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前篇
7.涙(1)*
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「……ッ、……ぁひ、ぁ、あ゛……」
挿入されている部分が熱い。殴られ蹴られ、指を突き入れられた痛みなんてこれに比べたら些細なものだった。くぐもった耳の奥が、降りしきる雨のようにざぁざぁと煩くなる。せわしなく動く鼓動に循環を促された血液が、一気に体中を駆け巡っているようだった。
「く、っ……ぅう」
アレクシスがリョウヤにしたことは、あまりにも簡単だ。そそり立った陰茎をリョウヤの中に入れる。たったそれだけのことなのに、とてつもない痛みを伴った。呼吸すらも喉に張り付くほどに。
「まあまあ、か」
同意もなく勝手に突っ込んで勝手にまあまあだなと。こいつは本当に本当に、クソ野郎だ。
「な……ら……抜、け……ッ」
「抜くのは全部入れてからだ。もっと緩めろ。狭すぎて全部入らない」
できないと、ふるふると首を振る。ち、と舌打ちをした男にぐるりと腰を回されて、「か……は」と吐くような声が溢れた。
縋るものが欲しくて胸の辺りを握りしめたかったが、両手は背中の後ろで拘束されている。それに、いつも胸に下げている『オマモリ』は今手元にない。
アレクシスは、体を石のように硬直させたリョウヤの頭を抱え込むと、さらに腰を進めてきた。
「あッ、ァ……ふ、ぅう」
額に脂汗が滲む。痛みを少しでも和らげたくて尻を揺らせば、「動くな」と二、三度軽く出し入れされ、また深く捻じ込まれた。ぱっと唾が散る。
「ひァァあッ……!」
「おい、まだ飛ぶな。まだ半分も入っていないぞ」
見せつけるように両足を抱えあげられ、繋がった部分を眼前に晒された。アレクシスの猛々しい肉の杭が、限界まで伸びた開口部にみっちり突き立てられているのが見えて、血の気が引く。いまにもはち切れてしまいそうなのに、まだ傘のように膨らんだ先しか入っていないだなんて。身震いする。
「っ……ま、って……、」
痛くて痛くて、声が裏返り、ひび割れる。正直、口を開くだけで痛いのだ。
「力を抜け」
「……っ、む、……」
りだ。と叫ぶ前に、アレクシスの杭が引き抜かれ、勢いをつけてずちゅんっと叩きつけられた。
「ひィ──ッ…うっ……ぁああ!」
恥も外聞もなく喚き、仰け反る。口の端から零れた唾液が、乳白色のシーツを黒く濡らす。力づくでこじ開けようとしてくる先が中で堰き止められた。づりっと非情な音をたてて擦られる。
「ふっ……ゥ」
位置的に、アレクシスが「膜」があると言っていたところだろう。ここが、破られてしまったら。
「……もっ……ぉ、いれ、ない、でぇッ、ァ……あ」
「馬鹿を言え。ここを破らなければ話にならん」
ここを破る。とてつもなく恐ろしい言葉に完全に体が縮こまる。生まれた時からリョウヤの中を守ってくれていたそこが、じわじわと破かれていく感覚に背筋が凍った。嫌だと、悲痛な声で訴える。
「ね、が……い、待っ、て……ま」
はくはくと唇を震わせていると、ぐいっと顎を掴まれた。強制的に合わせられた赤い目に、くしゃくしゃになったリョウヤが映り込んでいる。
「ほんと、に……ま、まって、ちょっとだ、け、時間……おねが……ぃ」
もう止めてもらえないのなら、せめてもう少しだけ慣らしてほしい。懸命に、残忍な男の中にあるかもしれない慈悲に縋ろうとするも。
「玩具が人間に口出しするな。不愉快だ」
そんなもの、ありはしなかった。
「やめてほしかったら、せいぜいいい声で鳴いてみせろ」
「────ッ!!」
貫かれた瞬間だけ、痛みが消えた。体が、真っ2つに裂かれてしまったかと思った。ぶっ……つりと、腰の奥にゆっくり響いた音に天井を見上げる。
チカチカと、星が散ったみたいだった。
「……か、は」
