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嘘に足はない 1
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ぼくは、その日校舎裏に呼び出されていた。相手は三年生の先輩、高槻泉(たかつきいずみ)。向かい側に立つ高槻先輩は、風に巻き上げられる髪を手で抑えると、鬱陶しそうに顔をしかめ、そして言った。
「突然呼び出してごめん。私が高槻泉よ。それで、突然ついでで悪いんだけど、君、恋人とかいる?」
ぼくは質問の意図がまるでわからず、戸惑いながらも首を左右に振った。
「そうだよね。高校に上がったばかりだもんね」
そういう彼女だって、二つしか年齢が変わらない。高校の三年間とは、それほどまでに大きな変化を与えるものなのだろうかと、ぼくは懐疑的に彼女を見た。
風が止んだことで高槻先輩の険しい表情も少しは和らぐかと思ったが、相変わらず眉間にシワを寄せたままだった。彼女は飄々としたまま、とんでもないことを口にした。
「だったらさ、あたしと付き合ってみない?」
簡単にそう言ってのける彼女。だが、よく見るとその頬はわずかに朱に染まって見えた。
ぼくがその言葉の意味を咀嚼して理解するよりも先に、高槻先輩は言葉を継いだ。それはまるで、緊張からくる焦りを体現しているようにも見える。
両手を腰にあて、彼女は宣言するように言った。
「悩むくらいなら私と付き合いなさい。これ、先輩命令だから」
どこまで本気で言っているのかわからないが、その語気の強さと不思議な魅力に当てられ、ぼくは気付くと首を縦に振っていた。
「突然呼び出してごめん。私が高槻泉よ。それで、突然ついでで悪いんだけど、君、恋人とかいる?」
ぼくは質問の意図がまるでわからず、戸惑いながらも首を左右に振った。
「そうだよね。高校に上がったばかりだもんね」
そういう彼女だって、二つしか年齢が変わらない。高校の三年間とは、それほどまでに大きな変化を与えるものなのだろうかと、ぼくは懐疑的に彼女を見た。
風が止んだことで高槻先輩の険しい表情も少しは和らぐかと思ったが、相変わらず眉間にシワを寄せたままだった。彼女は飄々としたまま、とんでもないことを口にした。
「だったらさ、あたしと付き合ってみない?」
簡単にそう言ってのける彼女。だが、よく見るとその頬はわずかに朱に染まって見えた。
ぼくがその言葉の意味を咀嚼して理解するよりも先に、高槻先輩は言葉を継いだ。それはまるで、緊張からくる焦りを体現しているようにも見える。
両手を腰にあて、彼女は宣言するように言った。
「悩むくらいなら私と付き合いなさい。これ、先輩命令だから」
どこまで本気で言っているのかわからないが、その語気の強さと不思議な魅力に当てられ、ぼくは気付くと首を縦に振っていた。
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