未来人にとって、この報せは思ってもいない。今まで外来種を倒すのに必死で、根源を探すことができなかった。これは、新たなチャンスだ。
所長も、すぐにこの事を機関に報せた。
機関からの返事は、早くて三日。それまでに、僕らは早急に、天王星の地へ行くことが決定されていた。
「ここから多分、外来種はウラヌスの特攻部隊。この時代から少しずつ勢力を上げているとすると、焦っているように見える。ウラヌスはここから五五五〇万㌔。朝日くん、行きたいなら二ヶ月以上地球を離れることになる」
乃愛が心配そうに訊いた。
「問題ない! もうすぐ夏休みだし、夏休み期間なら大丈夫」
僕はニッと笑った。
夏休み期間なら、大丈夫。宿題パッパと終わらせて惑星ウラヌスに行く。
「おいおい待て待て君たち。何故行く前提なのだい?」
僕らの会話を黙って聞いていた所長が間に入ってきた。
「君たちね。機関からの返事はまだない。勝手な行動は慎むように!」
所長の言葉も最もだ。でも、三日待っているなんて、耐えられない。きっと機関からも惑星ウラヌスに行くことを提案してくるはずだ。
このまま何もしていないより、何かを練るほうが先だ。
「機関からの返事、すぐに済ませたよ」
矢代がやってきた。
デスクにあるパソコンを持って、トテトテ歩く。パソコンの中に記載されていたのは、今まで機関と通信していたメッセージがずらり。ラインみたいに、並んでいた。
最後の列に、さっき通信したものが。その最後に返事が記載されていた。
「OK。ウラヌスに行ってくれ、だってさ」
矢代が文を読んだ。
乃愛と伊予は、矢代にべったりくっついた。
「流石矢代ちゃん!」
「可愛い可愛い可愛い」
乃愛はわかるけど、伊予のそのデレはどうした。クールの印象だった彼女が壊れた。俺には冷たい反応なのに、矢代や乃愛には愛想振り回している。
新参者だから、仕方ないな。うん、仕方ない。
所長は、はぁと深いため息をこぼした。所長は仕方ない、とさっきの話を続けた。僕らは夏休み期間内にウラヌスに行く。
未来人が開発した、新しい宇宙船に乗る。これに乗れば、二ヶ月以上かかる旅もたちまち、一ヶ月に早まると。
未来人は外来種の元となる、ウラヌスの王に話を持ちかけると。
「大丈夫なのか? それ?」
「危険よ。でも平和的な解決はこうするもんてしょ?」
危険なことなのに、乃愛は笑った。
侵略される側が侵略する側に話するなんて。それに、そんなやつと話しても、解決できるかどうか。僕の中で、ぐるぐる葛藤していると乃愛は話しかけてきた。
「朝日くんは彼女さんを助けに?」
「彼女……?」
誰のことか、一瞬分からなかった。
それが里奈だということに、少しずつ分かっていくと顔が熱くなった。かぁと赤く火照る。
「り、り、里奈は確かに大事だけど、それは友達みたいなもので、こ、こ、恋人とか、そんなんじゃない!」
自分でもわかるほど動揺している。汗が冷たい。ここは程よい温度なので、汗もかかないのに。さっきまで汗はかいてなかったのに、手汗が尋常じゃなく出てくる。
動揺しまくっている僕を見て、乃愛は苦笑した。
「大事って言ってたから、てっきり彼女さんかと」
「全然。友達みたいなものだよ」
乃愛はふぅんと返事した。
まだ顔が赤らめている。走ったあとのように体が熱い。少し息を整えてから、話を続けた。
「所長の言うとおり、誘拐された子が、そこにいるとは限らない。でも、探る可能性がある」
計画は、夏休み期間。それまでに、僕は外来種を倒すべく、訓練を重ねた。
初めて剣を持ってみたり、爆弾を投げたり。剣を持ってみても、振り回すことができない。大石を持っているみたい。高校生であれど、男だ。なのに、全然上にあがらない。
爆弾は、投げても遠くに行かない。投げたと思ったのに、近くに落ちてて先輩の乃愛が慌てて、僕を連れて逃げてくれた。
最初はこんなもんだと、乃愛はフォローしてくれたけど、惑星ウラヌスに行くのは、あと三週間。たった三週間しかない。
こんな力では、みんなの足手まといだ。なんとしてでも、力をつけないと。夏休みに入る前に現れた外来種の数は、三匹。
僕は、何の力にもなれなかった。
そして、夏休みが始まった。
終業式が終わり、みな、楽しそうに教室を出ていった。これから楽しい夏休み。リア充には持ってこいの休みだ。それなのに、僕は宇宙船に乗って旅するなんて、誰も考えないだろう。
「朝日くんも揃ったし、さぁ、レッツゴーだ! 諸君っ!!」