大きな仕事を終えたとばかりに、はぁ……とアレクシスが熱い吐息を吐いた。目の前が今まで以上に霞み、体ごと痙攣する。ただただ苦しくて、かふ、と肺から押し出された呼気が漏れた。言葉にしようのない圧迫感と衝撃に意識を繋ぎとめられなくなって、まぶたがじんわりと重くなる。天井が遠のき、そのままふうっと真っ暗闇に引きずり込まれそうになったのだが。
「おい、誰が勝手に寝ていいと言った。鳴けと言っているだろう、起きろ」
舌打ちと共に、硬すぎる昂ぶりが引き抜かれ、さらに角度を付けて捻じ込まれた。その瞬間、遠くに飛んでいた激痛の波が弾けるように鮮明になった。
「や、ァッ……ァ──、あう゛ぅ……ッ」
しわがれた絶叫がほとばしる。後ろの手でシーツを引き千切れんばかりに握り締めた。内肉を広げるように小刻みに腰を揺すられ、視界に入り込んできたのは鮮血だった。ぷちゅぷちゅと結合部から赤い血が跳ね、根元までずっぽり捻じ込まれている肉の杭が脈打つたび、鮮やかな液体が溢れている。
「へえ、噂通りしっかりと僕の形に広がっているな。それに吸い付き具合もいい」
少しばかり興味をそそられたとばかりに下腹部を撫でられた。リョウヤの薄い腹はアレクシスの昂ぶりの形に合わせて、縦にぼっこりと膨らんでいた。まさに串刺しだ。張った腹に会わせて陰紋も盛り上がっている。
「……はっ、は、は、ぁ──ぐ」
腹を押さえつけられながら、ぐちゅんと腰を回されて歯を食いしばる。また視界が霞んできた。ぷちぷちと、引っ付き合った膣壁が割り裂かれて、くぅ、と腹の中にあるすべてのものがせり上がってくるような気持ち悪さに苛まれた。
「い……た、い」
「だろうな」
「しきゅう、こわれ、……る、」
息も絶え絶えなリョウヤに、アレクシスが吐き捨てた言葉は。
「好きなだけ壊れていろ。ただし僕が中に出すまでは大人しくしろ、貴様に望むのはそれだけだ」
言葉の節々から伝わる、リョウヤへの無関心。血よりも赤い瞳に淡々と見下されて、くらりとする。
内部から蛆が沸いて腐っていきそうだった。
挿入されている部分が熱い。殴られ蹴られ、指を突き入れられた痛みなんてこれに比べたら些細なものだった。くぐもった耳の奥が、降りしきる雨のようにざぁざぁと煩くなる。せわしなく動く鼓動に循環を促された血液が、一気に体中を駆け巡っているようだった。
「く、っ……ぅう」
アレクシスがリョウヤにしたことは、あまりにも簡単だ。そそり立った陰茎をリョウヤの中に入れる。たったそれだけのことなのに、とてつもない痛みを伴った。呼吸すらも喉に張り付くほどに。
「まあまあ、か」
同意もなく勝手に突っ込んで勝手にまあまあだなと。こいつは本当に本当に、クソ野郎だ。
「な……ら……抜、け……ッ」
「抜くのは全部入れてからだ。もっと緩めろ。狭すぎて全部入らない」
できないと、ふるふると首を振る。ち、と舌打ちをした男にぐるりと腰を回されて、「か……は」と吐くような声が溢れた。
縋るものが欲しくて胸の辺りを握りしめたかったが、両手は背中の後ろで拘束されている。それに、いつも胸に下げている『オマモリ』は今手元にない。
アレクシスは、体を石のように硬直させたリョウヤの頭を抱え込むと、さらに腰を進めてきた。
「あッ、ァ……ふ、ぅう」
額に脂汗が滲む。痛みを少しでも和らげたくて尻を揺らせば、「動くな」と二、三度軽く出し入れされ、また深く捻じ込まれた。ぱっと唾が散る。
「ひァァあッ……!」
「おい、まだ飛ぶな。まだ半分も入っていないぞ」
見せつけるように両足を抱えあげられ、繋がった部分を眼前に晒された。アレクシスの猛々しい肉の杭が、限界まで伸びた開口部にみっちり突き立てられているのが見えて、血の気が引く。いまにもはち切れてしまいそうなのに、まだ傘のように膨らんだ先しか入っていないだなんて。身震いする。
「っ……ま、って……、」
痛くて痛くて、声が裏返り、ひび割れる。正直、口を開くだけで痛いのだ。
