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前篇
交わる(8)*
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「ど、こ……?」
「しがみついておけ」
リョウヤの手首には金属の手枷がついているので、しがみついたら肌に擦れて、たぶん痛い。傷もついてしまうかもしれない。
「で、も、枷、痛い、よ」
「いいから乗せろ……かまわん」
言われるがまま、そろそろとアレクシスの背に腕を回し、ぎゅっとしがみつく。自然と引き寄せる体勢になり、鼻と鼻がぶつかった。
もう、近すぎる距離も気にならなくなっていた。
縋りつくものができて、少し安心する。
「ひ、……、あぁ、んぁ、ん……ん」
いつのまにか、ベッドと背の隙間に逞しい腕が入り込んでいた。まるで抱きしめられているかのように、隙間なく密着し合った状態で首筋に顔を埋められる。
アレクシスの体が上下するたびに、鼻を擦り付けられて、ちょっとだけ笑ってしまった。
だって鼻が濡れてて、動物みたい。
小刻みに突くようだった動きが、だんだんと、中を抉るような動きに代わっていく。スピードも、一気に早くなってくる。アレクシスの欲が、擦り付けられるたびに中でどんどん膨らんできているのがわかる。
もう、はちきれそうだ。中のものも、リョウヤの腹も、心も。
「ぁ……ぁっ、あぁッ、ん、ひゃぁ、あ……」
ギシギシとベッドが軋むほどの激しい穿ちに、ぐちゅぐちゅと薄い腹が波打ち、膣癖が収縮し始めた。迎え入れる準備が出来上がったらしい。
穿たれるたびに溢れる蜜の量が多すぎて、粗相をしてしまったぐらいに股が濡れている。アレクシスの下肢だって、リョウヤの体液でべちょべちょだ。
こんなに汚れていて、嫌じゃないのだろうか。
「いいのか……?」
「ん、……っ、あ、ふ……ンっ」
それなのに、今のは、淫らに喘ぐリョウヤに対する揶揄でも侮蔑でもなかった。汚らしいはずの下半身に対する嫌悪感は、微塵も含まれていないように聞こえた。
それがわかった瞬間、体の内側から一気に炙られてしまうような、激しい快楽に包まれる。穿たれていない部分も含めて、隅から隅までアレクシスに犯されているみたいだとさえ、思った。
今この状態で子種を注ぎこまれてしまったら、このまま絶対、確実に。この男の、子を。
「も……孕み、そ……ぅ」
言うや、否や。
後ろから尻を痛いぐらいに掴まれ、ずん、と奥の奥まで突き入れられた。
「あ、ァっ、っ、あ──……!」
ここにきて初めて、乱暴だと思える突き上げだった。あまりの激しさにずり上がりかけた体を引きずり戻され、さらにごちゅごちゅと深くを穿たれる。
骨盤が砕かれてしまいそうな荒々しさに、流石に繋がった部分が痛む。
息が吸い辛くなって、苦しい。
「っあ、はッ……、ま、はげ、し、ふ、あぁ、あ……っ、」
どうして、急に。
「ゆっ、くりぃッ……、ゆっく……し、て、ぁ、あ、ひ」
懇願しても声が聞こえていないのか、指が食い込むほど臀部をわし掴みにされて、ずっぽりと埋められたそれから逃げ場がなくなる。
ただただ腰をくねらせて激しい穿ちに乱れ、天井を仰ぐ。
広い肩に縋り付いていても、激しい律動に腕が外れてしまいそうだったので、アレクシスの頭を掻き抱いた。
首にかかるアレクシスの息も、今までにないくらい乱れている。獲物を前にした獣の呼吸みたいだなと思考を巡らせていると、のけ反った瞬間、首に噛み付かれた。
同時に真上から腰を落とされて、思考が一瞬、ぱちぱちと弾け飛んでしまった。
じゅぐんと、荒々しい本流のような快感が奥いっぱいに広がり、掴んだ髪をぐしゃりと引っ張ってしまう。振りほどかれることもなくさらに抱き寄せられ、ズレていたリョウヤの心音とアレクシスの心音が徐々に徐々に、近づいていく。
最後に抜けかけるほど引き抜かれ、再び奥まで穿たれた瞬間、どくんと二人分の鼓動が深く重なった。
脈打つ反り返りを、ぐっぐっと押し込まれる。
「──あ、……」
視界が鈍く瞬いた。
数回に分けて、粘着質なそれが満遍なく吐き出された。内壁に精液が浸透していく感覚を、足指をぴんと伸ばして受け入れる。
アレクシスの体の震えさえも伝わってくるほどに、密着した胸から、脈打つ命の音が聞こえてくる。
それは、記憶の中にあるナギサの音と違って、どくどくと震えて、激しい。優しく包み込んでくれるような音色ではなく、ありったけの熱を、好き勝手にぶつけてくるような。