「所長、うるさい」
「やっちゃん、これ食べる?」
所長が騒いで、矢代が面倒くさそうに注意して、その隣に伊予がお菓子を与えている。
宇宙船は、お菓子のゴミが散乱している。
天井も壁も真っ白で、人五人入っても全然窮屈じゃない。むしろ、広々としている。そんな宇宙船が、一気にお菓子のゴミが。
それでも三人ともくつろいでいる。一体誰がこんなお菓子を持ってきたのか。床に散りばめたゴミを見て乃愛が一喝。
「もう、皆さん!! 寝ながら食べないでくださいっ!! だいだい、誰がこんなものを持ってきていいって言いました? 遊びに行くのではないんですよ! 私たちは、今から敵陣に向かうんです! 朝日くんを見直てください。これから敵陣に向かうべく剣を研いでいます! 皆さんも寝ていないで少しは緊張感を持ってください」
三人とも顔をげっそりしていた。
乃愛の一喝は的を当ててる。だからなのか、伊予がこちらをギロリと睨んでいた。入ってだいぶ経つのに、全然伊予とは仲良くなれない。むしろ、離されている。
矢代はシュンと肩を落として「ごめんなさい」と言う。所長は正座して「すまない乃愛くん」と謝る。三人とも肩を落としてしょんぼりしている。
さっきまで、活気溢れてたのに今では葬式のムードだ。乃愛はため息ついて「ゴミを片付けてくださいね」と言うと、奥にある武器庫に行った。
三人は言われたとおり、ゴミを片付けた。所長は機関からの通信に忙しそう。矢代はずっとパソコンに目を当て、カタカタと何かを打っている。伊予は、ご飯の支度をしていた。
乃愛には、見直してください、て言われたけど僕は全然そんな立場じゃない。剣を研いでいるのは、気持ちを落ち着かせるため。
今だって手が震えて、こうしないと、保てない。
「うむ。順調だ。矢代くん、スピードをアップすることはできないかね?」
地球を離れて、約十分ぐらいが過ぎたころ。宇宙船の旅路は、隕石に当たることもなく全て順調だ。
それ見て、所長が矢代に問いかけた。矢代はキーボードを押しながら
「確かに順調。この先隕石もないし、八十%が保証される。残りの二十%はまだ不安要素がある。でも善は急げてね、スピードアープ!」
矢代がパソコンのエンターキーを強く押した。
すると、宇宙船が小刻みに揺れた。エンジンにボっと炎が現れて、一瞬大きな揺れが襲った。
僕は近くの柵に捕まったから良かったけど、これは揺れじゃない。宇宙船のスピードが一気に加速したせいだ。
窓の外に見える星星が、ビュンビュン遠くに弾けていく。これ、車に例えるなら高速道路に乗っているものだ。
なんだか、吐き気がしてきた。
矢代と所長は、スピードアップしてテンションあげまくり、乃愛と伊予は変わらず行動している。宇宙船なんて、未来人は慣れているのかもしれない。
僕は初めてだから。
そうして、惑星ウラヌスに到着。
理科の授業で見たことある写真。でも、実際到着するとその惑星にあったのは――街だ。
人間が住んでいるような、町並み。高層マンションや、ビル。舗装された道路。そして、人ではない生物が歩いている。
まさか、ウラヌスに生物がいたなんて。
人間そっくりの姿形。でも、頭や尻には触覚がある。科学者も考古学者もびっくりだ。地球以外に生物は存在できないのに。
人間は怪我すると、たちまち赤い血がでるのに、外来種は青い血が出てきた。どくどくと流れてくる血は、生きている証拠。苦しそうな姿を見ると、少し迷う。このまま、殺すのが怖い。
でも、僕には大切なものがある。里奈を取り戻すため。そのためなら、なんだってやる。ミミズは、僕の質問にポツリポツリ答えてくれた。
『我々は地球を侵略しに、ウラヌスから来た』
「ウラヌス?」
聞いたことがない惑星。
乃愛たちはびっくりしていた。僕は相手の息が絶える前に、話をした。
「どうして地球を侵略に?」
『我々の惑星は、他国から侵略されそうになっている。地球を手に入れれば、大きな水と空気が手に入る』
それで地球侵略か。何処かのSF映画でもあったな。水を目的に宇宙人から侵略される地球。どんなSF映画でも、非現実ではありえないものが出てくる。
今の僕らみたいに。
昨日の僕は思いもしなかっただろう。
映画や漫画に出てくるSF世界が、僕の目の前にやってくるなんて。
「ウラヌス……銀河系では大きな惑星。それが他国から侵略されるなんて」
乃愛が少し青ざめた。