「力を抜け」
「……っ、む、……」
りだ。と叫ぶ前に、アレクシスの杭が引き抜かれ、勢いをつけてずちゅんっと叩きつけられた。
「ひィ──ッ…うっ……ぁああ!」
恥も外聞もなく喚き、仰け反る。口の端から零れた唾液が、乳白色のシーツを黒く濡らす。力づくでこじ開けようとしてくる先が中で堰き止められた。づりっと非情な音をたてて擦られる。
「ふっ……ゥ」
位置的に、アレクシスが「膜」があると言っていたところだろう。ここが、破られてしまったら。
「……もっ……ぉ、いれ、ない、でぇッ、ァ……あ」
「馬鹿を言え。ここを破らなければ話にならん」
ここを破る。とてつもなく恐ろしい言葉に完全に体が縮こまる。生まれた時からリョウヤの中を守ってくれていたそこが、じわじわと破かれていく感覚に背筋が凍った。嫌だと、悲痛な声で訴える。
「ね、が……い、待っ、て……ま」
はくはくと唇を震わせていると、ぐいっと顎を掴まれた。強制的に合わせられた赤い目に、くしゃくしゃになったリョウヤが映り込んでいる。
「ほんと、に……ま、まって、ちょっとだ、け、時間……おねが……ぃ」
もう止めてもらえないのなら、せめてもう少しだけ慣らしてほしい。懸命に、残忍な男の中にあるかもしれない慈悲に縋ろうとするも。
「玩具が人間に口出しするな。不愉快だ」
そんなもの、ありはしなかった。
「やめてほしかったら、せいぜいいい声で鳴いてみせろ」
「────ッ!!」
貫かれた瞬間だけ、痛みが消えた。体が、真っ2つに裂かれてしまったかと思った。ぶっ……つりと、腰の奥にゆっくり響いた音に天井を見上げる。
チカチカと、星が散ったみたいだった。
「……か、は」
大きな仕事を終えたとばかりに、はぁ……とアレクシスが熱い吐息を吐いた。目の前が今まで以上に霞み、体ごと痙攣する。ただただ苦しくて、かふ、と肺から押し出された呼気が漏れた。言葉にしようのない圧迫感と衝撃に意識を繋ぎとめられなくなって、まぶたがじんわりと重くなる。天井が遠のき、そのままふうっと真っ暗闇に引きずり込まれそうになったのだが。
「おい、誰が勝手に寝ていいと言った。鳴けと言っているだろう、起きろ」
舌打ちと共に、硬すぎる昂ぶりが引き抜かれ、さらに角度を付けて捻じ込まれた。その瞬間、遠くに飛んでいた激痛の波が弾けるように鮮明になった。
「や、ァッ……ァ──、あう゛ぅ……ッ」
しわがれた絶叫がほとばしる。後ろの手でシーツを引き千切れんばかりに握り締めた。内肉を広げるように小刻みに腰を揺すられ、視界に入り込んできたのは鮮血だった。ぷちゅぷちゅと結合部から赤い血が跳ね、根元までずっぽり捻じ込まれている肉の杭が脈打つたび、鮮やかな液体が溢れている。
「へえ、噂通りしっかりと僕の形に広がっているな。それに吸い付き具合もいい」
少しばかり興味をそそられたとばかりに下腹部を撫でられた。リョウヤの薄い腹はアレクシスの昂ぶりの形に合わせて、縦にぼっこりと膨らんでいた。まさに串刺しだ。張った腹に会わせて陰紋も盛り上がっている。
「……はっ、は、は、ぁ──ぐ」
腹を押さえつけられながら、ぐちゅんと腰を回されて歯を食いしばる。また視界が霞んできた。ぷちぷちと、引っ付き合った膣壁が割り裂かれて、くぅ、と腹の中にあるすべてのものがせり上がってくるような気持ち悪さに苛まれた。
「い……た、い」
「だろうな」
「しきゅう、こわれ、……る、」
息も絶え絶えなリョウヤに、アレクシスが吐き捨てた言葉は。
「好きなだけ壊れていろ。ただし僕が中に出すまでは大人しくしろ、貴様に望むのはそれだけだ」
言葉の節々から伝わる、リョウヤへの無関心。血よりも赤い瞳に淡々と見下されて、くらりとする。
内部から蛆が沸いて腐っていきそうだった。
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