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前篇
殺意(2)
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「せいぜい上手なセックスでも経験させてもらえ。僕とは違って、ド下手クソではない……な。おいマティアス、僕が戻ってくるまでには終わらせておけよ」
「はいはい。ああそうだ、ちなみに坊やって後ろは未使用かな?」
後ろというのは、つまり後孔のことだ。顔が歪む。
「……誰が使うかそんなところ。汚い」
「処女かぁ、ラッキー! 使ってもいいかな?」
「変態か……?」
「残念、褒め言葉さ」
「おまえの趣味にはほとほと呆れる」
「こっちのよさがわからないなんて、おまえもまだまだお子様だねアレクシス。で、使っていい?」
年甲斐もなくわくわくと目を輝かせている友人に呆れる。濡れるわけでもないそんなところに突っ込みたがる奴の気がしれない。
「好きにしろ」
「よかった。ふふ、坊やのお尻ってぷりぷりしてていい形だねえ。こっちもたーっぷりほじくってガバガバにしてあげるから、いい声で鳴いてくれよ?」
確かに、リョウヤの尻はすとんとした細い腰に似合わずそこそこ大き目だが、だからなんだというのか。
「あれ、坊やどうしたの? あ、なんだぁ震えてるのか。可愛いねぇ、そんなに怖いの? 大丈夫さ、私はアレクシスと違って乱暴じゃあないからね。ちゃーんと気持ちよく喘がせながら壊してあげるよ」
無理矢理開かせた足の間に体を捻じ込み、服を脱がしにかかるマティアスから背を向ける。
「──馬鹿言ってじゃねー……怖いんじゃなくて嗤ってんだよ、俺は」
しかし、この場に似つかわしくない凛とした声に、足が止まる。
「悪いけど、こんなのどうってことないよ。散々公開ストリップショーとかやらされてるしね。今更、誰の目の前で股開いたって減るもんじゃないし……」
ゆっくりと、扉に向かっていた足先を背後に戻す。
「せいぜい好きなように俺をめちゃくちゃにして、溜飲でもなんでも下げればいい。でも、思い通りにならないからって自分以外の誰かを使わせて俺をいたぶろうとするなんて、みみっちいね。弱者だって馬鹿にしてる相手にしか強がれないの?」
リョウヤの視線はマティアスを越えて、アレクシスに注がれていた。
また、この目だ。もとより残虐な思考などさほど持ち合わせていなかったはずなのに、リョウヤの目を見ると苛立ちが治まらなくなる。なぜ、リョウヤにだけこのような感情を抱くのか、今わかった。
安っぽい挑発であれば受け流せるが、リョウヤのはそうではない。アレクシスを卑下しようとか、アレクシスを陥れよう、怒らせようなどということは一切考えていない。ただリョウヤは、思ったことを、リョウヤにとっての真実を真っ直ぐに口にし、ぶつけようとしてくるのだ。
「たぶんしばらくまともに声も出せなくなるだろうから、これだけは言っておくよ」
そう、あろうことかこの稀人は、対等であろうとしているのだ。他でもない、アレクシスと。
「成り上がりのミスターチェンバレー、あんたは犬畜生よりレベルが低い」
すうっと頭が冷えた。大股で近づく。あちゃあ、という顔をしているマティアスを押しのけ、何を言っても口を閉じない稀人の胸倉を掴み上げる。ぎりぎりと掴んだことで、リョウヤの腰が浮く。
けほりとリョウヤは咳をしたが、その視線はやはり逸らされない。
そろそろと、マティアスが離れていった。それほどまでに、今のアレクシスは恐ろしい顔をしているのだろう。確かに、この愚直すぎる稀人に殺意さえ抱いていた。
「今なんといった」
「聞こえなかったのかよ。犬畜生以下の成り上がり様って言ったんだ」
無言で襟を掴んでいた手を振りほどき、手の甲で頬を勢いよく殴打する。リョウヤが勢いに負けて横倒しに転んだ。
「どうやら2人がかりでいたぶられることをお望みのようだ。マティアス、降りろ」
リョウヤにだけ視線を注ぎながら、ポケットから取り出した手袋をはめる。
「あれれ……結局2人、なのかなぁ?」
「さっさとしろ」
「はいはい。で、どっちが先にやる?」
「僕だ。おまえはこいつの体を押さえていろ」
「全く、人使いの荒いご主人様だなぁ」
力を失ったリョウヤは簡単にベッドに転がすことができた。マティアスがベッドの頭上へと乗り上げ、リョウヤの上半身をぐいっと引きずり上げてシーツに押し倒す。
「おーい坊や、おきな……あれ、まったく反応がない。もしかして今ので死んじゃった?」
「馬鹿を言え、気絶しているだけだ」
マティアスがリョウヤの赤くなった頬をぺちぺちと叩いている最中、アレクシスはリョウヤのズボンの紐を抜き、怒りに任せて下着ごと剥ぎ取った。
──────────────
*次回からR18です。