二人とも、ウラヌスという惑星を知っているみたい。そうしているうちに、相手は途絶えサラサラと灰になった。
その体は塵となり、澄み切った青空に登っていく。惑星、ウラヌスに帰るみたいに。
聞きたいことは半々聞けた。二人とも、外来種相手にこんな尋問みたいなことはしないと言ってい。
それは、見つけ次第殺すからだ。
僕らはすぐにアジトに帰り、所長に報せた。所長は、眉間にシワを寄せ真剣な表情で考えた。
「なるほど。外来種はそこから来ているのか」
「これではっきりしましたね! 里奈はそこにいるんですよね!」
僕は興奮した。
里奈がそこにいる。そこにいけば、里奈と会える。所長は冷静に対処した。
「待て。外来種はそこから来ているのは分かった。でも、誘拐された子がそこにいるとは限らない。地球を狙う惑星は、天王星だけじゃない」
僕の滾った興奮が一気に水に流された。
乃愛が胸の前でパン、と手を合わせた。
「でも、少し発展しましたね! 天王星、ウラヌス、そこを討てば、私たちの時代は安全な未来になるんですよね!」
キラキラ輝いている顔。
未来人にとって、この報せは思ってもいない。今まで外来種を倒すのに必死で、根源を探すことができなかった。これは、新たなチャンスだ。
所長も、すぐにこの事を機関に報せた。
機関からの返事は、早くて三日。それまでに、僕らは早急に、天王星の地へ行くことが決定されていた。
「ここから多分、外来種はウラヌスの特攻部隊。この時代から少しずつ勢力を上げているとすると、焦っているように見える。ウラヌスはここから五五五〇万㌔。朝日くん、行きたいなら二ヶ月以上地球を離れることになる」
乃愛が心配そうに訊いた。
「問題ない! もうすぐ夏休みだし、夏休み期間なら大丈夫」
僕はニッと笑った。
夏休み期間なら、大丈夫。宿題パッパと終わらせて惑星ウラヌスに行く。
「おいおい待て待て君たち。何故行く前提なのだい?」
僕らの会話を黙って聞いていた所長が間に入ってきた。
「君たちね。機関からの返事はまだない。勝手な行動は慎むように!」
所長の言葉も最もだ。でも、三日待っているなんて、耐えられない。きっと機関からも惑星ウラヌスに行くことを提案してくるはずだ。
このまま何もしていないより、何かを練るほうが先だ。
「機関からの返事、すぐに済ませたよ」
矢代がやってきた。
デスクにあるパソコンを持って、トテトテ歩く。パソコンの中に記載されていたのは、今まで機関と通信していたメッセージがずらり。ラインみたいに、並んでいた。
最後の列に、さっき通信したものが。その最後に返事が記載されていた。
「OK。ウラヌスに行ってくれ、だってさ」
矢代が文を読んだ。
乃愛と伊予は、矢代にべったりくっついた。
「流石矢代ちゃん!」
「可愛い可愛い可愛い」
乃愛はわかるけど、伊予のそのデレはどうした。クールの印象だった彼女が壊れた。俺には冷たい反応なのに、矢代や乃愛には愛想振り回している。
新参者だから、仕方ないな。うん、仕方ない。
所長は、はぁと深いため息をこぼした。所長は仕方ない、とさっきの話を続けた。僕らは夏休み期間内にウラヌスに行く。
未来人が開発した、新しい宇宙船に乗る。これに乗れば、二ヶ月以上かかる旅もたちまち、一ヶ月に早まると。
未来人は外来種の元となる、ウラヌスの王に話を持ちかけると。
「大丈夫なのか? それ?」
「危険よ。でも平和的な解決はこうするもんてしょ?」
危険なことなのに、乃愛は笑った。
侵略される側が侵略する側に話するなんて。それに、そんなやつと話しても、解決できるかどうか。僕の中で、ぐるぐる葛藤していると乃愛は話しかけてきた。
「朝日くんは彼女さんを助けに?」
「彼女……?」
誰のことか、一瞬分からなかった。
それが里奈だということに、少しずつ分かっていくと顔が熱くなった。かぁと赤く火照る。
「り、り、里奈は確かに大事だけど、それは友達みたいなもので、こ、こ、恋人とか、そんなんじゃない!」
自分でもわかるほど動揺している。汗が冷たい。ここは程よい温度なので、汗もかかないのに。さっきまで汗はかいてなかったのに、手汗が尋常じゃなく出てくる。
動揺しまくっている僕を見て、乃愛は苦笑した。
「大事って言ってたから、てっきり彼女さんかと」
「全然。友達みたいなものだよ」
乃愛はふぅんと返事した。
まだ顔が赤らめている。走ったあとのように体が熱い。少し息を整えてから、話を続けた。
「所長の言うとおり、誘拐された子が、そこにいるとは限らない。でも、探る可能性がある」