アレクシスらしい音だと、思った。
「は、……はぁっ、ぁ……」
「しがみついておけ」
リョウヤの手首には金属の手枷がついているので、しがみついたら肌に擦れて、たぶん痛い。傷もついてしまうかもしれない。
「で、も、枷、痛い、よ」
「いいから乗せろ……かまわん」
言われるがまま、そろそろとアレクシスの背に腕を回し、ぎゅっとしがみつく。自然と引き寄せる体勢になり、鼻と鼻がぶつかった。
もう、近すぎる距離も気にならなくなっていた。
縋りつくものができて、少し安心する。
「ひ、……、あぁ、んぁ、ん……ん」
いつのまにか、ベッドと背の隙間に逞しい腕が入り込んでいた。まるで抱きしめられているかのように、隙間なく密着し合った状態で首筋に顔を埋められる。
アレクシスの体が上下するたびに、鼻を擦り付けられて、ちょっとだけ笑ってしまった。
だって鼻が濡れてて、動物みたい。
小刻みに突くようだった動きが、だんだんと、中を抉るような動きに代わっていく。スピードも、一気に早くなってくる。アレクシスの欲が、擦り付けられるたびに中でどんどん膨らんできているのがわかる。
もう、はちきれそうだ。中のものも、リョウヤの腹も、心も。
「ぁ……ぁっ、あぁッ、ん、ひゃぁ、あ……」
ギシギシとベッドが軋むほどの激しい穿ちに、ぐちゅぐちゅと薄い腹が波打ち、膣癖が収縮し始めた。迎え入れる準備が出来上がったらしい。
穿たれるたびに溢れる蜜の量が多すぎて、粗相をしてしまったぐらいに股が濡れている。アレクシスの下肢だって、リョウヤの体液でべちょべちょだ。
こんなに汚れていて、嫌じゃないのだろうか。
「いいのか……?」
「ん、……っ、あ、ふ……ンっ」
それなのに、今のは、淫らに喘ぐリョウヤに対する揶揄でも侮蔑でもなかった。汚らしいはずの下半身に対する嫌悪感は、微塵も含まれていないように聞こえた。
それがわかった瞬間、体の内側から一気に炙られてしまうような、激しい快楽に包まれる。穿たれていない部分も含めて、隅から隅までアレクシスに犯されているみたいだとさえ、思った。
今この状態で子種を注ぎこまれてしまったら、このまま絶対、確実に。この男の、子を。
「も……孕み、そ……ぅ」
言うや、否や。
後ろから尻を痛いぐらいに掴まれ、ずん、と奥の奥まで突き入れられた。
「あ、ァっ、っ、あ──……!」
ここにきて初めて、乱暴だと思える突き上げだった。あまりの激しさにずり上がりかけた体を引きずり戻され、さらにごちゅごちゅと深くを穿たれる。
骨盤が砕かれてしまいそうな荒々しさに、流石に繋がった部分が痛む。
息が吸い辛くなって、苦しい。
「っあ、はッ……、ま、はげ、し、ふ、あぁ、あ……っ、」
どうして、急に。
「ゆっ、くりぃッ……、ゆっく……し、て、ぁ、あ、ひ」
懇願しても声が聞こえていないのか、指が食い込むほど臀部をわし掴みにされて、ずっぽりと埋められたそれから逃げ場がなくなる。
ただただ腰をくねらせて激しい穿ちに乱れ、天井を仰ぐ。
広い肩に縋り付いていても、激しい律動に腕が外れてしまいそうだったので、アレクシスの頭を掻き抱いた。
首にかかるアレクシスの息も、今までにないくらい乱れている。獲物を前にした獣の呼吸みたいだなと思考を巡らせていると、のけ反った瞬間、首に噛み付かれた。
同時に真上から腰を落とされて、思考が一瞬、ぱちぱちと弾け飛んでしまった。
じゅぐんと、荒々しい本流のような快感が奥いっぱいに広がり、掴んだ髪をぐしゃりと引っ張ってしまう。振りほどかれることもなくさらに抱き寄せられ、ズレていたリョウヤの心音とアレクシスの心音が徐々に徐々に、近づいていく。
最後に抜けかけるほど引き抜かれ、再び奥まで穿たれた瞬間、どくんと二人分の鼓動が深く重なった。
脈打つ反り返りを、ぐっぐっと押し込まれる。
「──あ、……」
視界が鈍く瞬いた。
数回に分けて、粘着質なそれが満遍なく吐き出された。内壁に精液が浸透していく感覚を、足指をぴんと伸ばして受け入れる。
アレクシスの体の震えさえも伝わってくるほどに、密着した胸から、脈打つ命の音が聞こえてくる。
それは、記憶の中にあるナギサの音と違って、どくどくと震えて、激しい。優しく包み込んでくれるような音色ではなく、ありったけの熱を、好き勝手にぶつけてくるような。
アレクシスらしい音だと、思った。
「は、……はぁっ、ぁ……」
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