*かなり痛々しい性描写が続きますのでご注意下さい。
*無理だと思ったら飛ばしてください。大丈夫な方はお付き合いください。
「はいはい。ああそうだ、ちなみに坊やって後ろは未使用かな?」
後ろというのは、つまり後孔のことだ。顔が歪む。
「……誰が使うかそんなところ。汚い」
「処女かぁ、ラッキー! 使ってもいいかな?」
「変態か……?」
「残念、褒め言葉さ」
「おまえの趣味にはほとほと呆れる」
「こっちのよさがわからないなんて、おまえもまだまだお子様だねアレクシス。で、使っていい?」
年甲斐もなくわくわくと目を輝かせている友人に呆れる。濡れるわけでもないそんなところに突っ込みたがる奴の気がしれない。
「好きにしろ」
「よかった。ふふ、坊やのお尻ってぷりぷりしてていい形だねえ。こっちもたーっぷりほじくってガバガバにしてあげるから、いい声で鳴いてくれよ?」
確かに、リョウヤの尻はすとんとした細い腰に似合わずそこそこ大き目だが、だからなんだというのか。
「あれ、坊やどうしたの? あ、なんだぁ震えてるのか。可愛いねぇ、そんなに怖いの? 大丈夫さ、私はアレクシスと違って乱暴じゃあないからね。ちゃーんと気持ちよく喘がせながら壊してあげるよ」
無理矢理開かせた足の間に体を捻じ込み、服を脱がしにかかるマティアスから背を向ける。
「──馬鹿言ってじゃねー……怖いんじゃなくて嗤ってんだよ、俺は」
しかし、この場に似つかわしくない凛とした声に、足が止まる。
「悪いけど、こんなのどうってことないよ。散々公開ストリップショーとかやらされてるしね。今更、誰の目の前で股開いたって減るもんじゃないし……」
ゆっくりと、扉に向かっていた足先を背後に戻す。
「せいぜい好きなように俺をめちゃくちゃにして、溜飲でもなんでも下げればいい。でも、思い通りにならないからって自分以外の誰かを使わせて俺をいたぶろうとするなんて、みみっちいね。弱者だって馬鹿にしてる相手にしか強がれないの?」
リョウヤの視線はマティアスを越えて、アレクシスに注がれていた。
また、この目だ。もとより残虐な思考などさほど持ち合わせていなかったはずなのに、リョウヤの目を見ると苛立ちが治まらなくなる。なぜ、リョウヤにだけこのような感情を抱くのか、今わかった。
安っぽい挑発であれば受け流せるが、リョウヤのはそうではない。アレクシスを卑下しようとか、アレクシスを陥れよう、怒らせようなどということは一切考えていない。ただリョウヤは、思ったことを、リョウヤにとっての真実を真っ直ぐに口にし、ぶつけようとしてくるのだ。
「たぶんしばらくまともに声も出せなくなるだろうから、これだけは言っておくよ」
そう、あろうことかこの稀人は、対等であろうとしているのだ。他でもない、アレクシスと。
「成り上がりのミスターチェンバレー、あんたは犬畜生よりレベルが低い」
すうっと頭が冷えた。大股で近づく。あちゃあ、という顔をしているマティアスを押しのけ、何を言っても口を閉じない稀人の胸倉を掴み上げる。ぎりぎりと掴んだことで、リョウヤの腰が浮く。
けほりとリョウヤは咳をしたが、その視線はやはり逸らされない。
そろそろと、マティアスが離れていった。それほどまでに、今のアレクシスは恐ろしい顔をしているのだろう。確かに、この愚直すぎる稀人に殺意さえ抱いていた。
「今なんといった」
「聞こえなかったのかよ。犬畜生以下の成り上がり様って言ったんだ」
無言で襟を掴んでいた手を振りほどき、手の甲で頬を勢いよく殴打する。リョウヤが勢いに負けて横倒しに転んだ。
「どうやら2人がかりでいたぶられることをお望みのようだ。マティアス、降りろ」
リョウヤにだけ視線を注ぎながら、ポケットから取り出した手袋をはめる。
「あれれ……結局2人、なのかなぁ?」
「さっさとしろ」
「はいはい。で、どっちが先にやる?」
「僕だ。おまえはこいつの体を押さえていろ」
「全く、人使いの荒いご主人様だなぁ」
力を失ったリョウヤは簡単にベッドに転がすことができた。マティアスがベッドの頭上へと乗り上げ、リョウヤの上半身をぐいっと引きずり上げてシーツに押し倒す。
「おーい坊や、おきな……あれ、まったく反応がない。もしかして今ので死んじゃった?」
「馬鹿を言え、気絶しているだけだ」
マティアスがリョウヤの赤くなった頬をぺちぺちと叩いている最中、アレクシスはリョウヤのズボンの紐を抜き、怒りに任せて下着ごと剥ぎ取った。
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*次回からR18です。
*かなり痛々しい性描写が続きますのでご注意下さい。
*無理だと思ったら飛ばしてください。大丈夫な方はお付き合いください。
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