計画は、夏休み期間。それまでに、僕は外来種を倒すべく、訓練を重ねた。
初めて剣を持ってみたり、爆弾を投げたり。剣を持ってみても、振り回すことができない。大石を持っているみたい。高校生であれど、男だ。なのに、全然上にあがらない。
爆弾は、投げても遠くに行かない。投げたと思ったのに、近くに落ちてて先輩の乃愛が慌てて、僕を連れて逃げてくれた。
最初はこんなもんだと、乃愛はフォローしてくれたけど、惑星ウラヌスに行くのは、あと三週間。たった三週間しかない。
こんな力では、みんなの足手まといだ。なんとしてでも、力をつけないと。夏休みに入る前に現れた外来種の数は、三匹。
僕は、何の力にもなれなかった。
そして、夏休みが始まった。
終業式が終わり、みな、楽しそうに教室を出ていった。これから楽しい夏休み。リア充には持ってこいの休みだ。それなのに、僕は宇宙船に乗って旅するなんて、誰も考えないだろう。
「朝日くんも揃ったし、さぁ、レッツゴーだ! 諸君っ!!」
「所長、うるさい」
「やっちゃん、これ食べる?」
所長が騒いで、矢代が面倒くさそうに注意して、その隣に伊予がお菓子を与えている。
宇宙船は、お菓子のゴミが散乱している。
天井も壁も真っ白で、人五人入っても全然窮屈じゃない。むしろ、広々としている。そんな宇宙船が、一気にお菓子のゴミが。
それでも三人ともくつろいでいる。一体誰がこんなお菓子を持ってきたのか。床に散りばめたゴミを見て乃愛が一喝。
「もう、皆さん!! 寝ながら食べないでくださいっ!! だいだい、誰がこんなものを持ってきていいって言いました? 遊びに行くのではないんですよ! 私たちは、今から敵陣に向かうんです! 朝日くんを見直てください。これから敵陣に向かうべく剣を研いでいます! 皆さんも寝ていないで少しは緊張感を持ってください」
三人とも顔をげっそりしていた。
乃愛の一喝は的を当ててる。だからなのか、伊予がこちらをギロリと睨んでいた。入ってだいぶ経つのに、全然伊予とは仲良くなれない。むしろ、離されている。
矢代はシュンと肩を落として「ごめんなさい」と言う。所長は正座して「すまない乃愛くん」と謝る。三人とも肩を落としてしょんぼりしている。
さっきまで、活気溢れてたのに今では葬式のムードだ。乃愛はため息ついて「ゴミを片付けてくださいね」と言うと、奥にある武器庫に行った。
三人は言われたとおり、ゴミを片付けた。所長は機関からの通信に忙しそう。矢代はずっとパソコンに目を当て、カタカタと何かを打っている。伊予は、ご飯の支度をしていた。
乃愛には、見直してください、て言われたけど僕は全然そんな立場じゃない。剣を研いでいるのは、気持ちを落ち着かせるため。
今だって手が震えて、こうしないと、保てない。
「うむ。順調だ。矢代くん、スピードをアップすることはできないかね?」
地球を離れて、約十分ぐらいが過ぎたころ。宇宙船の旅路は、隕石に当たることもなく全て順調だ。
それ見て、所長が矢代に問いかけた。矢代はキーボードを押しながら
「確かに順調。この先隕石もないし、八十%が保証される。残りの二十%はまだ不安要素がある。でも善は急げてね、スピードアープ!」
矢代がパソコンのエンターキーを強く押した。
すると、宇宙船が小刻みに揺れた。エンジンにボっと炎が現れて、一瞬大きな揺れが襲った。
僕は近くの柵に捕まったから良かったけど、これは揺れじゃない。宇宙船のスピードが一気に加速したせいだ。
窓の外に見える星星が、ビュンビュン遠くに弾けていく。これ、車に例えるなら高速道路に乗っているものだ。
なんだか、吐き気がしてきた。
矢代と所長は、スピードアップしてテンションあげまくり、乃愛と伊予は変わらず行動している。宇宙船なんて、未来人は慣れているのかもしれない。
僕は初めてだから。
そうして、惑星ウラヌスに到着。
理科の授業で見たことある写真。でも、実際到着するとその惑星にあったのは――街だ。
人間が住んでいるような、町並み。高層マンションや、ビル。舗装された道路。そして、人ではない生物が歩いている。
まさか、ウラヌスに生物がいたなんて。
人間そっくりの姿形。でも、頭や尻には触覚がある。科学者も考古学者もびっくりだ。地球以外に生物は存在できないのに。
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